ホープフルステークス考察
先日の有馬記念は過去のクッション値にバラつきがありながらも馬券内に来てる馬に共通性があると感じ、近年の過去血統傾向=欧州志向にグッと寄せた考察に。有馬が例年より”速力”が問われドウデュースが父ハーツクライでもVindication×Gone Westという米国の血が前に出た母方、スターズオンアースが祖母スタセリタからのラインでがっつり欧州の支えがあるも母父Smart Strikeは米国型という決着も…今回のホープフルSは2歳同世代戦の中山2000m。有馬の結果に寄せるというよりは【今世代で優位性ある血】【中山世代戦中距離重賞の変化】このあたりから捉えていきたいなと。ディープ&キンカメ産駒が居なくなって種牡馬戦国時代。ここは過去傾向を見るよりは出来るだけ世代が今どう動いてるか?という考え方で。
まずは今世代で優位性ある血から。
’22
ホープフルS
1着 ドゥラメンテ
2着 デクラレーションオブウォー
京都2歳S
1着 ラブリーデイ
2着 デクラレーションオブウォー
札幌2歳S
1着 ドゥラメンテ
2着 ルーラーシップ
同じコーナー4回である2重賞とホープフルSの昨年の1.2着馬の父がこれ。昨年は父キングマンボ系→父ノーザンダンサー系決着(3着も父キングマンボ系)。デクラレーションオブウォー産駒はトップナイフで共通、札幌2歳S1.2着・京都2歳S1着が父キングマンボ系。特にこの世代は父キングマンボ系と父ノーザンダンサー系メインで回っていったが、まさにホープフルSへと血のリンクがあったかなと。
’23
京都2歳S
1着 Siyouni
2着 ハービンジャー
札幌2歳S
1着 デクラレーションオブウォー
2着 スワーヴリチャード
そして今年はというと…京都2歳S1.2着.札幌2歳S1着が父ノーザンダンサー系という結果。少し奥まで見ていくと、京都2歳S1.2着は母父サドラーズウェルズ系で3着馬の母方もがっつり欧州型。札幌2歳S2.3着は母方に非キンカメのキングマンボ持ち。京都2歳Sは開催最終週そして札幌2歳Sも開催最終週の洋芝と条件的にはそうなりやすいのかもしれないが、体力.パワーに長けたノーザンダンサーの血が前面に出た馬と母方に入ると重さを伝えやすい非キンカメのキングマンボが活躍。
ではさらに父ノーザンダンサー系を取り上げて中山世代戦中距離重賞の変化を見ていきたい。
’22-’23世代
3着内(延べ)⑧頭/19頭出走
’21-’22世代
3着内④頭/11頭出走
’20-’21世代
3着内②頭/5頭出走
’19-’20世代
3着内⓪頭/3頭出走
これはホープフルSから皐月賞までのいわゆる中山中距離重賞6レース(つまりコーナー4回)における、世代別の父ノーザンダンサー系が3着内に何頭入って何頭出走してたかというもの。年々出走頭数の増加とともに3着内もそれに比例して増加してるのが分かる。これはディープ産駒減少→不在というのと関係してるのは確実と言って良さそうではある。昨年は皐月賞.スプリングS.フラワーCが道悪ではあったが…しかも昨年の世代は母父までもノーザンダンサー系が活躍しまくった。
今世代でのこの舞台と同じコーナー4回である2重賞の結果。そして中山世代戦中距離重賞の変化から導くならまずは父ノーザンダンサー系そして母父ノーザンダンサー系の馬は加点要素が見込めそうというジャッジ。
このあたりをベースにしながら1頭毎考察してみたい。
ゴンバデカーブース
父ブリックスアンドモルタルが新種牡馬ノーザンダンサー系。Storm Bird3×3にRahy内包で構成的にはデクラレーションオブウォーに近さを覚える。それはデクラレーションオブウォーがStorm Birdと≒のニジンスキー5×4にRahy持ちであるから。そういう意味ではまずいいんじゃないだろうか。そしてブリックスアンドモルタル産駒のここまでの大きな特徴は内枠>外枠・逃げ.先行>差し。揉まれ弱い印象があるがそれを消すのに先行力そして内枠○なら立ち回り型かも。母父ディープはコーナー4回2000m重賞を得意とし逆に父として得意にしまくっていた阪神1600m重賞で勝ち切れず苦戦。斬れを供給というよりはリファールからの小回り持続力に長けてる感。その母方にリファールクロス有りなら小回り持続力UPは字面から十分見込める。内枠○ブリックスアンドモルタル産駒とはいえ、ここまで逃げと最後方からしか競馬しておらず最内枠と戦法が気になるが…ただ最後方から勝ったというのは産駒の枠からは飛び出してる感はある。字面は申し分なし。
