10/5 戻す 捨てる

土日に実家に帰ったり、飲みに行ったりした疲れがどっと出て、朝寝坊をしてしまう。お酒を飲むとノドがやられてカラカラになってしまう。ぬるめの白湯をごくごく飲み、“脱水体”(出典元:『三体』)のようになった体を元に戻す。温かい水が体を駆け巡る感覚が心地よく、月曜の朝なのに不思議と安堵感や安心感に満たされた。

実家ではどこで買ったのかも分からない、安くてぺらぺらの皿を、数十年も使っている。食卓の机とも料理の色とも合っていなくて、とてもみすぼらしい。新しい皿を買う金もないほど困窮している、というわけではなく、皆生活に無頓着なだけだ。暇だったので皿を買いに行こうと母と弟を誘って、近所のショッピングモールのコスパの良い店で、淡いブルーやピンクの深皿や小皿を買いそろえた。古いお皿を棚から下して、食器棚シートも新しいものに変えた。要らなくなったお皿は捨てなね、と言い残してきたが、おそらく捨てられることなく、後日こっそり棚に戻されるだろうと予測している。親は年をとるごとに判断力が鈍り、ガラクタのような雑貨や昔の服も捨てずに家に貯めるようになってしまった。新しい皿を増やしたことでその物量がさらに多くなって、結局悪いことをしてしまったのではないか?二日酔いが醒めた後も、そのもやもやとした後味の悪さを引きずっている。

自宅のマンションのごみ捨て場にペットボトルを捨てに行ったら、ごみ捨て場の空いている棚の上に、無造作に本が何冊か放置されており、その中にあった『ぼのぼの名言集』の上下2巻が目を引き、思わず手にとってしまった。ぼのぼのは時々とんでもない名言を生み出す宝庫だ。『ぼのぼの名言集』を捨てた人のことにも想いを馳せながら、2冊の綺麗な本を家に持ち帰る。

本を読むことは好きだが、本を丁重に扱う神経を持ち合わせていないので、カバーをすぐに捨てたり、ドッグイヤーをつけたりする。人に貸されることもあるが、ぞんざいに扱ってはいけない本やDVDが部屋にあるだけでひどいプレッシャーに襲われて、それが置いてある場所だけすさまじい圧を発しているように見える。

ぼのぼの読み終えたら、またここに捨てに来ようと思う。

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