コスパのいいアルファベットはどれなのか?価格と重量で比較 【空想したもの】
皆さまは、コスパのいいものはお好きですか?
私も「コスパのいい」もの自体は好きですが、広告やメディアでこのワードが大量に使われるようになってきてしまい、うんざりしています。
マーケティング側はあれこれ人の心に訴えかけるキャッチフレーズを考えなくても、このワードを使えば一定以上の売り上げが見込める、すなわち「コスパ」というワード自体が「コスパのいい」文字列になっているわけですね。
今回は、アルファベットについて価格と重量の観点から、コスパを考えていきたいと思います。
前提:コスパとは価格に対する重量の大きさ
もう1つ、私が考えたのは価格に対する重量の比較です。
この章では、「文字のコスパがいい」を「価格に対する文字の重量が大きいこと」だと定義します。
(価格が同じで重量が大きい→材料をいっぱい使ってるからお得!コスパいい!という考え)
ただ、これはあくまで消費者から見たときの話なので、もしかすると販売側からすれば製造コストや輸送コストが嵩まないような、重量の小さい文字の方がコスパがいいと言えるのかもしれません。
今回はコーナンで販売中の『ウッドレター』、モノタロウで販売中の『アルファベットレター』という商品を用いて、各文字のコスパの良さを調べました。
共通する条件(マルカイコーポレーション『アルファベットレター』)
販売価格:109 円(税込 120 円) ※2023年7月17日現在
材質:MDF材
共通する条件(コーナン『ウッドレター』)
販売価格:128 円(税込 140 円) ※2023年7月17日現在
材質:MDF材
厚み:20 mm、高さ:100 mm
上記の条件を見てわかるのが、コーナンの商品が厚みと高さを揃えたことで各アルファベットの質量や縦横比が大きく異なっている点です。
(※余談)コーナンの商品は厚みが同じであるという点から、質量ではなく面積からコスパ比較をするという案もあったのですが、重さを測る方が比較的楽だったのでそちらを選択しました。面積を測るなら、比率を保ったまま商品の写真撮影・加工してから白黒画像に変換して(例:背景を0に文字部分を1にする)、文字の部分の画素数をカウントして、それと縮尺の倍率から面積の近似値を求めるといった方法が考えられます。
測定方法(コーナンのみ)
コーナンの商品の重量は全てはかりで計測します。
各文字ごとに5回ずつ計測して、その平均を取っています。
ただし、はかりの精度があまり高くなく、小数点以下の数値はあまり信頼できるものではありません。
また、外れ値を除去して再度計測を行ったこともあるため、この計測はやや恣意的です。
なお、はかりが非常に小さく、文字によっては置き方が安定しないため、計測値が安定するまで数回置き直しています。
できる限り文字の重心が中央にくるように、荷重が均一になるように置いています。
正直、各文字の重量の大小関係がわかれば十分なので、良くない精度のはかりの計測データを小数第2位まで記載するよりも、1g単位精度ぐらいのはかりのデータを記載した方が良かったかもしれません。
(余談)本来ならば以下のような手順ではかりの点検や校正を行って、計測値の精度を保証する必要があります。
マルカイコーポレーションの商品については、重量データをWebの通販サイトから持ってきています。
結果と考察
以上の測り方で得られた、各アルファベットの重量のデータは以下の通りです。
コーナン 重量 [g] マルカイ 重量 [g]
A 92.60 A 42
B 105.70 B 56
C 88.78 C 38
D 107.35 D 54
E 98.43 E 44
F 81.67 F 42
G 101.50 G 48
H 104.49 H 60
I 55.97 I 28
J 62.22 J 34
K 96.63 K 54
L 63.74 L 36
M 110.81 M 54
N 107.06 N 48
O 98.86 O 54
P 85.16 P 44
Q 111.89 Q 62
R 110.48 R 60
S 93.47 S 40
T 72.55 T 38
U 96.31 U 46
V 84.79 V 46
W 103.10 W 58
X 96.37 X 50
Y 67.31 Y 40
Z 97.95 Z 44
また、この重量データを降順に並び替えたときにコーナンの商品の順位を横軸に、マルカイの商品の順位を縦軸に取った場合の、各アルファベットの散布図は、以下Fig. 1のようになりました。
