見出し画像

無題

多分、頑張ってきた。
必要のない枷を掛けて、
理解されない掟を課して、
踏み外さないよう、
取りこぼさないよう、
されど気を遣わせないよう。
でも無理だった。
俺が信じて頑張ってきたことは、
多くの人間に嘲られ、
軽んじられ、
そして疎まれるものだった。
俺のことを好きだと言いながら、
俺が一番困るコミュニケーションを図ってくる人。
己の言葉に責任を取るための行動を攻撃する、
その場の空気と感情で言葉を垂れ流すだけの人。
当たり前の事ができない一事を以て俺を見下す、
実際はただ考えることを放棄しているだけの人。
己の行動に内在された暴力性を棚に上げて、
他者の暴力性を糾弾することばかりに熱を上げる人。
知ってはいたけれど、
知っていて続けてきたけれど、
いい加減、疲れてしまった。
辛うじて繋ぎ止めていた糸の、
切れる音が聞こえてしまった。
その瞬間、声を上げて泣いた。
まだ自分からこんな嗚咽が出るのかと驚いた。
助けは求められない。
求めてはいけない。
繊細で、病弱で、非生産的。
自分のような人間を包摂することのリスクは、
自分が一番よくわかっている。
それを理解した上で求めるのは、
紛れもない「暴力」だからだ。
だけど、だけども。
一人で生きていくことを選ぶには、
俺は性能が偏り過ぎている。
どうすればいい。
わからない。
至らないようずっと動いてきたその最悪に、
あと数歩の所まで来てしまった。
誰のせいでもないんです。
もし少しでも責任を感じてしまうなら、
あなたはきっと、
俺が大切にしたいと思っている人だ。
だから罪悪感を背負わないで。
そう、辛いことばかりじゃない。
実家にしばらく身を置くことを許してくれた家族。
嗚咽する俺を「頑張ったね」と抱きしめてくれた母。
あともう一回くらいはやってみようと思う。
九十九死に一生を掴んだこともある。
それに比べたらこれは五十死くらいだ。
死中に活を見出させたら、
俺の右に出る者はそういないだろう。
ただ、いかんせん体力がない。
ゆえに休む。休みます。
絶対帰ってきます。
ちょっと待ってて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?