(追記有:2/22) Nano-X Imaging($NNOX)の皮算用

<追記:2/22>

アメリカ制度難しいのでちょっとまとめてみたいと思います。
アメリカでは医療機器を下記のようにカテゴライズします。
クラスⅠ:一般医療機器
クラスⅡ:管理医療機器
クラスⅢ~Ⅳ:高度管理医療機器
クラスⅠは届出のみで良く、クラスⅡは後発機器であれば市販前届出(510k)を、少なくとも90日前にFDAに届け出る必要があります。
ただし新医療機器であれば市販前承認(PMA)となり治験が必要になります
クラスⅢ以降は治験必須です。

ここで重要なのはクラスⅡには後発機器と新医療機器と2つの場合があることいこうとです。
重要なので詳細を見てみると、FDAはクラスⅡの後発機器を市販前届の対象となった機器が既に販売されている機器と実質的に同等(Substantial Equivalence - SE)であるか否かで判定します。
実質的に同等とは使用目的が同一であり、同じ技術的特性を有することを言います。
また技術的特性が異なっていても、安全性及び有効性が法的に市販を認められている機器と同等であることを立証できる場合がありますが、臨床データ又は科学的データのサポートを必要とします。
技術的特性に差があるとされるのは、材料、設計、エネルギー源、性能などの差異を意味します。

ここでNNOXに立ち戻ると、SECレポートでは「2021年1月30日にはFDAから追加の情報提供要請を受けましたが、その中には、Nanox.ARCの使用目的やNanox.ARCとプレディケートデバイスとの比較可能性に関する追加サポートの提供を求めるものも含まれています」と記載されています。
これはFDA当局がNNOXの「後発機器」であるかに疑問を持っている可能性があります。
もちろんそうじゃなく、ただのマイナーな質問かもしれません。少なくともNNOXは後発機器として申請していますし、FDAの質問にもすぐに回答予定と述べています。
ただNNOXの原理が既存品と全く違うのであれば後発機器と認められない可能性も大いにあります。

仮に後発機器と認められず新医療機器と判断された場合はNNOXは治験を行わなければなりません。
その場合、治験+PMAレビューで最低でも2~3年はコマーシャルが遅れると思います。
これは結構致命的です、NNOXは暴落の危険があるのはこの時です。

逆にいえばこのニュースさえ出なければ暴落はないと思っています。
ではこのニュースが出るタイミングはどこでしょうか?
僕はNNOXの決算発表だと考えています。
少なくとも僕はFDAがそういう内容をわざわざ公表する前例について知りません。
そのため僕は決算までに510kのニュースが出なければ売るつもりでいます。
決算までは株価がだらだら下がる可能性と爆上げする可能性が共存しているため、リスクリワードの観点から良い投資だと判断しています。

<追記終了:2/22>



$NNOX 60$でインしたので参考までに僕の皮算用おいておきます。

まず前提として、僕の投資スタイルは数年で時価総額が5~10倍になるスト―リーを持つ銘柄に投資することです。
時価総額がそれだけ上がるためには所謂”破壊的なイノベーション”が求められます。
そして僕がバイオ銘柄を好むのは、他の業界とは違って比較的真似しづらく、Winner take allが想像しやすい業界だと考えているからです。

破壊的なイノベーションの代名詞であるハイテク業界は特許で守られているようで守られていません。
ハイテクのビジネスは真似されます。特許は侵害されます。そして時間をかけて裁判するものです。その時間を使ってシェアを取ってしまうことが戦略として有効です。

バイオにもそういうことも起こりますが、明らかな特許侵害などはFDAなどの公的機関の審査で承認されません。そして承認されなければ販売は出来ないため、他社のビジネスを真似するハードルが非常に高いです。

したがって、ライバルが登場せずかつ既存市場を破壊するほどのイノベーションを製品化することが出来れば、シェアを独り占めすることが可能です。

例えば僕は今 $TMDX に投資しています。
TMDXはこれまで常識であった移植する臓器を氷漬けにして輸送する在り方を根本的に変え、TMDXのケアシステムを用いて輸送することが世界基準になりえる可能性を持ちます。
これは新たな市場創造であり、完全なブルーオーシャンです。
今は800M$程度の時価総額ですが、僕は数年先は20B$の時価総額になると思っています(今回はNNOXが本筋なので省略します。)