【A】
ヴェロキラプトル
父スワーヴリチャードが新種牡馬。ここまで24勝は新種牡馬ではトップ。9月までに15勝を挙げており完成度特に仕上がり早というのはその父ハーツクライよりも母父であるUnbridled's Songの影響力が大きいか。スワーヴリチャード産駒は芝だと20勝中1-3枠で3勝・4-8枠で17勝と一見外枠が良さそうに見えるが20勝は全て馬番⑪番より内でのもの。これはつまり少頭数で勝っているということ。実際数字を見ると見事なまでに少頭数>中頭数>多頭数という成績になっている。今回は前走7頭立て大外→フルゲート1枠というのはスワーヴリチャード的にまず試練に感じる。しかもその父であるハーツクライ産駒が中山1枠2000m重賞を鬼門に【0-0-0-11】(11頭中7頭が5番人気以内)。小回り内枠をキュッキュッと回る器用さよりは大箱でドンと追い掛ける、もしくは小回りでも外からズドンという感覚。まさにこれはTHEトニービンであるのでねえUnbridled's Songというよりは。母方のGiant's Causeway×ヌレイエフはいいのだが。
【C】
アンモシエラ
父ブリックスアンドモルタルが新種牡馬ノーザンダンサー系(詳しくはゴンバデカーブースのところで)。中山相性抜群のフェアリードール牝系馬であるが母父ゴールドアリュールからの影響か使い出しからダート一辺倒となるとそういう馬という認識か。ただ芝で走ってもおかしくない構成ではある。
【C】
アドミラルシップ
ゴールドシップ×キングカメハメハで半姉にライラック・全兄にブラックホール。ホープフルS9着だった全兄だが舞台的には向く方であろう。ゴールドシップ産駒はここまで圧倒的に牡<<牝傾向。父&母父非ノーザンダンサー系であるならなかなか評価し辛いなと。字面的には馬場が重くなって出番のような。
【D】
サンライズジパング
キズナ産駒で母父Zoffanyがダンチヒ~ノーザンダンサー系。Zoffanyの父がハービンジャーの父でもあるDansiliで、京都2歳S2着馬の父がハービンジャー・京都2歳S3着馬の母父がDansili全弟というのは繋がってはくる。その母方にはニジンスキーが3本入ってるがキズナ×母方ニジンスキーというのは相性良な組み合わせ。牡馬だとディープボンド.ハギノアレグリアス.ハピ.サヴォーナ.インプレス.クリスタルブラックがそうだがかなりパワー.体力寄りな面々。ニジンスキー3本はここではだいぶやりすぎとも思うが。
【B+】
シンエンペラー
Siyouni×Galileoという欧州ノーザンダンサー系配合で凱旋門賞馬ソットサスの全弟。この馬が登場するまでのSiyouni産駒は欧州型でも芝1200m戦に特化し、らしいのは軟らかめの馬場(クッション値低め.含水率高め.道悪)が得意であったこと←SiyouniがCozzene内包でその血の影響力が大きかったかも。それを前走2000mでクッション値9.9を勝ってきてるのだからSiyouniでも枠外の可能性。普通凱旋門賞馬が日本へ来たらとなると厳しいイメージだがミスプロの5×5×5×5という4本持ったクロスが同馬にとって適応力を増してるのと今の血統の流れにフィットしてるかもしれない。あとは今の中山は昨年よりクッションが硬めで推移し例年より速い馬場というところだけであろう。
【A】
テンエースワン
ワールドエース×クロフネ。クロフネはノーザンダンサー系であるがデピュティミニスターなんで米国型であるが内包してるネヴァーベンド.ロベルトが効いてるかのようで私的には少し欧州寄りと都合よく解釈してるところも。ディープとの組み合わせだとタフ2000m重賞に強い。その母父クロフネは芝重賞では2000m~2500mがホットゾーンで色んな種牡馬に染まってる。ワールドエースの母マンデラ一族は中山でよく走る。
【C】
インザモーメント
