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覚えていることが、尊いと思う【リメンバー・ミー × 千と千尋の神隠し】

つい最近、やっとディスニー映画「リメンバー・ミー」を見た。
個人的にピクサー映画をあまり見ないため、この映画も今までだったら見る予定はなかったと思う。
ただ、周りから「めっちゃいいよ」「すごい泣く」と絶賛の嵐を浴びせられていたため、気になる映画になりつつあり、少し前に金曜ロードショーで放送されていたものを見る決意をした。


感想
めっちゃ泣いた。



タイトルになっているように、「Remember=覚えている、忘れないでいる」がメインテーマになっている。


Remember me. 私を忘れないで。


なんだか切ないタイトルだな…と思っていたけど、内容は「切なさ」に「温かさ」が加わって胸が温まる物語だった。


リメンバー・ミーを見て漠然と思ったことがある。
覚えている、ということはもしかして、すごく奇跡的なことなんじゃないか?と。
言うなれば、尊いことなんじゃないか、と。


実は、リメンバー・ミーを見る前の1か月くらい、舞台「千と千尋の神隠し」を複数回観劇していたことがあって、それにこの映画が重なってしまったという経緯がある。


千と千尋の神隠しでは、主人公の千尋は湯婆婆に名前を取られて「千」となったが、本当の名前をずっと覚えていた。
それとは正反対に描かれているのがハクで、ハクは自分の本当の名前が思い出せないけど、千尋と出会うことで名前を思い出す。
そして銭婆の印象的なセリフがある。

「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで。」


これまで経験してきたこと、会ってきた人、見てきた景色、聞いてきた音楽、触ってきた感触、嗅いできた香り…
きっと忘れていないんだと思う、ただ、思い出せないだけなんだ。
そう思うと、なんだか救われるかも、と思った。

個人的に記憶力は良いほうだけど、昔のことどんどん忘れていってしまうのが寂しいなと思っていたことがある。
忘れたくないから、思ったことアウトプットしたり、Twitterでつぶやいたり、写真を撮ったり(カメラも趣味)、こうやってnoteに書いたりしている。
だけど、「今まであったことは忘れないもので、思い出せないだけ」だと思うとなんだか救われる気がする。


それで、リメンバー・ミーの中では、死者の国にいる人は、生きている人が覚えていてくれることで死者の国でも肉体が(骨だけど)保てていて、かつ、生きている人が祭壇に写真を飾ってくれることで年に一回生者の国に渡って家族に会うことができる。
だけど、生きている人が誰一人死んだ自分のことを覚えていてくれなくなると、肉体が保てなくなり、消えてしまう。二度目の死が訪れる。


「二度目の死」

自分を覚えていてくれる生者がいなくなる。
そして自分もまた、消える。
こんな悲しいことがあるだろうか。

劇中でミゲルは、家族に音楽を否定されて「こんな家族もういやだ!」と逃げ出してしまう。
その時に、「どうだっていいよ祭壇なんて!」と言ってしまうのだが、後々その「祭壇」が死者にとってどれだけ大事なものだったのかが分かる。

このシーン、個人的にはかなりグッときた。
私は普段、演劇以外にカメラを趣味としていて、主にポートレート撮影を行っている。
その人の「いま」を写真に収めることが好き。
だから、写真を撮ることや、その写真を飾ることで、その人のことをずっと覚えていることができるのは、写真の醍醐味だと感じる。


すこし話が逸れてしまったが、「覚えている」ということは簡単なことじゃないと思う。
そして、だからこそ、奇跡なんだと思う。


リメンバーミーの劇中で出てくるお気に入りの曲がある。
メイン曲となっている「リメンバーミー」はもちろんだが、「音楽はいつまでも」というラストにミゲルが歌う曲が大好き。


魂が奏でる 素敵なメロディ
骨も揺さぶるよ 軽快なリズム
みんなの思い出と共に
生き続けるいつまでも

「思い出と共に生き続ける」
なんて素敵な表現だろう。

思い出って、やっぱり記憶なんですよね。
覚えていることが、思い出となる。

思い出(おもいで)
過去の体験を思い出すこと。特に、体験した事柄で今も印象に残って思い浮かべる、その事。

忘れてしまったら思い出ではないし、忘れ去られたら死者も消えてしまう。
だから、ミゲルは「みんなの思い出と一緒に生きる」と歌っている。


でも、忘れたことでも何かをきっかけに思い出すことだってできる。
ママ・ココがミゲルの歌うリメンバーミーを聞いてパパを思い出したように。

※このシーン、ミゲルが歌い出した瞬間大号泣でした。
泣かない人いる???



音楽って、その人のその時の思い出を蘇らせてくれるものだと思う。
経験したことある人たくさんいると思うけど、
「あの曲聞くと当時のこと思い出すな〜」とか
「この曲はあの時こう思ってたな、懐かしいな〜」とか
そいうこと。

そういうのを、まさに表現してくれていたのがリメンバーミーという映画だったように思う。

素敵。



たくさん話が逸れてしまったのだけれど、
詰まるところ、「覚えている」ということ自体簡単なことではないと思うから、やっぱり「尊い」んだと感じる。
わたしは。


みんなさんはどうですか?
記憶ってどんどん塗り替えられて上書きされていくものだから、消えてしまう、すなわち忘れてしまうことは必然。
でも、それでも覚えているもの、こと、人というのは
その人にとっては印象深い、愛情深い、想い入れの強いもの、こと、人なんだと思う。
だから忘れない。忘れられない。



それって、やっぱり奇跡だと思う。

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