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子宮外妊娠 退院後3週間~3か月

子宮外妊娠して、腹腔鏡手術を受け、左卵管を切除した記録です。

確率が低いゆえ、経験談が少ない子宮外妊娠。
この記録がほんの少しでも誰かのためになればいいなと思います。

手術後3か月後くらいで体調が一定になってきたので、それまでの経過を書いて終わりにしようと思います。



【退院後3週間】

ちょっとは動ける、腹痛は続く

少しずつ家事をするようになった。
痛みは相変わらず、動くと痛みが増すのも相変わらずで、寝ているか座っているか(座ったとしても2時間が限界)の毎日。
腹腔鏡手術でこれだから、開腹手術はもっと辛いのだろうか。

病理でまさかの”所見あり”

病理検査の結果を聞くだけのつもりが、hcgの値を調べるために採血が必要だと言われた。

医師からは、病理の結果が所見あり、病理に回した妊娠組織が通常とは違う顔をしているため、さらに検討が必要。
ただ、卵管のかなり端っこの方に妊娠組織がついていて、摘出する時には形が崩れてしまったため、問題のある妊娠組織というよりは、摘出する際に壊れた妊娠組織が病理に回った可能性の方が高いと説明された。

目視でしっかり確認して、摘出もして体内をよく洗って、hcgも1.5まで減ってきているので、おそらく妊娠反応はなくなったと考えられるが、念のため1か月後に診察に来るようにとのことだった。

絨毛疾患の可能性はほとんどないと思います、と言われたが、診察が終わって「絨毛」と検索すると、体内に残ると癌化するという記事を見つけて怖くなった。すでに1~2%の可能性を引き当てているから、今回も引き当てそうで怖い。

【退院後1か月】

外にいるのが怖い。人と会いたくない。

通院以外で外出したのは退院から1か月が経った頃。
1か月も家にいると、日差しの量や空気のにおいが少し変わっていて、季節が変わりつつあるのを感じた。

あんなに外出が好きだったのに、不意に妊婦さんを見かけるのが辛いし、自分が家にいた間にも外の時間は進んでいる、という当たり前のことが恐怖だった。

生理再開。低空飛行の体調

生理が来たのも手術から約1か月後。
手術直後よりは多少程度がマシになってきたものの、やっぱりおなかが痛い。座っていられる時間は少しずつ伸びてきたけれど、痛い。

天気が悪いと傷跡がいつもより痛むことに気付いた。

【退院後2か月】

病理問題なし、腹痛も不正出血もあるけど「心配なし」

前回の通院から1か月、病理の結果を聞きに行く。
報告書には難しい文章が並んでいたけれど、要は心配ないですよ、ということらしい。
報告書を読んで、胎嚢は卵管ではなくて卵管采についていたと初めて知った。

今回の診察にあたってくれた医師に腹痛や不正出血を相談するも「心配ないです」の一言で、何が心配ないのかよく分からなかったけれども、手術後によくある状況、という意味なのだろうか。

【手術から3か月】

腹痛と出血は新たな日常

腹痛と不正出血が続いていて、3か月も経つとそれが日常になる。

卵管を切除した左側はキリキリと内臓が痛むし、傷跡がうずくこともある。
右側の腹痛もなかなか手ごわくて、休みたいな、と思う時間が多い。
でも、じっとしてやり過ごせば耐えられる。

だいたい排卵期から生理まで=月の半分は出血の可能性があって、白いボトムスは避けるようになった。

生理の周期がつかめない。
周期が30日以上であることはたしかで、頻度が減るのはいいけれど、もともと正確だった周期がずれて、そろそろ生理かなと数日そわそわすることになったのが地味にストレス。

傷跡は、下腹部の二か所はあまり目立たなくなってきたものの、おへそのバツ印が目立つ。
傷も見慣れてはきたけれど、やっぱり消したい。

排卵時期もホルモンバランスもぐちゃぐちゃ

不正出血が続くのは気になるので、産婦人科へ行った。
エコーの結果、婦人科系の臓器は異常なし。

妊娠を中断させたことでホルモンバランスが崩れて排卵の時期がおかしくなり、本来なら生理から2週間後に排卵、その後に子宮内膜が厚くなるが、排卵のタイミングが合っておらず、それによって排卵後に出るはずのホルモンが出なくて、内膜の厚さを維持できず、出血として出てきているのだそう。

そろそろ生理が始まりそうな時期に病院へ行ったのだが、まだ卵は残っていて、たしかにこれは相当ずれているなと思った。

治療法としては、あと1・2回生理を待って自然治癒を待つか、ピルを飲むか。ピルを飲むなら6か月は飲まないと効果がないらしい。
痛みが我慢できないのであれば、ピルを飲む方がいいだろうとのことだった。次の妊娠をどうしたいかですが、と言われたけれど、子宮外妊娠して3か月ちょっとで次の妊娠をどうしたいかなんて考えられない。

腹痛の原因

産婦人科では腹痛の原因も判明した。
日常的にある左側のおなかの痛みは、切除したことによる痛み。
いわゆる「傷跡が痛む」ということらしい。
出血している時期と同時期に感じる左右どちらかのおなかの痛みは、排卵時期がずれていることによって排卵に関係する痛みが起こっているのでははないか、とのことだった。

手術から3か月、今のメンタル

体調も気持ちも、元通りとはいえない。
左手を失った子宮を思い描いて悲しくなることも多い。

これからの妊娠確率とか、人工授精とか、考えないといけないと思っていても考えられない。考えたくない。

ふとした瞬間に気持ちが落ち込んで、そうなるとどんどん気持ちが落ちていく一方なので、早めに寝るようにしている。

結果、毎日9時間近く寝ていて、肌荒れしなくなったし、目覚ましなしで早起きできて、これはこれで体にいい生活だと思う。

今も妊婦さんを見ると胸が苦しくなるし、誰かから妊娠報告されたらしばらく落ち込む気がする。

誰かに「大丈夫?」と聞かれると答えに迷うけど、きっと「腹痛も続くしメンタル的にはあまり元気じゃないけど、毎日仕事と家事やってるよ」という今の状態が新しい「大丈夫」なのだろうと思って「大丈夫です」と答える。

急な入院になってしまって、日常生活が大きく変わりながらもサポートしてくれた家族はもちろん、自分の経験を話してくださったたり、体にいい食べ物を送ってくれたり、外食に連れ出したりしてくれたり、本当に周りの方々にはお世話になって、感謝の気持ちでいっぱいだ。

「食欲から戻ってきます」というのはかなり真理で、たしかに食欲から体調は戻ってきた。

私って元気なのかなぁと漏らした時に、「波があるのは当然、その瞬間の気持ちを素直に言えばいいと思うよ」と言ってもらえて、この期に及んで人からどう思われるか、どう思われたいかを過剰に気にしていた自分に気付いた。

「時間薬と言うけれど、どれだけの量が必要か分からない」と言ってもらえて、「時間が経てば気持ちも変わる」と信じて今の気持ちを押し込めるよりも、「時間が経っても悲しいままかもしれない」と思った方が楽だと気付いた。

「その子がお母さんの厄を全部持っていってくれた。生まれることが必ずしも正しいわけじゃない、と考えてもいいんじゃないか」と言ってもらえて、育つことすらできなかった胎児にも、臓器を失った私にも、今回のことが意味があると、そういう考え方もできるんだなと思った。

医療が無ければ、今頃私は生きていない。
だからか、たまに生きているのが不思議に思う時もある。

せっかく生きているから、と前向きになるところまではたどり着いていないけれど、とりあえず悲しみに溺れて今の瞬間を失うことのないようにしたいとは思っている。

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