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「一枚だけの、美術展。」/シモネッタ展

2023年最初の美術展は、「シモネッタ」。昨年から決めていました。

「一枚だけの、美術展。」というコピーがステキじゃないですか!
新春に、華やかで美しい女性の絵を一枚だけ観に行く。なんという贅沢。
2023年1月28日は、シモネッタ570回目のお誕生日なのだそう。高貴な方のお誕生祝いですから、身だしなみを整えていざ、お出かけです。

@丸紅ギャラリー

2021年11月に開館した丸紅ギャラリーは、大手町の丸紅本社ビル3Fにあります。
丸紅ビルに入っちゃっていいんですか⁈ とドキドキしながら、1Fの自動ドアを抜けると、いきなりこちら。

増浦行仁さん(写真家)が撮影したシモネッタの巨大ポスター

最高。

右下には、ロボットのガードマンが待機。近くには、人間のガートマンさんもいらして、(シモネッタの警備なのかビルの警備なのかはっきりしませんでしたが)いてくれるだけで安心感ありますね。トマトスープかけられたりしたら、嫌だもの。

右手の直通エレベーターで3Fへあがると、すぐギャラリーです。

左・ギャラリー入口 右・会場入口

La Bella Simonetta 美しきシモネッタ

いよいよ、シモネッタとご対面です。

もう、なんというか… 一枚だけで美術展が開催できるだけのエネルギーを持つ絵って、やっぱりすごい。

肌の透明感、波打つ黄金の長い髪。髪飾りや首飾りは高価だけどシンプルで、それが彼女の髪や肌の美しさを際立たせています。絵の右から左へ海風が爽やかに優しく吹きぬけているような光の印象です。穏やかな波の音さえ聞こえそう。保存状態がとてもよく、発色がとてもキレイなことも相まって、イキイキとした美しさです。

なぜだろう、シモネッタが背後の四角い枠(多分、窓)から浮いているように見えました。例えるなら飛び出す絵本のような感じ。2Dと3Dの中間というのでしょうか、なんとも不思議な感覚です。

1枚の絵に3面の解説

展示会場は一部屋のみ。
会場入口に「シモネッタの生涯」が紹介され、会場に入ると正面奥に「美しきシモネッタ」が展示されていました。
会場の残り3面の壁には「多くの画家や詩人に描写されたシモネッタ」・「来歴と贋作疑惑」・「ボッティチェリの作品に描かれたシモネッタ」といったテーマで、とても詳しい解説が展示されています。
これ、本当にうれしい。
絵を鑑賞→解説読む→鑑賞→解説…の無限ループを、気が済むまで堪能できました。

●解説については「美術展ナビ」さまのサイトが詳しいので、こちらをどうぞ↓

個人的に興味を持った解説は、「贋作疑惑」です。
贋作の話って、なかなか公に語られることがないように思うのです。事実の経緯を知ることができた貴重な機会になりました。
そして、疑惑報道によって受入れ予定だった美術館がキャンセルしたにもかかわらず手元に残した、という丸紅さまの英断を讃えたいです。ありがとうございます!(その後、科学的分析により真作と結論)

それから、有名な「ヴィーナスの誕生」や「ラ・プリマヴェーラ」のモデルはシモネッタではないか、という解説も興味深かったです。

ヴィーナスの誕生(Wikipediaより)

確かに、中央の「ヴィーナス」のお顔、そっくりです。

ラ・プリマヴェーラ(weathernews.jpより)

「ラ・プリマヴェーラ(春)」に描かれている6人の女性のうち、誰がシモネッタをモデルにしているのかは専門家によって説が異なるそうです。
事実としていえるのは、3美神の右に立つ女性がシモネッタを同じネックレスをつけているということ。この解説を読んだときは鳥肌が立ちました。

ヘアスタイルも似ている!

こちらの2枚の絵画は以前から知っていたのですが、女性がみんな同じ顔に見えて、ボッティチェリって女性顔のレパートリー少なめ?なんて思っていました。ものすごく失礼な発想だったと猛省です。画中の女性すべてにシモネッタのエッセンスが含まれているのでしょう。

個人的に妄想が全開したのは、双方の絵に描かれている「女性を抱きかかえる男性」ペアです。
この男女、どちらも「西風の神ゼフュロスとニンフ」。ニンフがゼフュロスの愛によって花の女神フローラになる、という神話がもとになっています。

1475年の騎芸協議会で、ジュリアーノ・デ・メディチが騎士がその名誉のために戦うイナモラータ(愛人)に既婚のシモネッタを選んだ、という逸話を表現しているようにも見えました。
「イル・ベッロ(美しきもの)」と呼ばれたほど長身の美男子だったジュリアーノが、フィレンツェ随一の美女といわれたシモネッタを「愛人」に指名…ドラマチックです。

メディチ家はボッティチェリのパトロンですから、何かしらのサービスはあるでしょうし。

ジュリアーノ・デ・メディチの肖像/ボッティチェリ

あるいは、シモネッタは結核のため22歳で亡くなっているので、それを「ゼフュロスが連れていった」と表現しているのかもしれない、と思ってみたり。これもロマンチック。

そういえば、ドラマ版「ハンニバル」で、ハンニバルがウフィツィ美術館でボッティチェリの「ラ・プリマヴェーラ」を模写していたシーンを思い出しました。あの時ハンニバルは、完璧な模写をしつつもゼフュロスとニンフの顔を自分と関わりの深い人物の顔に書き換えていたのが印象深かった…

「ヴィーナスの誕生」はシモネッタ没後6年以上経って完成されています。亡くなってもなお、ボッティチェリにとってシモネッタはミューズであると同時に、非常に思い入れの深い存在だったのだろうと感じました。

シモネッタの生まれながらの容姿・ボッティチェリの思い入れと表現・保存状態の素晴らしさ、という3つの美に囲まれた、美しい美しい美しいシモネッタでした。

今日のおみやげ

左・リーフレット 右・コースター

絵はがきは、シモネッタ一択でしょう!と意気込んでいたのですが、完売で手に入らず。残念!
肩を落としてギャラリーを出たところで同階にバルレストラン「ヴェル・テラッツァ」を見つけ、せっかく丸紅ビルに来たのだからと記念にランチしました。

ランチメニューは3種類くらいあって、メイン+スープ+サラダのセットで1500円前後。
私はシモネッタコラボメニューの「シーフードジェノベーゼパスタ」(シモネッタの出生地が港町だから?)をいただきました。生パスタかな? モチモチで美味しかったです。雑な情報ですみません。

ギャラリーのチケット半券提示で飲食料が10%オフ、さらにお土産にシモネッタのネックレスがデザインされたコースターをもらい、ご機嫌で新春の丸紅ビルを後にしたのでした。

展覧会情報

会期(2022年12月1日〜2023年1月31日)は終了しました。次回この絵を見られるのはいつになるのか、わかりません。

またシモネッタに会いたいなぁ。1月28日がシモネッタのお誕生日ということで、毎年、この時期に「お誕生展示会」を開催してくれないでしょうか?


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