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社会人になって一か月が経った。
映像制作の会社は思っていた通りに大変で、でも思っていた以上に残業が少ない。まあ新人だから遠慮されている部分も大きいんだろう。正直自分のやっていることがなんの役に立っているのか見えないことが多いし、うだつの上がらない日々が続いている。やる気ばかりが先行して、不甲斐なさが募っていくばかりだ。
昨日もオリンピック特番の制作補助としてフロアをかけずり回っていた。機材の名前はアルファベットの略称ばかりで気が滅入るし、制作のほとんどは完成形が見えてこないから、と言われたものの、そもそも下準備以外やったことがない。踏ん張りどころを見つけるのにも一苦労だ。
去年の今頃もそれなりに忙しかったつもりだ。東京オリンピックで売り手市場とは言われていたものの、十分すぎる以上に就活に追われていて、早い人ではもう大手企業に内定をもらっている友人がいた。それにゼミでは平成と令和の境目を意識したコラムを書けなんて課題が出ていて、2019年の4月30日なんてスクランブル交差点でバカ騒ぎをする渋谷の民を観察しに出かけなければならなかった。今ではそこも通勤経路の一部に過ぎない。
正直、東京2020なんて浮かれているのは一部の大人だけで、絶対に失敗すると思っていた。だけど、今じゃそんな不安なんてどこ吹く風で、世界中の熱狂が着実に迫っている予感が確かにある。四か国語表記の看板にも慣れたし、渋谷の改造計画はその完成形を少しずつ表し始めていて、元々外国人の多い街ではあるものの、心なしかセンター街にたむろする人種が増えた気さえする。まあ、白人も黒人も見分けなんてつかないんだけど。
そういえば、先月に受けようと思っていた資格の試験は受けられなかった。3月中はひーひーいうまで勉強していたのに、あんなに勉強したのは高校受験以来だと思っていたのに。それも仕事なら仕方がない。元々実務とは何の関わりもない試験だったからいいんだけど、将来を考えたらもったいなかったかもしれない。本当は学芸員の資格とかも取りたいし、unityとかblenderみたいなツールも器用に使いこなせるようになりたいんだけど、今は来週のレギュラー放送のために資料を集めなければ。社会人はゴールデンウィークといえど暇じゃないらしい。本当は日記を書く時間だって惜しいくらいだ。
でも、これだけは手放したくない。書き物は大学生活の楽しかった思い出の一つだ。令和から一年、なんて教授からしたら格好の材料だろうし、後輩もやっているに違いない。同期は今頃何しているだろうか。
いやいや、仕事が楽しくないわけじゃないんだけどね。あんなに通っていたのに知らない店で酒を飲ませてもらっているし、そもそも好きで選んだ仕事だし、キャリアのことを考えれば最善の道を歩んでいるという確信は未だ揺るぎない。はあ、誰に対しての言い訳だよ、、、
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