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10/4(月)-10/10(日) 1週間のミャンマーでの出来事まとめ

ちょっと遅くなったが、今週分もとりあえず更新しておきます。本当に色々なことが起きています。国際社会の動きが色々と表面化しはじめているのが興味深いです。各方面が 支援する、と発言し、矢面に立たされている「ASEAN」が今後どうなっていくのか。気になるところです。


犠牲者数

死者 1,161名(先週 +7名)
逮捕 8,835名(先週 +126名)
うち現在も拘束中 7,164名(先週 +119名)
逮捕状発行 1,989名(増減なし)

ミャンマーチャット、少し落ち着き

先週 1USD = 2,500ks 程度になっていたが、2,000~2,200ks前後へ。

10月4日月曜のレート

10月10日 日曜のレート

比較的、この範囲内で動いた印象。そして 少しチャット高に戻った、というか…要因は、ちょっとわからない。軍による各種規制によるもの、と言えなくもないが、軍の発表等はむしろ逆に動く事が多いので、なんとも。
そう考えれば、先週1週間、あまりに急激に動きすぎただけ、という判断かな、と見ていますが、どうなのでしょうか。

ロイターの関連記事

軍管理の中銀によれば「下記にある 30日ルール」が有効に機能した、と言ってるようだが…そして、11月と12月に輸出が増え、ドルが増える、と。(詳細は不明ですが…)

 輸出業者は、ドルを手に入れたら 30日以内にミャンマー・チャットに換金せよ、と軍が新たな規制。少し前に、4ヶ月以内に、というルールを設けたが、その期間が大幅に短縮されたことになる。
 外国為替公認銀行に市場価格で売却が求められる、とあるが、これも為替安定に影響しているのだろうか…


車の輸入禁止の制限も影響してるのでしょうか?

スーチー氏裁判含む裁判の実態の酷さ

アウンサンスーチー氏の公判が行われ、無意味な裁判に疲れ切っている模様。でっちあげの、ただのカタチだけの裁判だし、なんだったら証拠すらもないし、そりゃそうだよな…ってなるやつ。


NLD政権時 ヤンゴン管区長だった、ピョーミンテイン氏が先週の裁判で「スーチー氏に賄賂を渡した」と証言。スーチー氏は「まったくばかげている」とコメントした模様。
※ピョーミンテイン氏については、以前 ディープフェイス っぽい合成画像と思われる訝しげな映像が出回っていたが、その時の内容と同じ発言をした。

3月23日に拡散された ピョーミンテイン氏の映像(口の動きとか全然なくて違和感すごい)


なお、こちらの記事にあるように、幾つか裁判が行われているが、証拠がないのに行われてるものが多い…証人が日付すら記憶にない、と。さらには受け取ったとされる、スーチー氏の所持品等からも証拠は出てこない。ただピョーミンテイン氏が語っていることだけが証拠とされている。まぁミャンマーの軍がやろうとしていることは、こういう事だ、と… とてもわかりやすい事例。


外国人に対する裁判に「通訳をつけない」非道振り

スーチー氏の経済顧問を務めていた オーストラリア人のショーン・ターネル氏も拘束されているが、裁判に通訳をつけない、という人権無視の対応が行われる模様。裁判あっても、今の感じだと同じっちゃ同じではありますが、それでもかなり非道。

ちなみに、別途流れていた情報では、ショーン・ターネル氏の妻が「間もなく夫が戻ってくる」と投稿をしていた、といった報道も。色々と情報が錯綜しています。


マンダレーでのデモが、グッと来た

久々にじっとデモ動画を見ていたら、なんとも来るものがあった。
今も、多くの人々の心は変わらない。拘束や弾圧の怖さがあり、軍に従うしかないかな… とそちら側を選ぶ人もいるけれど、その一方で、勇気を出して、抗議の声をあげ続ける人もいる。
ミャンマーにおけるデモも、最初は1つのマンダレーのグループからはじまり、全土に広がっていったのだ。


マレーシア外相が、ミャンマーの軍をASEAN首脳会議に参加させる事に懸念を表明

ASEAN外相会議の後のコメント
・シンガポール外相「ほとんどのメンバーがミャンマー問題に対して失望を表明した」「ASEANが通常通りに行動することはできない」と発言
・マレーシア外相は一歩踏み込み、進展がないなら「SAC議長(MAH)をASEANサミットに呼ぶのは難しいだろう」とTweet。

マレーシア外相のTweetがこちら

(意訳)ASEAN外相会議で、ミャンマー当局がASEAN特使に協力しない事に失望しており。進展がない限り、10/26-28 のASEAN首脳会議にSAC議長(※ミンアウンフライン総司令官を指す)を迎える事は困難である、と述べた。