キズナ産駒で母父Curlin。菊花賞4着リビアングラスの全弟。母父Curlinはミスプロ系でその父がSmart Strikeなら米国型という範疇。ただこの血の供給なら芝なら中距離志向=特にタフ芝。Smart Strikeとしてはブレイクランアウト.レッドレイヴン(←若い頃は東京で速い上がりで好走したが)、先日の朝日杯FS勝ちジャンタルマンタルの父パレスマリスもSmart Strike系で朝日杯当日は稍重→良馬場。そういう志向も見受けられる血なのかなと。まあSmart Strikeはスターズオンアースの母父でもあったが…母母父Royal Academyがニジンスキー系でキズナ×ニジンスキー内包馬。相性良な組み合わせであるが牡馬だとディープボンド.ハギノアレグリアス.ハピ.サヴォーナ.インプレス.クリスタルブラックになってかなりパワー.体力寄りな面々になるが。
【D】
タリフライン
2年目産駒となる父サトノダイヤモンドに母父Pour Moiはサドラーズウェルズ系。その母父にまずは好感が持てる。しかも現2歳世代でサトノダイヤモンド×母方サドラーズウェルズとの組み合わせが同馬込みで既に4頭勝ち上がっており、それが勝ち上がり11頭中なら相性間違いなく良し。初年度産駒サトノグランツ.シンリョクカも母方欧州志向だったので方向性が見えてきている。父だったディープ産駒より鈍重さがあるだけにそれを薄めて上でやるには米国よりは欧州の血を放り込んでやるみたいな。そしてサトノダイヤモンドはキズナ産駒と近いイメージ。サトノグランツにディープボンドの京都新聞杯、シンリョクカにマルターズディオサの阪神JF、ダイヤモンドハンズにアスクワイルドモアの札幌2歳S、重賞で馬券になったレースはキズナ産駒が先に馬券になってたレースであり、神戸新聞杯では1.2着、京都新聞杯では1.3着とサトノグランツとセットで馬券になったのが共にキズナ産駒。ホープフルSのキズナ産駒は【0-0-0-2】であるが買うならセットでというのも良かろう。そんなサトノダイヤモンドの半妹を母に持ってたのが昨年Vのドゥラエレーデ。そして前走この配合で上がり33.4は強烈な違和感。
【A+】
シリウスコルト
マクフィ×ゼンノロブロイ。マクフィ産駒はオールアットワンス.ルーチェドーロが代表産駒で欧州型でも短距離に特化。ダートだと距離はこなしてくるが芝だと2000mを超えると僅か2勝のみ←その内1勝が同馬の前走芙蓉S。新馬は1200mで穴でもイメージ通りだが前走には少々違和感。この配合は牝馬ではあるが4勝馬ペイシャフェスタが出ており成功配合なのであろう。推し要素は少ないが。
【D】
ショウナンラプンタ
キズナ産駒。Unbridled's Song.Storm Catの血が母方に。キズナの父であるディープと相性良い母方の血を持ってきてディープ代わりとしてキズナに付けたイメージ。その2系統がそれぞれ母父.母母父にという構成で米国型の母方。5代母方にキズナと相性良いニジンスキー持ち。相性良な組み合わせであるが牡馬だとディープボンド.ハギノアレグリアス.ハピ.サヴォーナ.インプレス.クリスタルブラックになってかなりパワー.体力寄りな面々になるが、ニジンスキーがだいぶ奥にある分だけスピード供給はあるように感じる。
【C+】
ディスペランツァ
ルーラーシップ産駒で母父Medaglia d'Oroはサドラーズウェルズ系。サドラーズウェルズという響きから欧州を想像するがMedaglia d'Oroはダマスカスを内包し自身は米国活躍馬だった点からも米欧サドラーズウェルズの感覚。半兄ファントムシーフ・ショウナンバシットが同じ母父Medaglia d'Oroであるのでパワー供給がかなりありそう。祖母Promising LeadがハービンジャーのDansiliと同じと言っていい血統構成。京都2歳S2着馬の父がハービンジャー・京都2歳S3着馬の母父がDansili全弟というのは繋がってはくる。さて問題はルーラーシップ。昨年ルーラーシップの系統である父キングマンボ系は2歳重賞で【6.4.4.16】でホープフルSでも1.3着だったが、今年はここまで【1.2.1.19】と厳しい状況。そこが少し引っ掛かるが…鞍上のモリスも”外人らしく”ドゥラメンテ.シュヴァルグランとトニービン内包馬で穴を出しておりルーラーシップが持ってるトニービンとは合いそう。
【B+】
レガレイラ
