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人間力ってなんだろう

「人間力を高める」ことを掲げた会社に勤めているのでたまに考えるのだけれども、漠然と、自分は人間力が高い方ではないという感覚はある。

「"人間"力」と言うのだから、動物とは違う、人間ならではだ、と思わせられる能力でなければならない。
つまり、ただ優しく親切なだけでは「人間力」の要件を満たしているとは言えないのだろう。

「人間力」を調べてみると、平成15年の「人間力戦略研究会報告書」の中で、「社会を構成し運営 するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されている。
経済産業の活性化のために、教育・雇用も含めて検討しようというのが趣旨のようだ。
序文では、既に社会の中で生きている「大人」が身に着けているのが「人間力」であり、それが我が国の子供たちに対する教育として足りていない、と読むことができる。
なるほど、平成15年時点で働く大人だった私は、人間力を持っていたのかもしれない。

人間力戦略研究会報告書

ところが読み進んでいくと、労働市場の変化により失業や雇用のパート化などが増加し、企業に対するロイヤリティの低下、専門意識の希薄化といった影響から人間力が低下しつつあるのではないか、と書かれている。
なるほど、氷河期&モラトリアムで就職できず派遣を続けてきた自分は、会社に対する帰属意識も専門意識もない。私は上段で定義されている「大人」の対象ではなく、「人間力」を育てられずに来てしまったのかもしれない。

この報告書の後半は、これからの子供たちが人間力を持てるようにどうしていくかということが書かれている。若い人々は人間力を得る機会を沢山持って、人間力を高めて欲しい。大人として協力にやぶさかではない。

人間力の定義の章段で、この報告書の本筋ではないがこの部分が気に入ったので引用しておく。
人間力は仕事だけではない。人間としての色々な活動の中で醸成され、発揮されるのだ。

・ また、人間力は、それを発揮する活動に着目すれば、
① 職業人としての活動に関わる「職業生活面」
② 社会参加する市民としての活動に関わる「市民生活面」
③ 自らの知識・教養を高め、文化的活動に関わる「文化生活面」
に分類される。
・ 人間力は、学校、家庭、地域及び産業等のそれぞれの場を通じて段階的・相乗的に醸成されるものであり、人間力強化のためには、学校、家庭、地域及び産業等という四者間の連携・協力が不可欠といえる。

人間力戦略研究会報告書 p.10

最近読んだこの本も、人間とは何であるか考えるきっかけになった。
頭が痛くなるくらい泣きながら読んだので、興味のある方はぜひ。

色々総合して、人間力は「おせっかい」とも近いように感じている。
人間は、袖すりあうも他生の縁で、誰かが幸せなら嬉しく感じ、自分のできることで何か助けられることがあればしたいと思っているように感じる。
ただ闇雲に助けることはできないから、職業や生活や趣味の中で自分のできることを鍛えておかなければならないのだろうと思う。

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