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『マッドマックス:フュリオサ』アニャ・テイラー=ジョイの履歴書

大ヒット上映中の映画『マッドマックス:フュリオサ』で、現在、話題沸騰中の女優アニャ・テイラー=ジョイ。
彼女が印象的な演技を披露した5本の映画をナビゲート!


『ウィッチ』(2015)

独特な作風で観る者を作品世界に引き込むロバート・エガース初監督作品。
17世紀のニューイングランドを舞台に、敬虔なキリスト教徒の家族が、魔女への恐怖から、狂気に取りつかれていく様を描き出す。
「赤ずきん」を下敷きに"魔女"を題材としたホラーで、斬新なカメラワークや何もかもが不気味な演出が目が惹く。
とにもかくにも、主演のアニャ・テイラー=ジョイの熱演が強烈な印象を残し、若くして大女優の貫禄すら漂わせる。本作がアニャにとっての記念すべき主演デビュー作となったわけだが、いきなり大きな注目を集める結果となった。

『モーガン プロトタイプL-9』(2016)

『ブレードランナー』『エイリアン』などで知られる巨匠リドリー・スコットの息子ルーク・スコットの長編監督デビュー作。
暴走してしまった人工生命体の試作品L-9‘‘モーガン’’の脅威を描いたSFスリラー。
若干余計な描写も目につくのだが、それでも人造人間の悲哀をスリリングかつ明確に描き出した一作。
アニャ・テイラー=ジョイとケイト・マーラというハリウッドで引く手数多の若手女優2人の好演が光る。
全てがひっくり返る驚愕のラストに刮目せよ!

『ニュー・ミュータント』(2020)

『X-MEN』シリーズと世界観を共有する「X-MENコレクション」。
ネイティヴ・アメリカンの居住区を巨大な竜巻が襲い、必死に逃げるダニエル・ムーンスター(ブルー・ハント)とその父であったが、あえなく父が竜巻の犠牲になってしまう。
なんとか逃げ切ることに成功したダニは、とある謎の施設で目を覚ます。
そこにはダニと同じく強大なパワーを授かったミュータントの若者たちが収容されており、医師のレイエス(アリシー・ブラガ)のもと、心理療法が行われているのだった。
そんな中、ダニが施設に収容されると時を同じくして、施設内に不穏な空気が漂い始める。
収容された若きミュータントたちの中に眠る消し去ったはずの過去の記憶が次々と呼び起こされ、彼らを恐怖のどん底へと突き落とすのだった……。
本作のキャストには、フレッシュな顔ぶれが揃えられている。特筆すべきは、魔法を駆使して強大な敵に立ち向かうイリアナ・ラスプーチン=マジック役に扮したアニャ・テイラー=ジョイだ。
鬼気迫る表情の数々で情熱的な演技を魅せ続けるアニャは本作でも健在。改めて、彼女の女優魂を思い知らせる熱演だと言えるだろう。

『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)

イギリスの田舎町からソーホーへとファッションを学ぶためにやってきたエリー(トマシン・マッケンジー)は、老婦人が営む下宿屋の一室を借りたことから、1960年代へとタイムスリップ。そこでクラブ歌手志望のサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)と一体化する奇怪な夢を見るのだった……。
映画の導入がまるで往年の名作ホラー『サスペリア』を彷彿させることから、本作はまさにエドガー・ライトによる現代版『サスペリア』なのであろう。
「お洒落」と「狂気」が混在する世界観が堪らなく魅力的であり、「過去」と「現在」が交錯するストーリーラインで様々な伏線を散りばめ、ミスリードを誘う。終盤の怒涛の展開は見事としか言うほかない。
トマシン・マッケンジーの控えめな演技、アニャ・テイラー=ジョイの官能的な魅力、マット・スミスの怪しげな存在感…それらが相まって生み出される見事なアンサンブルだ。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)

任天堂が世界に誇る大人気ゲーム「スーパーマリオ」をイルミネーションと共に映画化。
小さい頃からゲームでプレイしていた世界、ゲームの中でしか知らなかったマリオが、感情と表情豊かにスクリーンを駆け回る…その姿が何とも愛おしく、とても嬉しい気持ちにさせ、80’sミュージックを使うことにより、マリオが登場した時代をも懐古させる。
横スクロールを意識した演出もさることながら、「レッキングクルー」「ドンキーコング」「マリオカート」「ルイージマンション」などなど、「スーパーマリオブラザーズ」だけにとどまらず、あらゆる‘‘マリオ’’が持つ要素が見事に散りばめられた快作だ。
アニャ・テイラー=ジョイが英語版吹替を担当したピーチ姫の戦うヒロインとしての存在感も新しい。
本当にマリオのことを愛しているスタッフが丹精を込めて作ったのだなという印象を受けたが、どうにもマリオがアメリカのものになってしまった寂しさも感じずにはいられない……。

『マッドマックス:フュリオサ』での華々しい活躍で、一躍、時の人となっている、アニャ・テイラー=ジョイ。
将来的には、間違いなく大女優へと成長を遂げていくであろう彼女の出演作をこれからも追い続けていきたい!
(※筆者が彼女の出演作を鑑賞するたびに、この履歴書はアップデートされていく)

(文・構成:zash)

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