Fig. 1において特筆すべきは、コーナンとマルカイの両方で重量が大きいアルファベット(左下)と小さいアルファベット(右上)は、ある程度共通していることが見てとれる点です。(これを強調したのが下図Fig. 2です。)
これから言えることは、どちらの店で購入しても、「Q, R」はコスパが良く、「I, J, L, T, Y」は比較的コスパが悪いアルファベットだということです。
また、2つの会社のアルファベット重量の順位にはある程度正の相関関係があるようにも見えます。
更に、重量/円を計算すると、文字をどちらの店で買うとよりコスパがいいのかがわかります。
Fig. 3を見ると、各社の1円当たりの重量の大小を知ることができます。例えば、マルカイの「Q, H, R, … , X」はコーナンの「I」よりも1円当たりの重量が大きいから、コスパがいいと言えるかもしれないです。
コスパ道を征く者ならば、コーナンで「I」を買うぐらいなら、マルカイで「Q」を買ってよかったと言える人生でありたい。
ただし、Fig. 3では各社でそれぞれ重量順に並び替えた文字について棒グラフを並べているため、次は同じ文字同士で比較します。
同じ文字に対して、コーナン商品の価格に対する重量をマルカイ商品の価格に対する重量で割ってみると、各文字についてコスパの倍率が求められます。
結果は以下のグラフのようになりました。
Fig. 4を見ると、どの文字を買っても1円当たりの重量の比が、コーナン商品はマルカイ商品の大体1.5~2倍になっていることがわかります。
特に、「A, C, E, N, S, Z」はコーナンの方がかなりコスパいいと言えそうです。
究極のコスパを目指す人は、これらの文字だけ欲しいならコーナンで買いましょう。
少なくとも「SENSE」や「CAN」などは作れます。
これらがあれば人は生きていけます。
展望:アルファベットの売り上げから世界がわかる?
私がこの世のビッグデータを掌握した暁には、ホームセンターや雑貨店のアルファベットの売り上げ推移のデータを分析したいです。
「いつ、どこで、どのアルファベットが売れているのか?」
この商品はそこそこサイズが大きいです。
そして文字のオブジェ以外の使い道はおそらくありません。
となると、大きなスペースなどの余裕が必要になります。
どういったお客さんがこれを購入しているのか、実に興味深いです。
「購入する人はどのアルファベットと組み合わせて買っているのか?」
購入する人は、おそらく「HAPPY」などの意味のあるワードを作るはずです。
クリスマスシーズンには「XMAS」、パーティーや店先には「WELCOME」を飾るのではないでしょうか。
売れた文字から開催されるイベントを知ることも可能な気がします。
あと、今回は取り組みませんでしたが、計測した文字の横幅や縦幅から、その総合計が大きくならないような文字列を探すというのもいいと思います。
「嵩張らない文字列」をコスパがいいものと捉えれば、今回とは違った方向でお得な文字の買い方を考えることができるかもしれません。
また、コスパについては様々な解釈が可能で、例えば「習得労力に対する使用頻度の多さ」、「キーボード入力、点字、モールス信号でかかる入力の手間に対する情報量」、「発音したときのエネルギー量」などがぱっと思いつきます。点字で点の数が多かったりモールス信号で「・」ではなく「ー」が多かったりするアルファベットほど、送信に必要な電力が多くなるため、コスパが悪いと言えるのではないでしょうか。他にもミスタイプが多い文字ほど入力しづらい、修正にコストがかかるという理由からコスパが悪いと言えるのではないでしょうか。コスパ研究を進めるために世界中から赤ちゃんを集めて、アルファベットを覚えるまでに練習する文字の数や時間を計測したかったです。
どなたか私の意志を継いでくださらないでしょうか。
お待ちしております。
余談ですが、ホームセンターで重量を測っていた時、通りがかった他のお客さん2組が「この文字大きすぎて邪魔だし買わないよな」と言っていました。
あれこれやってきましたが、残念ながらどのアルファベットもコスパが悪いみたいですね!
さて、キレイな落ちもついたということで本発表を終わりにしたいと思います…
結論:ズバリお得なアルファベットは…
QとRはコスパがいい(=値段に対して重い)から買いましょう
逆に企業はIとJとLをもっと売りましょう
ご清聴ありがとうございました。
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