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金(ゴールド)の特徴とK14GF製品について

銀の次に好きな金属、それが金です。
日本では特に金は派手なイメージがあり、一昔前は左程人気が無かったのですが2013年に月の時代に入ってから不思議にも銀よりも金のアクセサリーが人気になってゆきました。時代が陽から陰に変わったからこそ女性は自然と、金色の物を身に着ける事で陰陽のバランスをはかっているのかなとも感じられます。

これに乗じてK14ゴールドフィルドというメッキよりも厚いコーティングを施した安価な金がコーティングされたのアクセサリーが出だして、より金人気に拍車がかかったようにも思います。更にクラフトブームが追い風となり、ゴールドフィルドパーツも沢山出回るようになりました。
金の魅力も知っている私からすると、銀メッキ製品同様に、金も高価で手が出せなくなってきているからこそ、こうした製品が出回り始めたのかなと思います。ただこうした製品に関しては今一度基礎知識を持つと購入する際の参考になるかと思います。

●金はアレルギーになりにくい?

実はゴールドはシルバーよりもアレルギーを起こしやすいと言われています。人によって、反応する金属が異なり、銀アレルギーがある方はゴールドは大丈夫という方が多く、K24のゴールドフィルドかK18がお勧めです。何故ならK24のアクセサリーは私が知る限りここ数年全く程販売されなくなりました。尚、K10は含まれる銀の量も多くなりますので銀アレルギーの方にはあまり適していません。

金ロウでアレルギー反応が出る事もある

私は金もピアスはアレルギー反応が出ます。これはピアスの直棒をロウ付け(接着※はんだ付けみたいなイメージ)する際に、接着剤の役割を果たす融点が低い金を使用するのですが、その金の中に銀メッキにも使われているニッケルやカドミウムが含まれており、これに反応していたようです。
ピアスはそのロウが皮膚に密着するので、アレルギー反応が出やすいです。
今はカドミウムが入っていないロウ材も出てきました。
私はアレルギー軽減の為、K10の場合は銀ロウは基本的に銀と銅なので、直棒部分だけ銀にして銀ロウを使ったりしています。


●地中の太陽

金は、ラテン語で「朝の光の色」を意味します。あよそ6000年前、人類が金の精錬技術を手に入れて以来、金は最も愛される貴金属となりました。太陽の金属。「地中の太陽」といわれ、地球をめぐる太陽が金の光を地中に閉じ込めたのが、金脈だといわれていて、古代都市国家ウルの王様には、シュメール文明の華麗な夢が眠っており、装身具を初め、おびただしい数の飾り物、戦車などの武具、楽器などにはそれぞれ素晴らしい金の細工が施され、王妃シュバトは金、銀、ラピスラズリ、多彩なメノウのビーズで飾り尽くされて、さながら宝石の衣をまとうようであったということです。マルコポーロやコロンブスなど冒険家は黄金を求め、大航海に乗り出しては、歴史を塗り替えていきました。イタリアでは、年に一度のベネチアの大祭で、金箔に覆われたガレー船をくり出したと言われます。この船は皇帝ナポレオンに焼かれ、残った金はフランスに持っていかれたとされています。紀元前一世紀、後漢の光武帝が倭国の使者に金印を贈ったのが、日本史に登場した最初の金だという事です。

金には、昔から世界各地で言い伝えや、寓話も寓話も多く、イソップ寓話の「王様の耳はロバの耳」で有名なミダス王は、太陽神アポロンによって、触るものが何でも金になるという、地獄の幸せを与えられ、結果、自分の娘に触ったとたん娘は金に変わってしまいました。それほどまでに、金には人々を熱狂の渦に巻き込む危険な魔力が潜んでいるようです。

これらはアダムとイヴの神話にも金がキーワードに出てくるように地球外生命体にとってとても貴重な資源だからこそ、価値が生まれたのかなとも思えてきます。深く考察してみるとまた新たな発見がありそうですよね。

そして金は成功、頂点、貴重、高貴、豊かさ、勝利などの象徴でもあります。名誉や富の象徴であると同時に、優れた浄化力を持つパワフルな色です。太陽や男性性の象徴でもあります。

何故ならゴールドは活性化の色。派手なイメージがある反面、物事を活性化し、ステイタスを引き上げる力があります。気が弱い方やややストイックなタイプの方は逆に陽気な金を身に着けるとバランスが保てると思います。

●K10,K18、K24の表記、刻印

金の純度の単位は、宝石と同じでカラットです。99.9%以上のの純度の金は24金。「K24」と書きます。灼熱の太陽のように、鮮やかな金色。日本で一番見かける18金は、24分の18だけ金を含んでいるという意味になり、75%金が含まれています。次に人気の K10は約42%となります。 金も銀と同様に、強度や硬度を与えるために他の金属を混ぜ合わせます。