父スワーヴリチャードが新種牡馬。ここまで24勝は新種牡馬ではトップ。9月までに15勝を挙げており完成度特に仕上がり早というのはその父ハーツクライよりも母父であるUnbridled's Songの影響力が大きいか。スワーヴリチャード産駒は芝だと20勝中1-3枠で3勝・4-8枠で17勝と一見外枠が良さそうに見えるが20勝は全て馬番⑪番より内でのもの。これはつまり少頭数で勝っているということ。実際数字を見ると見事なまでに少頭数>中頭数>多頭数という成績になっている。今回は外目の枠ではあるがフルゲートは試練。ただコラソンビートはこなしたように牝馬となると脚が速く優等生な面が牡馬よりはありそうではある。リファールクロス有りで小回り持続力UPも見込めそうであるし。スワーヴリチャードの父ハーツクライ、そのハーツクライを父に持つジャスタウェイ、共に産駒は牝<牡傾向で牝馬で上で活躍傾向にあるのは母方が欧州志向の馬。そういった意味では母父ハービンジャーと曾祖母ウインドインハーヘアからすれば悪くないのかも。母が姉妹同士で牡馬クラシック候補と噂されるアーバンシックと同構成血統で共に羽ばたくか。
【B】
ホルトバージ
キンシャサノキセキに母父Zensationalはミスプロ系。それ込みで母方は米国要素強い。キンシャサノキセキがフジキセキ、ZensationalがUnbridledならば距離を短くした阪神1400mあたりで見てみたい馬。
【D】
ウインマクシマム
キタサンブラック産駒で母父ロージズインメイは米国型。キタサンブラックと相性良いのは母方にフレンチデピュティもしくはリファール。フレンチデピュティ持ちはウィルソンテソーロ.ガイアフォース.コナコースト.ヴェルテンベルク、リファールはイクイノックス.ラヴェル。同馬は母方の奥にリファールを抱えておりキタサンブラックとのリファールクロス発生。キタサンブラックの父がブラックタイドで母母父グラスワンダーならイメージは同じ生産グループのマイネルフロスト(ブラックタイド×グラスワンダー)。こういうところは合ってはいるが現状とは少しズレてる感。
【C+】
センチュリボンド
キズナ産駒。今回4頭出走してる中で唯一キズナと相性良い母方にニジンスキーを持ち合わせてない馬。キズナ×ニジンスキー牡馬の活躍馬の顔ぶれを見るとかなりパワー.体力寄りな面々になるが、それを持ってない分母方に入ると重さを伝えやすい非キンカメの母母父キングマンボからそれを頂いてるということになれば今回いいのかもしれないなと。それは母父ヘニーヒューズが父だった母マニクールがダート短距離馬で、母母父キングマンボが父だった祖母フェミニンガールが旧紫苑S2着だったところからしても。これを買うならセットでサトノダイヤモンドのタリフラインは是非とも買いたくなる。
【B】
サンライズアース
父レイデオロが新種牡馬。ここまで距離は2000mが優秀で1600m以下は壊滅的…それと東京.新潟のイマイチさも踏まえると、速さ.スピードが同世代で格段に劣ってる感。芝→ダ替わりが【1-2-1-4】(1勝は8人気)で湿馬場が走れてる。まとめると悲しいかな現状はパワー.体力のベクトルでここまで冬の中山で産駒が【1.3.3.7】とそこそこ走れてるのは今開催いくら馬場が良いとはいえどなるほど納得。ある程度向きそうではあるが今世代父キングマンボ系の2歳重賞が【1.2.1.19】で昨年【6.4.4.16】と比べるとなかなか厳しい状況。母父マンカフェでシュヴァルグラン.ダノンバラード.テリトーリアル等、年末年始中山で活躍高い優秀牝系であるが…レイデオロ産駒の真打ちは我がPOG馬トロヴァトーレや~(かなりの身内推しw)
【D】
ミスタージーティー
先日有馬で2.3着に入り今年の種牡馬リーディングをほぼ手中に収めたドゥラメンテ産駒。母父サドラーズウェルズで半兄姉にサトノルークス.タッチングスピーチ。母リッスンを祖母に持つのが先日阪神JF1着アスコリピチェーノと昨年このレース3着のキングズレイン。なかなか活力のある一族馬で侮れなそう。ただドゥラメンテが跳ねるには有馬2.3着馬がそうであったように前走東京重賞からの臨戦(斬れ負け)等あれば尚良かったか。同馬自身エンジンの掛かりが遅そうであるだけに。しかも今世代父キングマンボ系の2歳重賞が【1.2.1.19】で昨年【6.4.4.16】と比べるとなかなか厳しい状況。
【B+】