本題に戻りますが、NNOXも同様に破壊的なイノベーション成りえるストーリーを持ち、将来的に5~10倍の時価総額になる可能性を秘めています。
NNOXの製品の最大の特徴は安価であると同時に、医療画像検査の解析を容易にすることです。

現在、先進国の患者でさえ医用画像診断とその後の診断結果に数週間、時には数ヶ月の遅延が発生していると言われています。
例えばカナダでは、磁気共鳴画像検査(MRI)やCT検査の待ち時間が数ヶ月に及ぶという報告があり、医療画像検査へのアクセスの問題が深刻化しています。
待ち時間の長さは患者の健康に悪影響を与えるだけでなく、発見と治療の遅れにより多額の費用が発生することが想定されます。他にもスコットランドではCTスキャンの待ち時間が6週間以上、アイルランドでは12ヶ月以上、イギリスではスキャンやX線の解析の遅れにより何万人ものがん疑いのある患者が1ヶ月間ほど待つと言われいます。
途上国に至っては高価な機器を買うことが出来ず、医療機会事態にアクセス出来ないことも多いです。

NNOXはこういった問題を従来とは違った方法で画像診断する機器を開発し、それを使用毎に費用を徴収するモデルで運用することで、解決しようとしています。

では実際にどういった売上が想定され、その売上はどの程度の時価総額に繋がるかを見ていきたいと思います。

まず、NNOXの決算資料からKPIをまとめてみます。

・2021年早期にシングルソースのFDA承認取得
・2021年中にマルチソースのNanox.ARCとNanox.CLOUDについて、追加の510(k)プレマーケット届出をFDAに提出する予定
・2022年中に1,000台以上販売
・今後3~4年で約15,000台のNanox.ARCを生産し、展開する。

またNNOXは1スキャン当たりの固定費用を徴収するビジネスモデルを展開しようとしていますが、拡販代理店に求める事業開発契約の内容をポイントを下記のように述べています。

・1日:7スキャン
・1ヶ月:23日
・1スキャンあたり40ドルで、そのうち14ドルをNNOXが得る
・NNOXが理想としている1日60スキャン

上記Ref: (※Dr.医療株さんご指摘有難う御座います!)

画像3

これらの情報により、2022年までにNNOXの機器を1,000台販売し且つ1日7回~60回 x 23日/月 x 12か月を使用するたびごとに14ドル徴収した場合と、3~4年後、つまり2025年には15,000台を同様に展開した場合のNNOXの売上を下記のように計算してみると、2022年には27~231M$、2025年には405M~3,477M$の売上という数字が出てきます。

画像3


この売上からメンテナンス費用やパートナーへの支払い等々が発生するため利益率がどうなるかは分かりませんので一旦無視しますが、参考までに医療機器メーカーの時価総額・売上等をベンチマークにすべく下記のようにまとめてみました。

画像3

売上が900M$程度でも時価総額は15B前後あり、売上が4B以上でも利益率が高くて人気企業なら時価総額が50Bに程度であることを見ることが出来ます。

もちろん医療機器メーカーといってもビジネスは全く違うため、単純比較は出来ませんが、あえて比較し且つ皮算用をすると、NNOXの現在(2021/2/18)の時価総額を約3B$とした、最初の製品がFDA承認をとれ、市場が2年先の数字まで織り込んだ場合時価総額は5倍の15Bに、そして数年後に販売台数が1,000台を超えて順調に伸びていくとき、市場はさらに先の売上を織り込み、15倍の50B$まで近くまで増加するかもしれません。

ここまで到達するためにはビジネスが順調であることが前提であり、そのために設定したKPIを決算報告で追いかけて確認する必要があります。
ただ商品が完成さえされてしまえばあとは市場にどれだけ受け入れられるかを確認するだけのお仕事になると思っています。

また補足として、株価XX倍ではなく時価総額がXX倍としているのは、公募増資などで株の希釈化などは避けられないと思うので比較対象にするには不適切と考えているからです。

