バイオンテックとファイザーのコロナワクチン成功した時の株価予想($BNTX / $PFE )

まず初めに、僕は化学品の受託合成を仕事にしており製造費用想定はある程度出来ますが、ワクチン担当ではありませんので、根本的な勘違いがあるかもしれないこと、ご了承ください。
また全文無料で読めますが、もしタメになったよ!という方がいたら投げ銭頂けると今後のモチベーションになります!

以下、事実と僕の想定が入り混じる分析になるので、要所要所に注意書きを「※」でしていきますが、数字は僕の経験則から想定する箇所も一部あることをご了承ください。

ーーーーーーーーー以下分析ーーーーーーーーーー
ファイザー(以下PFEと略す)とBiontech(以下BNTXと略す)が共同でCOVID-19のmRNAタイプのワクチン(以下ワクチンと略す)を開発しており、第3臨床試験の結果がもうすぐ(10月末を予定)判明する状況に来ております。
結果良好の場合、11月末にはFDAに申請する予定です。

PFEのプレスリリースによると、1年間最大ワクチン製造量は13億 dose/年です。
(ちなみにdoseとは注射一回分に当たります。このワクチンは1人2回接種する必要があります。)
またアメリカ政府との単価は19.5USD/doseと合意しているため、年間最大売上: 250億 USDになり、巨額の売上になります。
※大量購入契約でDiscountが想定されますので、単価が安価になることもあると思われます。

またワクチンの有効成分含有量は100 μg/doseです。
通常ワクチンの有効成分は培養法によって製造されますが、2000~5000L程度の発酵リアクターで2~4週間培養させて得られる有効成分量はおよそ1~5gほどです。
※生産可能数量は様々な条件によって変動します。
5gとは5,000,000μgのことであり、100 μg/doseで換算すると1つの製造ラインで生産できるワクチン量は50,000 dose/セットということになります。

つまり13億doseのワクチンを作るためには1年間で26,000セットの製造ラインを回す必要があります。
月産にすると 2,167 セット/月になります。

ワクチン製造工程は大まかに培養、清澄化、精製、滅菌、製剤化、最終充填の工程に分けられ、全工程で1~2か月程度かかると想定されます。
※使用する培養方法や精製方法によってかなり変わります。

ファイザーは、ミシガン州カラマーズー、マサチューセッツ州アンドーバー、セントルイス、ベルギーのプールスにワクチン関連工場を持っており、BioNTech社は、ドイツに2つの工場でワクチン工場を持っているため合計6つの工場があります。

基本的に製造工程において最も時間のかかる箇所に資本を投入しますが、ワクチン製造において最も時間のかかる工程はまず培養(2~4週間くらい)、次に精製(~2週間くらい)です。その他の工程はそこまで時間はかかりません。
そのため上記6つの工場のうち、4つ程度は培養&精製向け工場であり、2つが製材工場だと思います。

したがって単純に2,167 セット/月を4つの工場で行うとしたら1工場あたり540セット近い製造ライン(培養&精製)を持っている必要があります。

かなりの数の製造ラインですが、ワクチン用のリアクターは大きくても2000~5000L程度で、精製設備も小さいので、PFEクラスの巨大設備があれば問題ないと思います。

ワクチン製造工程は短くて1ヶ月、長くて2ヶ月程度ですが、ここでは最短の1か月で製剤化まで出来ると仮定します。


次に、コストを考えていきたいと思います。


ワクチンのリアクターは1セット限りの使い捨てバックタイプ(以下リアクターバックと略す)が現在の主流になります。
また同様に精製で使われる(と想定される)イオンクロマトグラフィーは、その中身であるシリカ系充填剤(以下充填剤と略す)が1セット毎に交換の必要があります。
この使い捨ての2品目がワクチン製造では大きなコストになります。
1セット=1か月とした時、
①:リアクターバック想定費用は100,000 USD/1セット/1か月、
②:充填剤想定費用は50,000 USD/1セット/1か月と想定されます。

