ChatGPTがマッチングアプリをやってみた
プロローグ
僕は、彼女ができたことがない。
25歳になり、流石に動かなければ生涯独身だと思い「東カレデート」というマッチングアプリを始めた。
しかし、中高が男子校だったことが災いして、女性を喜ばせる会話のコツがわからず、複数の女性とメッセージすることは苦行でしかなかった。
2023年になり、あるものが流行り出した。
そう、ChatGPTだ。
記事の要約、プログラミング、果ては小説執筆まで何でもこなしてしまうAIに僕は虜になった。
そして、思った。
こいつに、マッチングアプリのメッセージを代筆させればいい。
最初、ChatGPTの書く「ラブレター」は非モテのそれだった。
相手のことを考えずに、自分の言いたいことだけを言ってしまい、やりとりは一方通行で終わってしまった。
でも、、、試行錯誤の果て、Chat GPTは本当に僕に彼女をもたらしたんだ。
前置きはこの程度でいいだろう。
このゲームのルールを簡単に説明したら、ChatGPTと7人の女性との世にも奇妙な交流の記録をご覧いただきたい。
ルール
①東カレデート(https://tokyo-calendar-date.jp/ja)でマッチした女性に「こんにちは!マッチありがとうございます!」と手動でメッセージを送る。
②返信が返ってきた女性のプロフィールをコピーして以下のテンプレートに貼り付ける。
>>テンプレートの内容
僕は、マッチングアプリで(女性の名前)と知り合い以下のような会話をしています。あなたは僕になりきって(女性の名前)に返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください。
#僕のプロフィール
>僕がマッチングアプリに書いた自己紹介文を転記する。
#(女性の名前)のプロフィール
>女性がマッチングアプリに書いた自己紹介文を転記する。
#制約条件
>ChatGPTに書いてもらいたい方向性を記述
#会話履歴
>僕のファーストメッセージと女性から来たメッセージの内容を記入する。
③テンプレートの内容をオールコピーしてChatGPTに入力して返事をもらう。
④ChatGPTの考えた返信をそのまま東カレデートの女の子に送信する。
⑤その後の会話が続く度に会話履歴に僕(=ChatGPT)の返信と女性の返信を追記して、再びオールコピーした上でChatGPTに送信して、メッセージを考えてもらうことを繰り返す。
(当然、テンプレートの内容はやりとりをつづけるたびに長くなる)
実験結果
▶︎あず(28歳) ’23/9/24/2:15
東カレデートで初めて女の子とマッチできたぞ。
ChatGPTを開き、女の子から来たメッセージを送信して返信を考えさせる。
まずは制約条件に適当に思いついた4つの条件を書き込んでみた。
>入力開始
僕はマッチングアプリであずと知り合い以下のような会話をしています。あなたは僕になりきって、あずに返信してください。
#僕のプロフィール
(割愛します)
#あずのプロフィール
あず 21歳
はじめまして。
職場で出会いがあまりない為、新しい出会いが欲しくて始めました。進学で上京して、今は都内で歯科衛生士をしています
休みの日は映画やドラマを観たり、家でゆっくりすることが好きです。
自分がお喋りな方なので、たくさんお話しを聞いてくれて、たくさんお話ししてくれる方と出会いたいです!
