Off Topic #148 米国クリエイターに学ぶ コンテンツを作りながらブランドを大きくする方法
#148のインフォグラフィック
OffTopicの番組を聞いて個人的にまとめ画像を作っているmemofleetのnoteです。
今回は#148 「米国クリエイターに学ぶ コンテンツを作りながらブランドを大きくする方法」の回となります。
ポッドキャストはこちらです。
MrBeastのブランド運営
チョコレート工場見学やハンバーガーショップ開店などは知ってましたが、具体的なブランド運営については初めて知りました。たしかに会社組織じゃないと到底回しきれない規模だと思います。
会社が新しい企画を始めるというフローではなく、クリエイターが会社を始めるフローの違いのひとつは企画やコンテンツが主体になるところだと思いました。会社が主体になるより企画やコンテンツに対する理解があり、承認の会議や書類などのプロセスがあるとしてもスピード感が速そう、という点が会社員からすれば羨ましくもあります。
逆に困難なところは引き継ぎですね。シャドーアドバイザーの部分で説明されていましたが、クリエイター事業を「業務」として考えると、本人のセンスやキャラクターの比重が高すぎるし、違う方向性にシフトするにしてもクオリティを継続できるのか?マニュアルを読めば誰でもできる業務ではないので次に誰がMrBeastやるのか?ってなると後任選びは大変そうです。
日本のテレビとMrBeastチャンネル
日本のテレビの最高視聴率は1963年12月31日に放送された「第14回NHK紅白歌合戦」だそうです。
平均視聴率は81.5%、五月みどりさんが「一週間に十日来い」を歌っている時が85.3%。当時の日本の人口は9590万人なので、単純計算ですが約8180万人がリアルタイムで視聴したことになります。(テレビのない人もいれば、逆に集まって見たひともいますが)
紅白歌合戦は生放送だからこれをライブ・ビューイングとしてみるとかなりの接続数ですね。(初期のテレビは常時接続されたライブ・ビューイングマシンです)
日本のテレビの場合、接続できるチャンネル数が最大で12ですが、仮にテレビ人口1億人、チャンネル数は10だとすると同時間帯で各チャンネルとも1億再生のチャンスがあって、チャンネル数で割っても1000万。分かりやすくイメージすると、パイを10チャンネルで分け合う世界でした。
いまYouTubeでは登録者数10万人以上のチャンネル数は7700あるようです。仮に1億人がこのチャンネルからひとつ選ぶとしても1/7700のパイとなっていますから、1チャンネル平均12,987人。ここから1億のユーザーを集めることの難しさがはかり知れません。
MrBeastのチャンネル登録者はすでに当時の日本の人口を超えてます。もし1960年代の日本のテレビにMrBeastチャンネルがあったらみんなが見たと思いますが、それ以上の数字になっているのはやはりすごいですね。規模感でいうとテレビ局運営と番組グッズ販売などの周辺ビジネスをいちYouTuberがこなしているイメージ。なんでそんなことができるんだろうと、企画の面でも運用の面でも、普通に驚きます。
ピュアリストとツアリスト
Off Topicのnoteで紹介されていたヴァージル・アブロー氏が話す動画を見ました。短いながら示唆に富んだ内容です。抽象的な語りを解釈してみたので、間違ってるかもしれませんが書いてみます。
知識や歴史の側面を重視するピュアリストと、好奇心旺盛で大衆的なツアリストを定義するくだりです。クリストの作品はその両方を備え持つといいます。作品の例として、インタビュアーのかたがクリストの「凱旋門」を例に挙げます。
パリの凱旋門を布で包んだクリストの作品は非常に高尚なアートであると同時に、世界中の人々が讃える公共作品でもあるという例えですね。
クリストの凱旋門はこれです。
これに対してヴァージル・アブロー氏がさらに補足をしていきます。
彼はデュシャンを引用することがよくあるがそれよりもっと重要なのは「DJミキサー」だといいます。2つのソースをミックスして新しいものが作られる。これによりヒップホップなどのカルチャーも誕生したと語ります。
そしてクリストの作品を見るときに思う事として、下記のように語られます。
「DJミキサー」の流れから解釈するとしたら、トレンドウォッチャーだったツアリストがいまや歴史や知識も備えてピュアリストのように語っている。ピュアリストとツアリストがミックスされた新しい消費者が生まれようとしているのだと理解しました。
iPadやGoogleをつかうことでこれまで不可能だった情報群へ簡単にアクセスできることを挙げています。そしていまの時代にはルネッサンスの可能性があると述べています。
「ルネッサンス」はOff Topicの文脈でも重要なキーワードでした。
ピュアリストの要素がミックスされた新しいツアリストがいて、彼らは常に進化しているので、ヴァージル・アブロー氏も重要視している、という結びです。
インターネット経由でいろいろな知識を数分で手に入れることができる時代のブランド作りというのが、今回のテーマのひとつになっていると思いました。
紅白歌合戦のところで書いた1960年代の日本で言っても、テレビ中心のカルチャーは、情報はメディアから発信されるだけの一方通行で発信側が情報をコントロールしやすかった時代だとすれば、現代のファンはクリエイターのひとつの側面だけを見ているわけではなく、インターネットを通じて引用元を調べたり、専門家の意見を読んだり、ファン同士でコミュニティを作ることもできるので、クリエイターはうそがつけない。
クリエイターが自分のカルチャーの延長線上にしかブランドを作ることができない理由も、ピュアリスト属性も備えた「新しいツアリスト」から見て必然性のないブランドは応援されにくいのだと思います。
企業のスタンス
これは「クリエイター」と「新しいツアリスト」だけの関係ではなく「一般企業」と「消費者」の関係に置き換えても同様だと思いました。
企業の持つストーリーや背景から外れたビジネスは受け入れられない。企業から発信された情報をただ受け取るだけの消費者はもういないので、企業もまたうそがつけない。販促プロモーションよりもナラティブが重要になるのもこの流れなのかと思いました。
あと、UnspeakableやDude Perfectのアミューズメントパークは楽しそう。行ってみたいです。
お読みいただきありがとうございました。
参考メディア
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