プチワーケーション

 今年の7月は涼しかったけど、8月は例年どおり暑かった。

 去年までは毎日出勤してたからそれほど困らなかったけど、今年は週の半分以上自宅で仕事しているので、部屋の暑さを思い知らされた。

 悪いことに今年はマンションの大規模修繕中で、昼間は窓もカーテンも開けられない。朝晩もベランダに出られず、フラストレーションは溜まる一方。

 そこで週末旅行を兼ね、平日から近場に泊まりに行こうと思い立った。最近よく聞く「ワーケーション」の擬似体験にもなりそうだし。

 候補地を検討した結果、今回は長浜を選択。数年前に行った時の印象が良かったことと、奥さんが吹きガラス体験や竹生島観光を提案してくれたことが決め手に。

 Go To トラベルの割引が使える駅近の宿を見つけて予約。すぐ近くから竹生島への定期船が出ているらしいことも都合がいい。

 当日は午前中出勤して仕事、午後は職場近くで健康診断。終わったその足で一旦帰宅し、荷造りして出発。

 新快速で一路長浜へ。思ったより乗り応えがある。米原で車両を一部切り離し、さらに前進。長浜に着いた時にはもう日が暮れていた。

 駅前は閑散としているが、とにかく涼しい。これだけでもう来た甲斐がある。港に向かって少し歩くと、宿は本当に港の真ん前。でも淡水なので磯臭くないのが助かる。部屋からの眺めもよさそうだし、これは楽しめそう。

 翌朝目覚めてカーテンを開けると、素晴らしい眺め。一階に降りて朝食をとった後、港を散歩。釣り師たちが早朝から桟橋で糸を垂らしている。平日なのにすごいな。湖に向かってなだらかなスロープになっている、プレジャーポート専用の駐車場を初めて見た。

 部屋に戻って仕事開始。静かで涼しくて、ネットも快適に使えて、疲れたらいつでもベッドに倒れ込めて、もう言うことなし。同僚にも全然バレてない。

 お昼もホテルでとった後、竹生島行きのフェリーに乗り込む。平日だけに乗客は少なめ。快晴の空、どこまでも穏やかに広がる水面、夏の琵琶湖は素晴らしい。

 30分ほどで竹生島に到着。桟橋の隣の小さな岬の突端には神社と鳥居が、その奥にはお寺の伽藍が見える。宮島とはまた違うドラマチックな光景にグッとくる。

 帰りの便までの時間は80分。拝観料を払って境内に入ると、元はきっと一緒だった宝厳寺と都久夫須麻神社が隣接している。お寺の弁天堂、唐門、観音堂、神社のかわらけ投げなど、建物がコンパクトに配置されていて見所も多い。時間内に十分堪能できた。

 桟橋に戻ると、地元っぽい若い男女が、お互いを躊躇なく水中に放り投げあっていた。みんな顔も体も真っ黒に日焼けしている。楽しそうだったが、目を合わせると投げ込まれそうで少し緊張する。帰りの船と同じタイミングで、ジェットスキーに乗り合わせて帰っていった。自宅からここまで船で遊びに来られるのか。いいなぁ。

 現実に帰って仕事再開したが、結局最後までバレずに終えられた。うひひ。

 翌日はお休み。チェックアウト後に荷物を駅で預け、街に繰り出す。適度に古く、適度に寂れた感じがたまらない。川や水路があちこちにあり、清潔感があってとても気持ちいい。

 ヤンマーミュージアム、長浜八幡宮、長浜御坊などを駆け足で巡り、本日のメインイベント、ガラス吹き体験へ。シンプルな器を希望の色で作らせてもらい、後日配送してくれるというもので、暑い日に灼熱のガラスを吹いて大丈夫かと思っていたが、講師の完璧なリードのおかげで全く安全に作ることができた。オレンジ色の塊が自分の息で丸く膨らみ、それがあっという間に整形されていく様子は手品のようだった。

 まだまだ見たいところ食べたいものはあったが、欲張らずに夕方帰宅の途へ。とても充実した3日間だった。クセになるかも。今度は別のところへ行ってみよう。


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