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タバコが私の盾だった頃


若い頃(20代前半)は、早く大人になりたくて、いい女として見られたくて、頑張って背伸びをしていた。

あの頃はボディコンが流行っており、私もそのはやりに乗ったこともある。
パンツ見えそうなやつ。
あの頃は冷えなんて感じなかったわ。
今あんな格好したら、ド変態として即、職務質問され、連行されるはず。
まちがいない。
足腰冷えるからしないけど。
出た腹と垂れた尻とシュレックのような顔面ではヤバい、私はそんな恰好で人前に出るもんじゃない。


キツめのお酒を飲んでみたり、真っ赤な口紅を塗ってみたり。
タバコもそう。
タバコの味なんてわからなかったけど、気取って吸っていた。

元々、お酒や夜の店の雰囲気や、ネオン街のキラキラした人間模様とその裏に渦巻く愛憎なんかを傍で感じるのが好きだった。
花金(死語か)は、目いっぱいオシャレして何センチもあるヒールをはいて、飲み仲間たちとぶらついたり。


ホステスのアルバイトも経験した。
傍から見てたら簡単そうに思えたんだよね。
お酒飲んで男と騒いでたらいいんだと、そんなの楽勝!だと考えていたが、甘かった。(そりゃそうだ)
あの頃は、コンパニオン、ラウンジレディとか言ってたなぁ。
今で言うキャバ嬢か。



タバコは私の盾のような物だった。
相手になめられないようにするための武器。

今思い起こせば、急ぎ足で大人になろうとしていたんだなと。
時代もそんな感じだった。
大人じゃないと許容してもらえない、私の周りにはそんな空気があった。

若い頃から単独行動が好きで、カフェやバー、映画館、ラーメン屋など行くことが躊躇なくできたのは、タバコのおかげだった。
小娘だと自覚していた私、一人で初めての店に入る勇気が出ないときもタバコがあればえいっ!と入れた。

バーのカウンターに座って涼しい顔でおもむろにタバコ一本ふかすことができれば、内心よっしゃ~!って勝ち誇ったように感じていたものだ。

今思えば、いきがった変な奴だよ。



世の中がタバコの分煙や禁煙を声高にするようになって、ずいぶんと経った。
愛煙家は隅へ隅へと追いやられてますます肩身が狭いと聞く。

私はタバコを吸わなくなって久しい。
タバコは確かに健康被害を被るものだろうけど、百害あって一利なしではなかったなと思ってる。


気分が落ち着くのと、勇気が出るお守りだった。







お香から出る煙をじっと眺めていると、タバコの煙をくゆらして遊んでた頃を思い出した。

今やすっかり健康志向だよ、どした(笑)