宝塚記念コラム(全馬ミニ考察付き)


ポイント


馬場


先週日曜マーメイドS 10.0

これはクッション値であるが今年阪神のクッション値としては最硬であった。週末どうなるか分からないが雨は木曜のみ降りそう、従ってある程度硬いクッション値で週末を迎えるのではないかという想定。硬くなるに伴って時計も速い高速馬場傾向になっている。では、実際に阪神で近距離近時期の内回りでこの値に近く行われたレースは…

’22宝塚記念 10.2
’22大阪杯 10.3

この2レースとも内を選択した馬が勝ち負け。そして母父米国型とトニービン持ちが好走。これは次のポイントへも繋がってくるが、先週マーメイドSを勝ったビッグリボンの父がトニービン内包のルーラーシップ。先週からだと昨年宝塚記念.大阪杯よりそこまで内がという馬場ではなくある程度フラットという見方。今年に関しては最終週4週目開催であるのと継続値なクッション値になりそうなら、先週も踏まえて米国型よりもトニービンの持続のほうがより活きやすい可能性


今年の阪神重賞(内回り)


トニービン持ち/ディープインパクト産駒

23年 1着➍ 2着➌ 3着➋ / 2頭
22年 1着➊ 2着➌ 3着➍ / 3頭
21年 1着➊ 2着ー 3着➋ / 5頭
20年 1着➊ 2着ー 3着ー / 6頭

これは近年宝塚記念前までの阪神内回り重賞におけるトニービン持ち(1.2.3着の回数)とディープインパクト産駒(1-3着した頭数)の着度数。着度数のみ引っ張り出したものであって、そこには馬場や馬質等は一切加味してない。ディープ産駒の減少とトニービン持ちの増加という理由ももちろんあるだろうが、見事なまでに活躍度合いが反比例してきてるのが分かる純粋に強さで凌駕してきたディープ産駒の影響力が失せてきたことにより、広いコース~長い直線でこそ(東京)と思われがちなトニービンの血を持つ馬が瞬発力<持続力要素の阪神内回りでもたもたせず届くようになってきてるような。実際今開催のマーメイドSではルーラーシップ産駒、鳴尾記念では母母父トニービンが勝っているし、同距離京都記念はハーツクライのワンツーであった。そして何と言っても今年はトニービンの血を持つ馬がかなり少ないのでピンポイントで狙いたくはなる


気力


路線の多様化に伴ってここを目標に!という馬も少なくなってきて=時期的なものもあり『気力』の充実というのがかなりポイントになりそう。例えば21年2着ユニコーンライオンは鳴尾記念1着←3勝クラス1着←3勝クラス3着。18年3着ノーブルマーズは目黒記念2着←メトロポリタンS2着。この2頭なんかは下からのし上がってきた代表的な馬であるが、こういう少し格下感ある馬でも気力(=近走のリズム)さえ充実していればこのレースは時期的なものもあって通用しやすいということであろう。他の馬券対象馬を見ても近走(特に前走)で大崩れしてた馬の巻き返しはほぼ見られず、きっちり気力が充実してたであろう馬である程度占められている。これと産駒の特徴を組み合わせて考えても良さそうだ。


全馬ミニ考察


✅アスクビクターモア

フィエールマン('20春天)
ダノンキングリー('21安田)
前走1秒以上負けから巻き返してG1を勝ったディープ産駒は過去2頭のみ。いずれもその前走はG1且つ間隔開けてのもの。前走1.9秒負け←前々走2.6秒負けの同馬。基本前走に順張りな産駒が多いだけにこの間隔での臨戦過程は気力的にも大いに疑問。


✅イクイノックス

母母父トニービン。未だ連対率100%。母父キングヘイローの父である狂気の血ダンシングブレーヴが凄い脚の源になってるかも。隙らしい隙が全く見当たらないように見えるが重箱の隅をつつくならこれ☟

これはキタサンブラック産駒における芝重賞クッション値別成績。軟>>硬クッション値という産駒傾向。

実際、同馬はここまで9.6以上でのクッション値で走った経験なし。しかもPCIという値を見ると(説明は省略)、天皇賞秋はパンサラッサが飛ばしハイペースになったが同馬のPCIは61.1で実は後ろは相当な隠れ超スロー。つまり前半からペースに乗っていくレース経験値はさほどでもない。そんな中で単勝オッズは意外にも初の1倍台濃厚ときた。キタサンブラック産駒でも規格外であるし有馬の強さを見せられたらしょうがない気も。しかもトニービンを携えておりクッション値なんか相殺してしまいそうなのだ。硬クッション値と高速馬場で前半から流れる持続戦で案外?のほうに賭けてもいいが…どっちにしてもこの馬どうこうという馬券じゃない馬券で勝負してもいいであろうし。


✅ウインマイティー

回避


✅ヴェラアズール

エイシンフラッシュ×クロフネ字面だけなら阪神2200m合いそうな感覚はある。最終週中距離重賞とキングマンボ系種牡馬との相性の良さもあるし。しかし近2走から気力という意味では?マークを付けざるを得ない。


✅カラテ

キングマンボの父トゥザグローリーにフレンチデピュティ×パラダイスクリークのステゴ牝系。最終週重賞新潟記念を勝ってるように馬場的にはフィットしそうな構成。これまでG1は全て東京だが舞台設定的には東京より断然向いてるはず。(不利があったにせよ)前走の負けを前々走不良で圧倒した後でリセットされここへ気力充実ととるか?崩れたととるか?