それを「割金(わりがね)」と呼び、銀で割れば青みがかった金に、銅の割合が多くなれば赤みの強い金になります。 普通、18金はイエローゴールド。75%が純金で、残りの25%のうち銀と銅がそれぞれ12.5%を占めています。緑がかったグリーンゴールドは、銀が25%。反対に銅だけ25%だとレッド・ゴールドになります。ここに少しの銀とニッケルを加えると、最近、人気のピンクゴールドになります。残りの25%を銀やパラジウムなどの6~7種類の白い金属で精製すると、ホワイト・ゴールドです。プラチナと同じ銀白色です。かわったところでは、黒味がかったブラック・ゴールドや、柔らかな金茶色のベージュ・ゴールドなどもあります。

こちらも刻印がとても重要なのですが、シルバー同様過去に承った修理品にはメッキコーティングしてあってもK18やK10と打っている刻印があります。チェーンが切れてお直しに持ってこられて火を当ててみるとあらら。。大体真鍮にメッキされているのですが、これの場合修理する側はシルバーよりも厄介で、メッキかを確かめるには火をあててみたり、磨いてみるしかないので、事前にメッキかもしれないという事もお伝えしてから修理に入ります。
この時初めてメッキ製品だと気づく方が多く、かなり高額で購入されているのでやや悪質だなと思ってしまいます。
愛芽も必ずお付けしていますが、なるべく保証書付のものや、ちゃんとしたブランド、製品が安心と言えます。

●お手入れ

基本的にゴールドは変色する事はありませんが、 一般的にK10ピンクゴールドは変色銀の量がやや多いので変色すると言われています。
ただ、自身でも2,3か月ピンクゴールドの指輪を着けっぱなしにしていた時がありましたが、全く変色の気配はありませんので、シルバーよりも変色はしにくく、さほど変色を気にする必要はないと思います。
愛芽では購入の際は銀には銀用の、金には金用の磨き布をお付けしています。少しくすんだという場合は同じように磨いて頂き、ティッシュ等で研磨剤をふき取って頂くと良いと思います。
こちらもSVよりは硬いですが、金の中では、純度が高い程柔らかいので、一番傷がつきにくいのはK10です。

●歯磨き粉を付けて磨くのは×

これは銀にも言えますが、よくお客様で歯磨き粉を付けて歯ブラシで磨いたら逆にくすんでしまったという話を伺いますが、更に細かな傷をつけてしまっている状態なので、柔らかな布に貴金属専用の研磨剤を付けて磨く方がまだ綺麗になるかなと思います。
ただ、だったら元々研磨剤が入った磨き布の方が金属用の研磨剤独特の臭いもしないので便利です。

ゴールドフィルド(k14GF)の製品について

さて、2017年以降瞬く間に人気となったK14GF(ゴールドフィルド)という比較的最近の素材。今では特にビーズアクセサリー等のハンドメイドの作家さんや、量産のアクセサリーを販売しているショップの多くが、ゴールドフィルド(K14GF)という素材を用いています。
これは金の価格の高騰も原因にあるようです。10年前は24金、18金、14金、10金がありましたが、今は18金と10金の取り扱いしかありません。
今後は18金も無くなるのでは?と思っています。前回銀のお話の中でも書きましたが、金は庶民の手の届かない処に向かいそうだからです。
それを見越してなのか、14金が無くなった頃に出だしたのがK14GFです。こうして代替品が現れ始めました。

一般的な説明としては、主に真鍮(黄銅・ブラス)などの合金でできた金属を芯として、総重量の20分の1にあたる5%の金をコーティングした素材で、鍍金(メッキ)とは区別され、"金張り"とも呼ばれています。ゴールドフィルドは、本物の金の輝きをそのままに金と較べると安価で手軽に楽しむことが出来る素材として定評があります。それでも金の高騰によりゴールドフィルドも値上がりしているようです。

日本ではK14(14金)が多く使われゴールドフィルド=K14GFと思われていますが、海外ではK12GFやK18GFもあるようです。(コーティングに使われる金の種類によって異なります)

ゴールドフィルドは、金鍍金(ゴールドプレイテッド)と比べてコーティングの層が厚く、熱圧力で金をコーティングしているため、耐久性の面においても優れており、金メッキのようにすぐにメッキが剥げてきてしまうような心配は殆どありません。

