おじちゃんが癌になった

 6月中旬の朝、普段めったに連絡してこない妹からLINEが入る。

 「お兄ちゃん...
  真澄さん...肺がんになったんと...」

 うそでしょ。おじちゃんに限ってそんな。

 おじちゃんの名は真澄。昭和11年生まれの84歳(書いてみてびっくり)。母の姉の旦那さんで、自分にとってはもう一人の父親的存在。妹もおじちゃんのことが大好き。

 背は高くないがガッチリした体格で、スポーツするのも見るのも大好きなおじちゃん。広島にいながら熱烈なタイガースファンのおじちゃん。いまも毎日自宅から10キロ以上歩いてると聞いていたし、健康には人一倍気を使っていたはず。

 それが定期検診でいきなり肺に影があると言われ、大病院に紹介されたとのこと。周囲もさることながら、おじちゃん自身のショックはいかばかりか。

 7月初旬、休みをとって帰省し診察に立ち合う。久々に会うおじちゃんは少しだけ細く小さくなった気がするが、喋ってみると普段通りで、おばちゃんや母には寡黙、自分には饒舌。

 一週間前に別の病院で全身PET-CTと脳MRIを撮っていたらしく、まずはその結果を聞く。肺と上行結腸に腫瘍の疑いあり、ただし脳への転移はなし。手術が最もよいらしいが、放射線治療もできるとのこと。

 おばちゃんはしきりに手術を勧めたが、おじちゃんはあまり乗り気ではないようだった。そこで医師から提案があり、肺機能検査と気管支鏡検査と大腸内視鏡検査をしてみて、その結果を見てどうするか決めましょうということになった。この間わずか10分ほど。診察とはこんなにあっけないものか。

 その日は実家に泊まるつもりだったが、思いがけずおじちゃんの家に泊まるよう誘われた。子供のいないおじちゃん夫婦の家に、小さい頃は毎週のように泊まりに行っていたが、それはもう四半世紀以上も前の話。一瞬どうしようか迷ったが、せっかくなので甘えることにした。

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