【後編1】詭弁の正体。
こんにちは、もすです。
今回は後編1です。前編中編の「A論点のすり替え(①相殺法②トーンポリシング③人身攻撃④ストローマン論法)」に続き
「B.感情論」
「C.ポジショントーク」
「D.チェリーピッキング」
「E.二元論(誤った二分法)」
を紹介していきます。多すぎるので一つずつ手短にやっていきます。
「F.難しい言葉を使う」
「G.逆を用いた詭弁(後件肯定の虚偽 )」
「H.裏を用いた詭弁(前件否定の虚偽)」
「I.主語がでかい(早まった一般化)」
「K.ダブルスタンダード」は後編2で紹介します。
B.感情論(感情ばかりで論理がない)
1つ断っておくが、人間は感情を基に生きる生き物である。故に議論の場においても感情や倫理を考慮するのは当然の事であるが、
今回問題としたいのは、感情ばかりで論理性が欠けている主張のことである。
例を上げる。(下記は「iwatamの個人サイト」というネットコラムサイトから引用したもの。
自分もたまに拝読していて、とても面白いし勉強になるので是非読んでみてほしい)
(https://iwatam-server.sakura.ne.jp/software/giron/ar01s10.html)
さて、①と②のどちらが感情論だろうか。
答えは②である。
「②の方が正当性があるのに!」と思う人がいるかもしれないが、論点はそこではないのだ。
①は「○○である。なぜなら△△だからだ。だから□□になる。よって××すべきだ」という論理的な文章なのに対し、②は「○○だと思います。△△です。××ではないでしょうか」と、思った事をツラツラ述べてるだけで論理もクソもないのだ。
こういうのを感情論と言う。
前編で述べたトーンポリシング(例:ムキになるなよ)や人身攻撃(例:そんなことを言うなんて最低だ)なども感情論に該当する。
要は、自分の主観を押し付けるだけ押し付けて、そこに論理性のカケラもない詭弁のことだ。
C.ポジショントーク
ポジショントークとは、自分の立場、立ち位置に由来して発言を行うことである。転じて、自分の立場を利用して自分に有利な状況になるように行う発言のことも指す。後者が今回指摘したい方である。
これも1つ断っておくが、人は誰しも置かれているポジションがあり、しかもそのポジションはその時々で変わる(下画像参照:MAJOR海堂編)。
ゆえにたいていの発言は立場に由来する以上前者のポジショントークであるとも言えるし、全てを批判するわけではない。
その中で問題となるのは、自分がその立場である事をマウンティングするためだったり自分の強弁を通すために利用するポジショントークである。
例を挙げる。(キモ意識高い系がよく使ってる印象)
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高学歴の人間が言う「MARCH未満は低学歴」(これは生存者バイアスがかかっている)
「年収300万円でよく生活できるね、起業したらいいのに」by起業家(これも生存者バイアスがかかっている)
「親の言うことが聞けないなら出ていきなさい」
「親としてあなたのためを思って言っているの」(これはパターナリズムと言う)
「そのテスト簡単だよ、一夜漬けで受かったわ」
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結局これらの正体は、
「MARCH以上の自分が高学歴であることの自慢」であり、
「起業して成功した自分の自慢」であり、
「自分たち親の言うことを聞かせる」ためのポジションを利用した詭弁なのである。
(参考までに、MARCHは学歴の上位15%であり、中小企業の30年後の倒産率は50%である。
そして、大学の先輩から聞く「そのテスト簡単だよ」に騙されたことは1度や2度ではない。)
D.チェリーピッキング(自分に都合の良い情報集め)
チェリーピッキングとは、自説に都合のよい根拠だけを選び取り、誤った結論を提示することである。(さくらんぼを取ることから転じて、良いとこ取りというが由来。)
何が問題かと言うと、ただただ自分に都合の良い情報を選んでしまう故にバイアスがかかってしまうことである。(これを確証バイアスと言う)
例を挙げる。
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「私が今まで付き合った男は全員浮気症だった。だから男は浮気する生き物なのよ」(I.主語がでかい、早まった一般化も含む)
「学歴は大事って言うけど、前澤友作やヒカキンは高卒だぞ!学歴は関係ない!」
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などである。
一応解説すると、男が全員浮気症というのは誤りであり、学歴はあるとないとで多少なりとも人生における影響は存在する。
E.二元論(誤った二分法)
白黒思考、ゼロヒャク思考と言った方がわかりやすいだろうか。
例えば、「この世には正義が悪かしかない」とか
「カレー味のうんことうんこ味のカレーどちらが良い?」「仕事と私、どっちが大事なのよ!」みたいな思考のことである。
この誤った二分法の厄介な所は、選択肢がその白黒2つしか無いという印象を与え、視野を極端に狭めてしまう点にある。当然、その詭弁を使う人間の視野はもっと狭いというのも問題である。
仕事と彼女、どちらも大事なので、どちらが大事だとか優先順位をつけられるようなものではないのである。
視野が狭くて何もわかっていないから、そんな発言をしてしまうのだろう。
誤った二分法を説明する際にしばしば使われる例として「モートンの熊手」という話が存在するので例に挙げてみる。
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英国の司教ジョン・モートンは、1486年カンタベリー大司教に、1487年大法官に任命され、終身その地位にあった。
ある時、英国貴族の「課税」に付いての論議があった。彼が税収増加のために放った言葉は
「わが国の貴族が裕福なら、永久に課税しても問題はない。逆に貧しくみえるなら、彼らは質素に暮らして莫大な貯金を蓄えているはずで、やはり永久に課税しても問題はない」
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これは正真正銘、誤った二分法を用いた詭弁である。なぜなら、当時の英国では広い土地だけ持っていて民からの徴収が上手くできてない貧乏貴族が存在したからである。
つまり、質素に暮らして莫大な貯金を蓄えているという前提がまず間違えているのである。
なのに、この話だけ聞くと確かに裕福だろうが貧そうに見えようが課税しても良いという風に思ってしまうが、それは詭弁により視野が狭くなっているだけである。
まとめ
今回は
「B.感情論」
「C.ポジショントーク」
「D.チェリーピッキング」
「E.二元論(誤った二分法)」について解説した。
次回後編2は
「F.難しい言葉を使う」
「G.逆を用いた詭弁(後件肯定の虚偽 )」
「H.裏を用いた詭弁(前件否定の虚偽)」
「I.主語がでかい(早まった一般化)」
「K.ダブルスタンダード」
について解説する。
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