また③:その他の製造費用としては、
培地、菌、水などの原料コスト、
工場を動かすための動力費用、人件費、廃液処分費用、分析費用、設備償却費、金利などの製造コスト、があります。
原料コストは大したことないです。
製造コストについては、動力は結構かかると思いますが、ワクチン製造は人の手ではなくほぼすべて機械でコントロールして追加培地を入れたりpHをコントロールするのでそこまで人件費がかかりません、また廃棄関係も培地などは焼却処分出来ると思いますので大してかかりません。分析費用は割とかかると思います。設備償却費用は高価な機器でも長ければ10年使うため月当たりの償却費としてはそこまでかかりません、金利は借りる条件によりますが、今の低金利ならそこまでかかりません。
よってその他想定費用として 50,000 USD/1セットと想定します。

上記①〜③(リアクターバック、充填剤、その他費用)を合計すると、200,000USD/1セットと想定できます。


この1セットで50,000 doseのワクチンが作れると想定しているので、1doseあたりの原価コストは4USD、ワクチン単価が19.5USD/doseなので原価率は20.5%となります。

ちなみに製剤したワクチンは冷凍保存で運ぶため輸送費用とかもかかるんですが、多量のワクチンを一度にまとめて運ぶので単価割りしたら大した負担金額にはなりませんので無視します。

(ちなみに製薬業界の粗利率は80%くらいだと思うので、原価率20.5%はそこまで大外れじゃないとは思います。)


原価率20.5%の場合、総売上250億USDの時、利益総額は200億USDになります。

BNTXとPFEの契約条件は、「開発費と利益は折半、知的財産は主にBioNTechが所有するが提携以後の新たな発見はその性質に応じてどちらかが所有するか協議」とのことです。

個人的には完全に利益折半ということには少し懐疑的ですが、仮に200億USDの利益総額をPFEとBNTXで折半した場合、BNTXは約100億USDの売上(PFEがほぼ製剤するためBNTXはライセンスfeeとして受け取るのがほとんどだと想定されるため、ほぼ利益になる)を最大で得る可能性があります。


上記の内容を踏まえた2021年予測をしてみる前に、まず2019年度のBNTXとPFEの数字(単位はBNTXが1,000ユーロ、PFEが1,000ドル)になります。
粗利率がBNTXが84%、PFEが80%でした。
またBNTXの売上は1億ユーロ、PFEは517億ドルです。

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この数字にワクチン売上を足してみます。
BNTXにはPFEから100億USD(約860億ユーロ)の売上が支払われ、PFEは250億USDの売上を計上しています。
またBNTXは製造コストは2019年度のものを使用しています。おそらくここも増えますが、増える売上と比較したら小さいので無視します。
また儲かればその分法人税などもたくさん支払わなければいけませんが、すべての税率計算を考慮するのは僕には無理なので、PFEは現在の純利益率28%を使用して2021年純利益を算出しています。BNTXは2019年赤字のため参考になる利益率がなかったのですが、売上がほぼライセンスfeeとして支払われるため驚異的な利益率となり、M&A等をしなければ主な出費は課税くらいになると思います。ドイツの法人税は約15%+αくらいなので、適当に70%と設定しました。
※この70%は本当に適当です。どなたか適切な数字を知っていればご教授いただけますと幸いです。

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結果として、BNTXのEPSは26、PERが15くらいに収束された場合、理論株価は約400USDになりアップサイドは475%、PFEはEPS3.87、PERが12、理論株価は46になりアップサイドは125%となります。

ただmRNA技術を確立させ、その他有望な製品開発リストを揃えているBNTXは大人気企業になる可能性が高く、PER15を大きく超えるかもしれません。
そこでBNTXのPER15、20、30の時の理論株価とアップサイドも合わせて計算してみました。

画像3

PER30でテンバガーを目指せるレベルになります。


長くなりましたが以上になります。
上記数字は大きく外れている可能性も高いと思います。特に培養方法、製造キャパシティ、製造サイクルタイム、各費用などは様々な変動要因があるのでほぼ確実に間違えています、合っていたら奇跡です。そのくらいの気持ちで、あくまでも個人の数字遊びとして参考にしてください。
最後に本noteは投資を推奨するものではなく、投資は自己責任で行って頂きますよう宜しくお願い致します。

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