プチワーケーション@鞆
九月半ばに、二度目のワーケーションを敢行。今度の行き先は、鞆の浦で有名な福山市鞆(「鞆の浦」は鞆が面している海のことなんだって)。
実家への帰り道なのに、いままで一度も立ち寄ったことがなかった場所。交通の便が悪くて、古い街並みが残ってて、港に常夜燈が立ってて、やたら観光客が多い、程度のイメージ。
JRの電車の吊り広告で偶然ワーケーション体験の募集を知り、軽い気持ちで申し込んだら当たってしまった。ほんとに安くて心配になるほど。
どこに泊まるかリストを眺めていて、美しい日本家屋の宿と鞆の風景に強く惹かれた。恐る恐る予約すると、すぐに丁寧なお返事があり、安心すると同時に期待も高まる。
木曜の朝自宅を出て、新大阪駅構内でウェブ会議に参加。はしゃいでる自分にドン引きされたみたい。福山で降りてお昼を食べ、バスに揺られながらウェブ会議に参加(してるふりを)する。
管理人さんに教えてもらった最寄りバス停をうっかり見落とし、一つ先のバス停からカートを転がして戻る。狭くて古くてひと気のない、時間が止まったかのような街並みが切れたところに立派な日本家屋が現れた。
恐る恐る玄関を開けると管理人さんが待ってくれていた。穏やかだけどフレンドリーで、すぐに安心させてもらえた。
築90年超の広いお屋敷を改装し、そのうち三部屋を宿にしておられた。今回泊めてもらったのは一階のバリアフリー洋室。広くて新しくて使いやすそう。部屋の鍵と一緒に家の鍵まで預けてくださるのが新鮮。こちらを信用してくださってるのが嬉しい。
荷解きした後、管理人さんのお勧めに従って目の前のホテルの展望風呂に入り、近くの料理屋で魚料理をいただく。どちらも素晴らしい。軽く酔って広い部屋でぐっすり眠るつもりが、気分が高揚してなかなか寝付けず。
翌日は日の出とともに宿を出て街歩き。目の前の漁港は子どものころ見慣れた瀬戸内の景色。中心地に向かって歩くと、街のサイズに不釣り合いなほど大きな寺社がたくさんある。よほど栄えた街だったんだろうな。
日中は部屋で会議や資料作り。Wi-Fiも使えて仕事に全く支障なし。他に宿泊者がおられなかったので、贅沢にも宿一棟借り状態。
時々休憩しに部屋を出て、広間で管理人さんと軽いおしゃべり。鞆生まれ鞆育ちの管理人さん、鞆のことが本当に大好きで、とても大切に思っておられる。お母様が近所で介護施設を運営しておられるそうで、亡くなられた利用者のお住まいを譲り受けたところから、サロンを兼ねた宿づくりが始まったとのこと。秘めた志と行動力に感激。
夕方、職場に戻られる管理人さんに誘われ、帰り道をお供させてもらう。狭い路地にどんどん入り込み、すれ違う人たちと気軽に挨拶を交わす管理人さん、すっかり地元の有名人みたい。
職場の介護施設は、鞆特産の「保命酒」の酒蔵をリノベーションした建物で、大きな吹き抜けや太い柱梁がとても美しい。これは利用者さんも居心地いいだろうな。おまけで近くのお寺まで紹介してもらっちゃった。
最終日も再び早朝散歩。前日行けなかった港の周辺まで足を伸ばす。常夜燈周辺はさすがの景観。道中ネコたちにも遊んでもらえた。こりゃ毎日でも歩いてられるわ。
チェックアウトを済ませた後、地元テレビ局の取材が入るとのことで、たまたま泊まってた自分がインタビューをお手伝いすることに。管理人さんのインタビューを聞かせてもらって、地元とこの宿への想いを改めて知ることができた。本当に素敵な体験ができた。
帰り道、乗り放題きっぷを活かすべく久々に尾道まで足を伸ばし、職場の同僚に教えてもらってた穴場スポットを駆け足で巡る。五百羅漢、アイスクリーム、どちらも大当たり。また時間を掛けて歩こう。
さらに欲張って、海っペリを走る呉線を乗り継いで父の田舎へ。来るたびに静けさが増してる気がする。いまは誰も住んでない伯父の家を確認し、父の生家の跡地にも足を運ぶ。残念ながら駅前でコインロッカーを見つけられなかったので、山の上の墓参りは断念。また必ず来ます。
ここで時間切れ。帰りは三原から福山乗り換えで新大阪まで新幹線で戻り、電車を乗り継いで帰宅。夢のような三日間でした。
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