透明な存在

転校二日目

初めて出逢った時、彼女はトイレの手洗い場で真っ白に手を汚していた

友人が一体なにをしているのか訊くと、その娘はこう答えた

「修正液のかちかちの正体が知りたくて」

私はその一言ですっかり彼女を好きになった

あれから多くの時間が過ぎ去ったが、彼女はいつまでも透明な存在のまま くらげのように漂っている

その様をうっとりと眺める私の脚は

地面から生える蔦に絡まっている




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