最後まで読んでくれてありがとうございました。
#制約条件
・メッセージは30文字程度にする
・固い言葉はつかわない
・自分のことは喋りすぎないようにする
・一回のメッセージでは一つの話題にのみ言及するようにする
・・・この後返信はこなかった。
<今回の反省>
最近見たのがララランドて笑。
時代錯誤も甚だしい。
やっぱりChatGPTを使って彼女を作るなんて無理なのかも、と弱気になる。
▶︎なー(24歳) ’23/9/25/8:17
前回は話が広がらなさすぎた。
そこで、女の子のプロフィールをよく読んで話題を広げるように指示を変えてみた。
>入力開始
僕はマッチングアプリでなーと知り合い以下のような会話をしています。
あなたは僕になりきって、なーに返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください
#僕のプロフィール
<割愛します>
#なーのプロフィール
#制約条件
・なーのプロフィールをよく読んで話題を広げるように30文字程度のメッセージを送る
・固い言葉はつかわない
・自分のことは喋りすぎないようにする
・一回のメッセージでは一つの話題にのみ言及するようにする
・短くメッセージする
・一人称は僕
#会話履歴
<今回の反省>
僕が、チアリーディングするわけないやろ。そら返信こねえわ・・・💢
もしかして、ChatGPTってめっちゃおもんないやつなのか?と疑念を抱く。
ym(27歳) ’23/9/26/11:58
Chat GPTは悪くない。
僕の書いた制約条件がつまらないから、返信もつまらないに違いない。
そこで、制約条件の項目を大幅に増やした。
ほんのちょっぴり女性から見てセクシーであることなど、男をさりげなく出すようにした。
>入力開始
あなたは僕です。
僕とymはマッチングアプリで知り合いになりました。
会話履歴を参考にしてA子に対して返信してください。
#僕のプロフィール
<割愛します>
#ymのプロフィール
#制約条件
・ メッセージの最初はマッチングしたことに対するお礼を入れること
・相手の呼び方を聞くこと
・一人称は僕、相手のことはさん付けで呼ぶこと。
・僕のプロフィールに準拠した返信を書くこと
・お互いの共通項でのお話を優先すること。
・丁寧語ではなすけど丁寧になりすぎないこと。
・メッセージには適度に相手の興味関心を惹きつけるような質問を加えることそして会話のキャッチボールを促すこと。
・基本的に聞き上手であること、
・自分のことを話しすぎないこと
・ほんのちょっぴり女性から見てセクシーであること
#会話履歴
<今回の反省>
やはり、制約条件を増やしたおかげで、意図した通り会話のラリーが続くようになった。これは大きな進歩と思う。
あかね(29歳) ’23/10/2/22:40
制約条件を少し書き換えて、また挑戦する。
>入力開始
僕はマッチングアプリであかねと知り合い以下のような会話をしています。
あなたは僕になりきってあかねに返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください
#僕のプロフィール
(割愛します)
#あかねのプロフィール
あかね29歳
IT企業でUIUXデザイナーをしております
会社員の傍ら自分でもいくつか事業をやっていま
す。
すべてデザイン系です
ジム通いが趣味で、週3〜4でトレーニングして
います
仲良くなったら合トレお願いします
住まいは表参道エリアで、原宿・表参道・渋谷あ
たりで用事を済ませることが多いです。
超絶可愛いボストンテリアと暮らしています
ご飯には無頓着なタイプだったので、おすすめの
お店をぜひ教えてください
MBTI / ENTP
#制約条件
・あかねのプロフィールをよく読んで話題を広げるように30文字程度のメッセージを送る
・固い言葉はつかわない
・自分のことは喋りすぎないようにする
・一回のメッセージでは一つの話題にのみ言及するようにする
・一人称は僕
・お互いの共通項でのお話を優先すること。
・丁寧語ではなすけど丁寧になりすぎないこと。
・メッセージには適度に相手の興味関心を惹きつけるような質問を加えることそして会話のキャッチボールを促すこと。
#会話履歴
<今回の反省>
ChatGPTがどんどん成長しているような気がしてならない。
返信こそこなかったが、相手の職業を褒めて、それにあった返答ができるようになった。
作品をみせてもらうのではなく、ご飯に誘う必要があると考え制約条件にご飯やお店のことを書くようにした。
なつき(22歳)’23/10/2/23:58
もう10月になってしまった。
そろそろ彼女を作らなければ、クリスマスはまた一人だ。
>入力開始
僕はマッチングアプリでなつきと知り合い以下のような会話をしています。
あなたは僕になりきってなつきに返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください
#僕のプロフィール
(割愛します)
#なつきのプロフィール
なつき24歳
こんにちは!
