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インスタ映え#無理でした

#SNSのソーシャル部分が使えない

 例のごとく長々とした前置きから。インスタ、ひいてはSNSを使うのが下手という話から始めましょうか。

 まず初めに言っておくと、僕は綺麗な風景を見るのは好きです。美味しいご飯を食べるのも好き。それらを記録として写真撮るのも全然否定しないし、なんなら率先してやるタイプ。カメラ持ってない友達と旅行に行った時はiPhoneをパシャリパシャリ。参考までに、卒業旅行は9日で1800枚くらい撮ってました。
 だけれどもそれをtwitter・facebook・instagramにアップロードすることはほぼしません。最近仕事が忙しいから、仕事の愚痴を言いたくないが故にtwitterの更新はほぼストップ。facebookはアカウント作ったはいいけど今までに1回しか投稿してない。instagramはラインの歴代アイコン置き場としての利用のみ……

 インターネットの匿名性の高さ・特定の怖さを大真面目に信じているタイプの、言ってしまえば古臭い人間なもんでね。そんな僕に本名でSNSを使えというのは厳しい話なのだ。中でもfacebookとinstagramは本名で登録しているから余計に変な動きしたくないんだよね。

 本題のこともあるので話をインスタに絞りましょう。直前に書いた「変な動き」ってのは、おそらく公式で推奨されている使い方だと思う。
 綺麗な風景や美味しいご飯、その他最近あったアレコレの写真を撮影し、それを近況報告としてアップロード。最近こんな場所に行きました!楽しかったです!って言うのを広げる。共有する。写真をメインに据えたSNSとして、たぶん正しい使い方はこんな感じだよね。
 これが苦手。「共有する」っていう行為があかんのだと思う。僕の信じている「インターネットの匿名性」ってのに真っ向から反対している行為だからだろうね。ハンドルネームで不特定多数に向けて共有するのは、なんかの拍子で特定されてしまうのが怖い。本名で知人に向けて共有するのは、なんか自慢しているようで気が引ける。
 そういう訳で僕のinstagramには今までのラインのアイコンしかのっけていないんです。作った料理も香水も、なんとなく不特定多数に見せるものではないなと思ってしまう。

 あとついでに言うと、自分が所属していない個々のコミュニティ特有の文化ってあるじゃん。あれがちょっとキツいよね。当の本人たちは楽しいんだろうけど、コミュニティに所属しきれてない身からすると寒さを感じてしまう。
 Twitterやinstagramで具体的に言うと長いハッシュタグで会話するようなアレね。ぶっちゃけキモいよね。輪に入れていない時代遅れ野郎のただの愚痴ってのは分かっているけど、言わずにはいられない。斜に構えるタイプの人間なので……

 以上、ここまでが前置き。最後の文はちょっと余分だったけど、付け足したままにしておきます。

#はじめまして、おしゃれカフェ

 本題に入りましょう。

 この前職場の知り合いから、とあるカフェをオススメされたんです。曰く、「まさにインスタ映えって感じのカフェ」「人気すぎてめちゃめちゃ待つ。普通には入れない」とのこと。僕の地域で「海が見えるカフェ インスタ映え」って検索すれば出てくるタイプのそれ。

 ぶっちゃけ興味は半々でした。行ってみたい方の半分は、ちょうどたまたまいい距離のドライブができる目的地を探していたから。いわゆるデートスポット探しをしていたのだけど、その条件にぴったり合うような距離、中身だったのだ。
 一方で行ってみたくない方の半分は、これはもう先述した通り。斜に構えた偏見まみれの人間である僕は、インスタ映えするカフェ≒インスタバエ(なんか昔こう言う表現が流行ったよね)が沸くカフェという認識を持っており、そんなインスタバエに自分自身がなってしまうのかという一抹の葛藤を抱えていたのだ。

 交際相手もいわゆる「インスタ映え」に対しては近い感覚を持っていたのだが、協議した結果、次のドライブデートの目的地にこのカフェを据えることになった。
 経験していない行為に対して批判をするのは野暮なのではないかという、なんかそういう会話をした気がする。あとは単純に趣味を増やしたかったからというのがある。
 行くことが決定するとあんだけ嫌々言ってたおしゃカフェも楽しみになってくるもんで。実際、出発するその日の朝までは、これで晴れて趣味:カフェ巡りのマッチングアプリ向けボーイになるのだなあとしみじみ思ってたりもした。