軍の報道官が批判のコメント

なかなか進まないASEAN特使派遣。ASEAN特使は、すべての当事者との対話を求めている。つまりNUG・アウンサンスーチー氏を含めたすべて。
しかし、軍は頑なにこの要求を拒否し続けている。
国際社会もEUも日本も中国も、「ASEANを支援する」とASEAN頼みだが、進展がなく、ASEAN各国も 痺れを切らしはじめている。(ずっと傍観や軍支援の国もあるが…)
軍としても、国際社会のほぼ唯一の接点であるASEANからはそっぽを向かれたくないだろうけれど… さてどうなるか。
とりあえず、軍のスタンスが変わらない事は、この8ヶ月超を見ても明確。ASEANが月末に向けてどう動いてくるのか、気になるところ。


ミンアウンフライン総司令官が、ヤンゴンに出没

実際に、ヤンゴンに来たらしい。市民間では、「撮影するな」等 含めて総無視運動もあったようで、市民間ではかなり情報が少なく、静かに進んでいた模様。

一応 訪問した先としては、

・ピーランにできた 地下道のオープン式典に参加

 その数日後には、早速 通れないように軍が入り口を封じたそうです…
なんのための地下道なんだか…


・海岸警備隊の発足式典にも出席


ザガイン管区で 軍に指名された人物が村の役職を辞任

これは、先週から 引き続き の動き。ヤンゴン管区内でも起きていること。
軍の関係者と見られたくないから あえて名前を出しているような気もする。死にたくないから、の辞職なのか、

フランス上院、NUG承認を全会一致で採択…?


EU が 唯一国民の代表であるNUGを支持することを採決

EU 発表の PDF (こちらから)


国連でKyaw Moe Tun 氏が スピーチ

「すべての国が正しい側に立つことを願う」と。
ハイレベル会合での発言は、諸事情合って見送られたが、その後 ミャンマー代表として発言。現状維持ではあるが、今のところ、NUG側のKyaw Moe Tun氏が ミャンマー代表。軍側の人間は参加はもちろん、発言も許されてない。


日本政府がミャンマー軍が派遣した外交官 5人を承認していた、との報道。感情的には NO ながら、外交 を考えると、やむなしなのかもしれない…
日本大使館の人の新規赴任や、民間人の査証など、一定程度 行き来は続いている。国交を閉ざす事になるのは、かなり厳しい判断。
そう思えば、、、と複雑。


日本 の ODA に関する 工藤先生の論文

 とても 興味深い内容なので、関心がある方はぜひご覧くださいませ。
 とりわけ論文の冒頭の 88直後の表現にドキッとさせられる。
 ここ10年で日本が先陣を切って投資に踏み切り、国際機関のつなぎ融資など支援したおかげで、ミャンマーに世界から投資が集まる土台がつくられ、この 10年間のミャンマーの発展や民主化が進んだことは事実。
 必死に民主化を支援したのに、裏切られた格好となったのは日本や国際社会だとは思う。個人的には、日本がこの10年ミャンマーを支援さえしなければ、クーデターが起きなかった、というのはあまりに乱暴だと思う。
 ミャンマーの軍が 裏切ったのである。一方で、やはり課題もある。論文内にもある通り「半分の民主主義」の国への支援というリスクを、どこまで本当にリスクとして捉えられていたのか? 儲かるから、を理由に、人権侵害リスクを無視して突っ走ってしまった側面は本当にないのか? とは疑問に思う。(これは私自身にも言えることだが)
 その意味で、軍が力を握ったままのミャンマーに対して、軍事クーデターのリスクもある中で(本当にこんな事が起こってしまうとは、予想できなかったのは事実だが…)、支援に踏み切った事は本当によかったのか?
 結果として、債務免除含めて、かなりの国民の税金を投じたことになるが、ODA供与の妥当性に対する検証は必要ではないか? といった事が書かれているが、本当にそう思う。
 現在、新規ODAは実質停止。既存ODAは継続中。という状況。せめてODAの既存案件は、全件 再度 人権デューデリジェンスを行った上で、本当に問題のない案件については「軍を利することはないので、継続的に実施します」と、正面から言えばよいのではないか、などと思う。
 現地で、本当にミャンマーのため、ミャンマーの人のために懸命に働いている人がいることを知っているので、そんな事を思ったりする。


個人所得税、減税。会計年度も、本当に変更…?


ミャンマー特番が 新聞協会賞を受賞

記事をご覧ください。調査報道として ミャンマー番組が新聞協会賞をとったようです。

おまけ:国営紙に3本指の写真が…


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