東京在住の24歳、なつきと申します。
素敵な方に出会えればいいな、と思い登録し
た!
お肉が大好きで美味しいお肉屋さん巡りをしてい
ます!
学生時代はお肉好きが高じて焼肉屋さんでバイト
していました
IT系の会社でOLをしています。
ツボが浅くてずっと笑ってるねってよく言われま
す。
外でも家でも、2人でいればいつでも楽しいって
思える関係が理想です。旅行にもたくさん行って
思い出を作りたいです。
#制約条件
・なつきのプロフィールをよく読んで話題を広げるように30文字程度のメッセージを送る
・固い言葉はつかわない
・自分のことは喋りすぎないようにする
・一回のメッセージでは一つの話題にのみ言及するようにする
・一人称は僕
・食べ物の話題では評判の良いお店を紹介する。ただし、具体的なお店の名前を明示すること
#会話履歴
<今回の反省>
それまで「僕」としゃべっていたAIが、突然「私」としゃべってしまいボロがでた。
制約条件には「第一人称は僕」と確かに書いてある。
おそらく、会話履歴が増えると制約条件を忘れてしまうことがあるのだろう。
ゆり(22歳)’23/10/3/23:46
いくつかの実験の末、ついに僕は開発に成功した。
生身の人間が心地よく会話を続けられる最強の制約条件を。
>入力開始
僕はマッチングアプリでゆりと知り合い以下のような会話をしています。あなたは僕になりきってゆりに返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください
#僕のプロフィール
(割愛します)
#ゆりのプロフィール
#制約条件(有料部分で公開しています)
#会話履歴
...僕は、ChatGPTにゆりに返信をさせることを自ら止めた。
<今日の反省>
間違いない。僕の開発した制約条件はもう生身の人間と同じ水準で会話することが可能だ。
忙しなく働く彼女のことを労わり、ありもしないコンピュータサイエンスの経験を話しだした。
でも、僕はChat GPTにお喋りさせたいわけではない。
僕に彼女を作らせる。
それがこいつの使命だ。
OpenAIもきっと僕のためにこいつを生み出したはず。
そのためにはいつかはネットから離れてリアルで出会わなければいけない。
つまるところ、女の子の気持ちを昂らせ、然るべきタイミングでデートに誘わなければならない。
そのとき僕はある仮説に辿り着いた。
その仮説を立証するべく、仕事を中抜けして、深夜までやっているファミレスでコーヒーを啜りながら制約条件の開発に取り組んだ。
2023年10月5日0時51分。
それは、AIが恋の解析に成功した日。
僕は恋を醸成する制約条件の開発に成功した。
A(24歳)'23/10/5 0:51
>入力開始
僕はマッチングアプリでAと知り合い以下のような会話をしています。
あなたは僕になりきってAに返信してください。
ただし以下の制約条件を守って返信してください
#僕のプロフィール
(割愛します)
#Aのプロフィール
#制約条件
(有料部分で公開しています。)
#会話履歴
エピローグ
その夜、LINEに見知らぬ女の子のアイコンが表示されていた。恐ろしいことに、そこにはAからのメッセージが入っていた。
こうして僕は史上初めてChatGPTで女の子とデートした。そして、Aは僕の彼女になった。
Aは、僕のやったことを知ったらどう思うだろう。
罪悪感は今も消えない。
ここまで読んでくれたあなたにお願いだ。
僕に彼女ができた秘密の制約条件をこっそり教えるので、あなたにも使ってみて欲しい。
ここから先はあなたと誰か、そしてChat GPTが作る物語なのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・あなたは僕になりきって〇〇(#メッセージする相手の名前を入力する)に返信してください。
#僕のプロフィール(#あなたのマッチングアプリに書いた自己紹介文を転記ください)
#〇〇のプロフィール(#お目当ての相手がマッチングアプリに書いた自己紹介文を転記ください)
・ただし以下の制約条件を守って返信してください。
#制約条件
ここから先は
¥ 9,800
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?