 思ってたりもしていたんだ。

 いざ出発。ハードコアを垂れ流しながら高速道路をブンブン。ハードコアいいよね。オススメはBSCSです。
 で、到着。垂れ流すハードコアがちょっと申し訳なくなる程度の田舎の、おしゃれカフェ第4駐車場に車を停めて、予約表に名前を記入しました。
 ランチタイム終了まであと90分、順番待ちの客は10組程度。こう改めて書くとなんだか遊園地のアトラクションみたいね。
 テラス席か室内かの希望があって、テラス席希望の組が半分ほど。残り半分が希望なし。そりゃ海の見えるオサレカフェに来たんだもんな、テラス席に座って海を眺めたい人は多いのでしょう。
 僕もせっかくそういう所に来たのだからという希望はなくはない。とはいえここでテラス席を希望してしまうと、呼ばれる前にランチタイムが終わってしまいそうな気もする。
 「そういう場所でそういう経験」が今回の主題(主題がドライブならこれは副題か?)でした。オサレカフェでランチってだけなら室内でも問題なかろう。というわけで希望なしを選択。

 待ってる間に写真パシャパシャ。建築にもこだわりのあるカフェだそうで、食べログとかインスタとかでみんな同じ構図で撮ってる。それが気に食わんから意地でもちょっとずらした場所の風景を。
 表題の写真はそういう念を込めて撮影しています。カフェの天井部分。この下にカフェがありました。おしゃれ〜〜
 んで、交際相手と駄弁りつつ、隣の定食屋に2人揃って惹かれつつ、他の待ち客の会話を盗み聞きしつつして、結局ランチタイム終了ギリギリに呼ばれました。
 おそらくカップルであろう2人組の会話が記憶に残る。兄ちゃんがジョジョを勧めてんだけど、姉ちゃん全然興味なさそうだった。どっちかが思いやってやらんとこういうテンポの会話になるんよなあ。僕もよくやってるから気をつけないとな。

#未知との遭遇

 呼ばれたのは運良くテラス席。しかしデートに行ったのは春分だったので、まだまだちょっと寒かった。まあこれは仕方がない話である。このカフェには罪はない。例えば今(5月半ば)頃行くのであればちょうどいい気温なんじゃあないですかね。

 景色は、確かにいい。標榜どおり海が見えました。晴れ空だったので色合いも良し。曇りだと海がどんよりするから微妙なんよね。
 で、僕が思ってる相場より400円ほど高いカレー+僕が思ってるより200円ほど高いドリンク、デザートセットを注文。海見学代とでも言うのかしら。なかなか強気な値段ではあるが、需要があるのだろう。

 そう思って待ってると、我々の前のテラス席に新しい客が案内されました。
 これが、なんというか、「需要」そのもの。まさに「需要の顕現」でした。
 2人組女子。JK or JD。電車が通る場所とも離れてるから、車で来た女子大生かしら。座るなりヤバいを連呼、即座にiPhone取り出し無限カメラ。テラスの先の海を何枚か撮ったかと思いきや、そのままインカメにして自撮り自撮り。
 後ろに我々もいるんですがね、もちろんお構いなし。なんなら海以上に顔撮ってた。いつでも撮れるやんそんなの。なんなん。
 同じカレーを注文してたのだけど、カレーが配膳されたらされたでヤバい美味しそうと連呼。カレーを撮って、さらにまた自撮り。あらやだお姉さんさっきそれ撮ったでしょ。5分ほど経過し、カレーを一口食べてまたまた自撮り…そして自撮り……
 ジョジョ兄ちゃんより遥かに強い衝撃を受けた。僕が見逃してて後に交際相手から聞いた話だが、化粧は直すわカレーは残すわというなんともな有様だったらしい。

#さようなら、おしゃれカフェ

 彼女ら曰く『ヤバーい、超いい!』との談だが、果たして彼女らにとってどこが超いいポイントだったのだろう。
 これはあくまで偏見に基づく愚考だが、それは「海が見えるおしゃれカフェ」でも「海が見えるおしゃれカフェで食べたおいしいカレー」でもなく、「トモダチと一緒に映えるカフェで映える食いもん食ってる私」なのだろう。
 だが、彼女らと僕。どちらがよりあの店を楽しんだかというと、それはきっと彼女らに軍配があがるのだと思う。所詮僕はおしゃれカフェに来ておしゃれカフェを楽しんでいる人を斜に見る、それによって自分をまともだと思い込むだけの人間にすぎない。

 「インスタ映え」をカフェの推しにすると、ああいう客が寄ることがあるのだろう。「インスタ映え」が推しのカフェに行くと、あのUMAと遭遇することもあるのだろう。
 それを承知した上で、カフェそのものを100%楽しむことは、今の僕にはちょっとできない。
 趣味:カフェ巡りにはちょっとなれなさそうだなあと痛感しました。

 カレーは普通においしかった。デザートも普通においしかった。スタッフが特別変な対応をしていたわけではない。
 料金をあとから振り返ってみても多少強気だな程度にしか思わない、まあ普通においしいお店でした。
 ただ、それ以上の貴重なことを経験させてくれて、とても感謝している。
 ありがとうございました。おそらく今後行くことはないでしょう。

 果たして僕にインスタグラムを使いこなせる日は来るのだろうか。先は長そうである。

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