10/25 辛い痛い舌

夜、友人と南インド料理屋でご飯。

文化人然としたアーティストによる、ごくありふれたセクシャルハラスメントの話を聞いて、生々しい音楽業界の事情のほんのわずかな一部に触れられた気がして、嫌なショーを目を覆いながら楽しむ観客のような高揚感に浸る。

今はベンガルの大きなお祭りの期間中らしく、お祭りらしい、豪勢なコース料理が振る舞われ、店内のお客さんもサリーを着ている。サーブされた魚のカレーを食べていたら、誤って青唐辛子を丸ごと噛み砕いてしまい、悶絶してしまう。辛い食べ物に耐性はあるものの、あまりにもの辛さに気が狂いそうになる。喉の奥と、舌の先に千本の針を刺されるような壮絶な痛みに襲われ、それまで醜聞にニヤついていたのに、今度は涙を流し震えながら水をがぶがぶ飲む。人は何と儚いものでしょうね。

店員に勧められ、施設の外にある手洗いに行き、存分にうがいをし、喉から口までの粘膜にこびりついた辛みを洗い流す。秋の外気の心地よさに安堵の背伸びをする。好奇心や欲望に駆られて食べ、食べることで傷つき、その傷を奇跡的にもきれいな水で癒す。最近、毎日の生活や人生が、こういった営みの繰り返しなのではないか、というような気がしている。

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