詮索とディスタンスと嫉妬と
小さな頃から人との距離感をはかるのがことごとく下手くそだった。そしてそれは、今も相変わらずである。
ここでの「距離感」は物理的なものと精神的なものの両方だ。
小さな頃は、今では考えられないほど人見知りをする方だった。自分は6歳からやっと幼稚園に入園したのだが、家族以外の人と時間を過ごすのが嫌で嫌でしょうがなくて、毎朝園の玄関で泣きじゃくって先生と両親を困らせていた。
また、物理的な距離感をつかむのも大の苦手で、よく父や母の後ろを歩いてはかかとを踏んでしまい、幾度となく注意されてきた記憶がある。かかとを踏まないように足元だけを注意していると、いつの間にか前に歩く人が入れ替わっていて迷子になったという経験は自慢じゃないが何十回もある。
小学校、中学校の頃もそれなりに人見知りはする方だった。
しかし、高校に上がり様々な経験を積む中で視野が広がり、いつの間にか誰とでも話せる、むしろ話しかけに行ってしまう人になった。元人見知り人間だったということは、おそらく付き合いが浅い人なら誰も思わないのではないだろうか。
だが、人見知り人間を卒業すると、また新たな壁にぶつかった。
距離感バグがよく起こるのだ。
そのせいで、見る人によっては「なんやあいつ。馴れ馴れしく接しやがって」みたいな感想を抱かれてしまう。
今回は、人との距離が近すぎて困っているというお話。
たとえば、廊下で先生とすれ違う時。
大体の生徒は授業や部活で接点がある先生と仲良くなる傾向にある。が、しかし。自分はそんなの関係ない。「なんか良いな」と思った先生にガンガン話しかけに行ってしまう人なので、その先生の授業を受けていなくても廊下で見かけたら「せんせ〜やっほ〜!元気ですか?」と5歳児のように話しかけて手まで振ってしまう始末。無論、5歳だった頃の自分には到底成し得ないことなのだが。
だから、特に人気のある先生にそれをやってしまうところを、例えばその先生の授業を受けている他のクラスの人たちに見られてしまうと、「あれ、あいつ一緒のクラスじゃないのにうちらの〇〇先生と親しくね?」と、ちょっと嫌な目や不思議なものを見る目で見られたりもする。直接、「さっき〇〇先生と何話してたん?」と責めるような口調で具体的な会話の内容まで聞いてこられたこともある。
でも、それに関しては、少し言い訳させてほしくて。
話したい人と話したいことを話して、何が悪いんだろう。
そもそも、目が合ったら手を振ってしまうのは癖で、一応直す努力はしている。決して、その先生に媚びを売りたいとか、ぶりっことかではない。ちっちゃい子が思わずそうしてしまうような、不可抗力だと思ってほしい。
物理的に距離が近いことに関しては昔からで、うまく相手との間隔がつかめないのだ。
でも、そこにわざわざ、詮索とか微かな嫉妬とかを貴方たちの都合で入れてこないでほしいし、勝手な推測もやめてほしい。どうして話の内容まで事細かに第三者に話さなければならないのだ。たかが貴方たちの安心材料のためだけに。それか、調子乗ってんじゃねぇ的な忠告のつもりなのだろうか。どちらにせよ性格悪いよね、そういうの。
と言うより、そもそも、貴方たちがその先生と話したいなら、自分のことなんて気にせずに話しに行ったら良いじゃないか。
物理的に距離が近いのは一番自分が自覚してるし、先生と別れた後に「あれ?そういやずっと右腕触れてたな。先生迷惑じゃなかったかなぁ」なんて思い返して毎回自己嫌悪に陥るのだから。わざわざ追い討ちをかけてこないでいただきたい。
一体どうすりゃ良いんだ。
別に自分が嫌われるのは、そりゃぁ自業自得な部分もあるからある程度は割り切れるけど。
かといって先生とは話したいから話してるだけだし。それ以上の理由もそれ以下の理由もないんだが。
あぁでも先生にまで飛び火するのは嫌だなぁ。
ただ詮索と憶測と嫉妬で向かってくるのはやめてほしいな。
それだけだ。自分が彼女たちに求めるのは。
だめだ、最近薬屋のひとりごとにハマりかけて思考が猫猫化している。
いっそこのことをその先生にほんのりと相談すべきだろうか。火に油を注ぐだけかなぁ。どうなんだろう。
この時点でひとつ確実に言えることがあれば、明日廊下でその先生と会ったら、間違いなく「せんせ〜!」と言って手を振ってしまうだろう。
(ちょっとは反省しろ)
ご清覧ありがとうございました。
自販機のコンポタでした🌽
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