以上によりNNOXはKPIを順調にクリアすれば時価総額が10倍以上になると考えてNNOXに投資しました。
まずはFDA承認のファーストステップを祈願したいと思います。



おまけとしてTwitterにツイートした懸念材料なども併せて記載したいと思います。

$NNOX の承認申請ヒストリー
2020年1月:第三者審査プログラムの下、認定審査機関にNanox.ARCのシングルソース版の510(k)プレマーケット届出書を提出。
2020年3月、審査機関から「重大欠陥通知」と呼ばれる情報提供要請を受ける。
この要請には申請書を完成させるための追加データやその他の情報の提供、および特定の性能試験の結果など、審査機関によって強調された特定の欠陥に対処することが求められた。
2020年9月3日、審査機関に上記の回答書を提出。
2020年9月10日、審査機関はNNOXに510(k)市場導入前届出に第2のプレディケートデバイスを含めるよう要請。
2020年9月26日、NNOXは修正した510(k)市場導入前届出書を審査機関に提出。
2020年12月28日、審査機関はFDAに認可を勧告。
2021年1月1日、審査機関を通じてFDAからNNOXの届出に関する情報提供の要請を受ける。
2021年1月4日に上記に回答。
2021年1月30日、FDAからNanox.ARCの使用目的やNanox.ARCとプレディケートデバイスとの比較可能性に関する追加サポートの提供を求める追加の情報提供要請を受ける。
今に至る。

NNOXは2/12から$62.50で合計$193,227,187.50のSecondary offeringを行っており、さらにロックアップ解除が明日2/17を予定されているので、売り買いが非常に活発になることが想像されます。
また僕が調べる限り、FDAへの情報提供要請を完了したことは確認出来ていないのですが、この辺について事情を知っている人がいればご教授頂けると嬉しいです。
完了しているのであれば2/17の値動きを見て投資したいと思います。
完了してなければもう少し様子を見たいと思っています。

プレディケートデバイスって何だろうと調べたところa legally marketed device (predicate device) とのこと。
意訳すると既に流通している医療機器のことになります。
つまりFDAは既存機器の比較データとそれを補足できる資料を求めていると推測出来ます。

ちなみに下記文脈で説明されてます。

A Premarket Notification [510(k)] is a premarketing submission made to FDA to demonstrate that the device to be marketed is safe and effective by proving substantial equivalence (SE) to a legally marketed device (predicate device) that is not subject to Premarket Approval (PMA)

この情報は基本的な内容と思われ、なぜ今更?という気がします。
ちなみに審査機関の勧告から30日以内にFDAは承認or追加質問をする必要があるようです。
そのためこの質問自体に特に深い意味はなく、FDAの時間稼ぎの可能性があります。
なぜ時間稼ぎをするのかわかりませんが、
考えられることとしては、新政権&コロナ関係でバタバタしていて資料のレビューが間に合ってないのかもしれません。
あるいは本当に何か疑念があって追加データが必要なのかもしれません。

ちょっと気になるのでもう少しsecondary offeringの内容を調べてみたいと思います。


FDAは勧告を受けてから30日以内(NNOXの回答待ち時間除く)に決定しなきゃいけないので、もろもろ計算するとNNOXが最終回答してから4日以内に決定する必要がある。
現時点で承認されてないことからNNOXがまだ回答出来ておらず、これは前回3日で回答したことと比較すると少し長いように感じる。

僕がNNOXのリスクファクターを読んで一番気になることは長期的耐久性を確認出来ていないこと。
これは8年以上開発していたのにも関わらずデータがないのは少し不自然に感じる。
だからこそビジネスモデルがNNOXがメンテナンスも行うとサブスクモデルなのかも。

耐久性がなくてもサブスクなら販売は問題ないとは思うけど、世界中にメンテナンス要因と部品の在庫を抱えるから、ハイテクのサブスクみたいな利益率にはならないかも。
たぶんそのうち承認されるとは思うけど、調べれば調べるほど難しい銘柄だなーと思います。


以上です、投資は自己責任でお願いします!

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