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だからあなたが世界よりもだった

7/16 CRYAMY日比谷野外大音楽堂
「CRYAMYとわたし」

書こう書こうと何度もnoteを開いては、閉じていた。何から書こう。この感情を書くことは美しいのだろうか。
ただ書かないと忘れてしまう。
ならば限りなく心に近い言葉で書かないと。鮮度のあるうちに。
そう思った今日こそ、書いてみる。


まず私が人生で初めて「愛している」と伝えたくなったバンドはCRYAMYだ。
そしてこの日、このバンドの解散宣言を聞く心を、余裕はなかったが持っていた。誰もがそうだっただろう。

日比谷野外大音楽堂、最寄駅に着いた時にはリハの音が鳴っていた。空に響く私の大切な音楽は美しかった。この穏やかな6月の日比谷公園の景色に合っているとは言えないところがまた良かった。
想像以上の列の物販に並び私は開演ギリギリに購入出来た。バンドを好きになってから初めての額で物販にお金を使った。これも恐らく、最後の二文字が頭にあったからだと思う。

席に着き、CRYAMYと大きく書かれたステージをただ見ていた。
時間になり彼らがやってきて、

「君のために生きるという」と彼が歌う。
ここから始まったCRYAMYとわたし
結局ずっとそうだった。彼は君のために歌ってくれているし、それが私であり、隣の席のあなたであり、一番後ろのあなたでもあること。
この曲の歌詞に何度も助けられたことがあるのは私だけではないはず。

下らなくなったら何だって
捨てればいいよ
別に命なんて懸けなくていいよ
つまらなくなったらいつだって
やめればいいよ
別に命なんて感けなくていいよ
断言するけれど今でも苦しいよ
たぶんもう死ぬまで癒えないよ
それでもいいとかマジで思えるのはあなたがいるのが嬉しいからだ
あなたといられて嬉しいからだ

WASTAR

命なんてかけなくていい。私はこれからもずっとこの曲と生きていきたい。

そこからもずっと大切で大好きな音楽がなり続けた。最初のMC、彼の言葉全て過去形だった。「ステージの上からみんなの色んな顔を見るのが心の底から大好きでした。」この後に始まった“まほろば”は本当に美しかったが、何かを覚悟してしまって、最後という言葉が過ぎって涙が止まらなかった。

耳にちゃんと入るまでに時間のかかった最新アルバムも、そのアルバムの曲だけのライブでしか聴いてなかったけどこうやって前の曲と混ざり合って一つのライブになるとかなりちゃんと聴けるようになったし、「ああCRYAMYだな。」なんて思った。

13曲目の物臭〜15曲目のALISAまではすごく、聴けて嬉しいの気持ちが強かった。ライブにも少し慣れてきた頃だった。

そしてすごく大切にしたいMCがこの後。
「歌の中でくらいは綺麗なこと言いたかった。ただ結麗なものが好きだからここに来たしそれを信じて欲しかったから綺麗な言葉をいっぱい着せた。〜
悲しいことに綺麗な人間でも素晴らしい人間でもなくて、誰にでも優しくとか差別や戦争のない世界とか、思うんだよ思うんだけどね、
人を殴ったこともあるし、こんな人間は生きてちゃいけないとか思ったこともある。
何も綺麗な人間じゃないから歌を歌うことは自分に負けている気がしたし苦しかったし辛かった。」
こんな感じだったと思う。
でもこの後に「でもこれ(歌)しかなかったからね」と言った彼の表情はどこか遠くを見ているようだった。でも少し嬉しかった。あなたのそれがたくさんの人を惹きつけたんだよ。
そのあとは、私たちに感謝を言ってくれた。色んな表情を見ることで歌っている時はなりたかった人になれた言ってくれた。
「みんなのおかげで人間になれたような気がした。」これが忘れられない。
こんな感じで始まったGOOD LUCK HUMANはずっと涙が溢れていた。

「さよなら」の四文字は随分前に僕が壊しておいてあげたから

僕とあなたの瞬間に名前がないことが悲しい
ことに
気づいた瞬間に歌はきっと意味を持つだろう

どんどん進んでいくライブ。
道化の歌が聴けたのは驚いた。
そしていつも帰り道に流す曲の

でもね君が生きていて良かったって思うよ

鼻で笑うぜ

この後に「当たり前だろー!!!」と叫んでいたこと。
ずっと脳裏にいる。


もう四部構成の三部目に突入していた。
「俺は女がいた時も、いなかった時も、友達がたくさんいた時も、いなかったときも、金なかった時も、あった時も、心が満足している時も、してない時も、絶対に歌を歌う時は正真正銘あなた、君、お前!一人一人に向けて想いを割いて歌ってきた自負がある。」
最初からずっと変わらない。この日の一曲目のWASTARから変わらない。
いや出会った時からだ。そう言って近くにいてくれた。結果、何になったのかなんて分からないけど、この真摯なボーカルのいるバンドを心の底から愛していることは私の人生にとって大きな大きな時間になっている。時間をくれた。息をしている時間だ。込み上げてくるものがあったが、葬唱が始まる。
空を指さして「今日は使いこなす」と言っていたのが本当にかっこよかった。

使いこなせない愛と誠実を売って
もて余した曲で君を抱いた

葬唱

歌うということは負けるっていうことだよ

葬唱

中間のMCで歌うことについて話をしていたためこの歌詞の解像度が上がってしまった今日、ここを聴くのは少し寂しかったが、これを歌い切った後「今日は勝つ!」と言っていたのが嬉しかった。


月面旅行を「大切に聴いてくれてありがとう」と言った時は何かが報われた気になったし、この辺りの選曲はかなり優しかった。それに外が暗くなっていたことから終盤感を感じざるを得なかった。

「身体に気をつけて。悪い人もいっぱいいるけど良い人もいるから。長生きしてね。」
これだけだよと言って人々よを歌ったあとは、世界だった。確実にこのライブのクライマックスだった。「正真正銘CRYAMYとあなたのための曲」
過去があって、何も動けなくて、死にたいのか生きてみたいのかも分からなくて、鬱になって。
誰も一人じゃない系の、生きてるだけで偉い系の、そういう言葉をなんとなく自分のものに出来なかった私は“あなたはどこにだっているような人だけど生きてて欲しい”なんて事を歌う人が本当に美しく見えた。
ずっと心臓に一番近い場所で音楽をしてくれた事に心の底から感謝していた。
だからあなたが世界よりもだった。

演奏が終わり鳴り止まないコールと拍手は続くも物理的に野音には音が出せず彼らが出てくることはなかった。

ライブ終わり、放心していたが感情は想像よりスッキリしていた。忘れたくないが大きかった。

結局宣言されなかった解散については、言えなかったのか言わなかったのか何一つわからないが、明言しなかったおかげでみんなの俯く角度は少し上向きな気がする。私も。

あなたにもらった言葉は全てそのまま返したい。
長生きしてください。

CRYAMY、愛しているよ。これからも。

また。

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