そんな文言から多くの作家さんが、安心してゴールドフィルドを多用しているのではないかと思いますが、実際に販売されている方の情報によりますとゴールドフィルドも結局は剥げてしまうようで、実際に着けた方の情報には、ゴールドフィルドは、金とは異なり、朝晩肌身離さず付けっぱなしにした状態で1ヶ月過ごすと、明らかにチェーンがくすんでくるとの事。これはメッキ製品も同じで、以前愛芽でもピンクゴールドのメッキチェーンを磨いてほしいとお預かりした際、汗や皮脂による汚れで生じたくすみは洗浄である程度綺麗になりましたが、購入時のような輝きは戻りませんでした。更なる情報としてはこの時、液体クリーナーを使うととても綺麗になる代わりに圧着した金が落ちやすくなるそうです。

次第に、くすみが生じるたびにクリーニングをしても綺麗にならない状態に陥り、先ほどのメッキのように元のキラキラした金色の状態には戻りません。指輪は摩擦が多いと劣化が早くなるそうです。更に日焼け止めのクリームやローションに含まれる油分や薬効成分がゴールドフィルドに付着すると劣化やくすみ・変色の原因となります。

これらに共通するのは、皮膚から出る汗や皮脂と結合してチェーンが汚れたり、摩擦で金張り部分が少しずつ剥がれて真鍮が少しずつ出てくるようです。ただしピアスはつけっぱなしにしていてもワイヤーも金具も全くと言っていい程劣化しないようですので、ピアスならゴールドフィルドのものでも劣化を気にしなくてよいかと思います。

・メッキ製品の間違った情報とデメリット

ゴールドフィルドを扱っている作家さんで、ゴールドフィルドを紹介する際に「金鍍金の100倍の厚さで圧着している」と書いておられる方もおられますが、これは完全に間違っているらしく、実際はせいぜい20倍程度で、「GFはアレルギーが起こりにくく、安心してお使い頂けます」という一文を添えている方も多いですが、真鍮アレルギーのある方の場合は金でコーティングしてあっても真鍮は真鍮ですのでアレルギー反応が起こることはあるようで、更にK9やK10のように金の純度が低い金(金合金ともいいます)でアレルギーが起こる方の場合は、こちらもゴールドフィルドでもアレルギーが起こる可能性があるそうです。

更に、複雑な形状のパーツを製造することはできない点がデメリットとされているので、シンプルなデザインのものが多いのもこのためです。

又、板状・ワイヤー状・筒状の形状の素材から様々なパーツへと成型されていますので、切断面など構造上どうしてもベースメタルが露出した状態になっている部分あったり、部分的にろう付けで接合されているパーツもあるため、ベースメタルやろう材に起因して金属アレルギーが出る可能性は14金よりも高くなる点に注意が必要です。

前回のお話の通り、愛芽のジュエリーは本来地金が持つ意味や良さ、機能性(修理ができる)を大事にしている為、メッキコーティングはしていません。

・修理が困難

メッキコーティングやゴールドフィルドのアクセサリーは安価で手軽に購入できる製品なのでお手頃で勿論メリットもありますが、ただこれらの製品の修理は通常の修理とは異なります。
メッキ製品やゴールドフィルドは火を当てると剥がれます。
メッキコーティングは特殊な溶液に着けて金メッキを付着させるので、剥がれた部分だけをメッキコーティングするという事はできません。
一旦全てメッキを綺麗に剝がしてからメッキコーティングするのですが、メッキコーティングがされている製品は全て量産品です。
何故かわかりますか?一度に沢山メッキコーティングできるから安く販売できるからです。
一つの溶液に数百単位で一気にメッキコーティングするので価格が安いのであって、一つだけをメッキコーティングするとなると当然単価が高くなります。100個メッキをしても、一個メッキをかけても同じ工賃なのです。

となれば確実に購入した価格よりも数倍修理代が高くなります。修理の方が高くつく。これが量産品の特性です。となると新しいものを買った方がよくなるので、どんなに気に入っていても壊れたら廃棄になってしまいます。

気に入ったものだからこそ、修理して身に着けたいという方が愛芽にはやってこられるので、毎回こうした説明をするのがとても心苦しいです。
なのでこうして定期的に載せています。

メッキ製品以外のアクセサリーに関しても、レジンは制作の際に有害なガスが出ますのでレジンアレルギーも増えてるようです。
樹脂などの手ごろ価格で可愛いアクセサリーがあるのは決して全て悪いわけではないですが、それらが大量に生産されて、アレルギーが増えている事実も確かです。

麻や綿、絹が古来からとても万能で環境にも良く、人間の身体にも良い価値あるものだったように、もし環境に配慮し、自身の健康を意識するのであれば、地肌に身に着けるアクセサリー類もそれらの素材が何でできているかを知り、そしてそれが環境に対して、自分の身体に対して本当に優しいものなのか、意識してみると良いと思います。
一つ一つの小さな選択が自身の身体を健康にし、自身の未来を善き方に変える。それは地球の未来にとっても良き方に向かう一歩になると私は信じています🌱


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