✅ジェラルディーナ

小回り.急坂コースがマストのモーリス産駒。同馬.ピクシーナイト.ラーグルフ、モーリス産駒でG1好走した3/4は父同様に熱されて熱されて上り詰めた印象。これは古き良きロベルト感である。だからこそ近2走6着→6着というのは気力的には引っ掛かってくるものはある。叩き3走目で変わるロベルトというのも古き良きであるが。


✅ジオグリフ

小回り大好物なペルースポート牝系一族馬。皐月賞なんかまさにそれでここも阪神2200mなら近さはある。父ドレフォンはストームキャット系だが一度不振期に入るとなかなか抜け出せないというのもストームキャット系種牡馬の特徴。同馬もそれと気力という面でどうだろうか。


✅ジャスティンパレス

気力充実のディープ産駒。母方は体力とパワーの米国血統で硬クッション値というのは向いてそうである。ディープ産駒特有の斬れ瞬発力タイプでもないし。トニービン持ちに勝てるかどうかだがアスクビクターモアならよっぽどこっちで良かろうかと。


✅スルーセブンシーズ

ドリームジャーニー産駒で母方は米国配合。硬クッション値と道悪両方こなしてきており父と母方のいい面が出ているか。前走から間隔が開いているが中山牝馬S1着←3勝クラス1着は出走馬の中では熱されてきてる部類であろう。とにかく同馬は4角コーナリングの上手さと加速力が最大の武器。それが嵌りそうなコース形態であるだけに、現状のフラットな馬場キープと外目の枠が欲しいか(より外差しになればベスト)


✅ダノンザキッド

一度落ちたかなあと思ったジャスタウェイ産駒なのにまた巻き返してきたのは当然ながら産駒の範疇を超えているというジャッジ。それはジャスタウェイというよりはその父であるハーツクライの成長曲線かもしれない。ハーツクライということはトニービンの血が流れてる。コーナー4回2200mの走りは未知数であるが香港と親和性あるレースで(ロマンチックウォリアーに0.7差離されたが)出走馬中唯一のG12着実績馬。


✅ディープボンド

昨年一気距離短縮でスピード面から追走出来るのか?個人的にはかなり懐疑的に思いある程度自信の無印もあわやの4着に驚いた。それは母父キングヘイローの父である狂気の血ダンシングブレーヴがそうさせたのかも後から思えば。キズナ産駒は同馬を代表的に体力寄りでしかも芝重賞では開催前半>開催後半の成績良。踏み固められてないソフト目な馬場が狙い目という見方も出来るが同馬の成績からそれは関係なし。むしろキズナ産駒として狙いは凡走後にある中でG1を連続好走出来るのかどうか。でも気力はありそうだ。


✅ドゥラエレーデ

前走東京のダービーをちゃんと走ったとしてまず斬れ負けしてた確率は相当高そう。ドゥラメンテ×オルフェーヴルに母の兄がサトノダイヤモンドで配合的にはパワー.体力寄りに分類してるから。ただ同馬も東スポ杯2歳Sを斬れ負けしてからホープフルSであっと言わせたように、ドゥラメンテ産駒の東京斬れ負け→急坂重賞弾けるというのは一種のパターンではある。ドゥラメンテがトニービン持ちではあるがフラットな馬場より内前有利な馬場が欲しいか。


✅ブレークアップ

ノヴェリスト産駒ってバリバリのドイツ欧州血統のわりに日本では硬クッション値を好む面も。ただ同馬は近2走3000m超で着をまとめてるように母父クロフネでも母母父キングズベストも相まって重たさを伝えてるか。湿馬場が欲しいというジャッジ。


✅ブローザホーン

回避


✅プラダリア

ディープ産駒でクロフネ×フォーティナイナーの米国母方。父よりも母方が強く出たパワー.体力型。これをディープ産駒としてチョイスするならジャスティンパレスでいいのでは。


✅ボッケリーニ

母母父がトニービンで今開催開幕週鳴尾記念勝ち。昨年G12つはまるっきり歯が立たなかったがその後連続好走。気力というにはいささか違うかもだがまたリズムを付けてきたのは事実。これまで重賞でG1馬の2着も複数あるしイクイノックス以外となら今回は戦えてもという気もする。それはトニービン持ちでもあるし、最終週中距離重賞とキングマンボ系種牡馬(同馬の父キングカメハメハ)との相性の良さもある。


✅ミクソロジー

回避


✅モズベッロ

近走復調気配は十分感じられる内容であるが、自身が好走した’20宝塚記念と比べると気力=リズムという面では劣る。ディープブリランテ×Harlan's Holidayなら戦績通り湿った馬場となって初めてどうするか考えるぐらいでいいだろう。


✅ユニコーンライオン

父No Nay Neverはストームキャット系種牡馬。一度不振期に入るとなかなか抜け出せないというのもストームキャット系種牡馬の特徴、それを一気に抜け出せた福島記念がクッション値8.9。その後また奮わなくなった。現状の硬クッション値に2着した’21宝塚記念に遠く及ばない臨戦からの気力。リピートするのは厳しそうだが。


✅ライラック

オルフェーヴル産駒は凡走後こそ輝くのと同レースはリズムからの気力。このアンマッチをどっちに捉えるか。それよりもオルフェ×キンカメでパワーの方向性に出てるならこの硬クッション値の馬場は割引なのかなと。