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いい人生いい伴侶

 二十歳を過ぎた孫娘が訪ねてきて久し振りに夕げを囲んだ。
ひとしきりZ世代のハチャメチャ話で盛り上がり、
顔が変形するんじゃないかと心配になるくらい大笑いした。
話題が落ち着いた頃、お爺ちゃんらしく人生行路の話で
伴侶を選ぶことの大事さを話した。
伴侶候補者の評価方法を多少独善的だが並べてみた。
 
・彼氏と二人で食事したときに、本当においしく感じられたら、マル。
・電車に乗るとき彼氏が空いた席を探し回らなければ、マル。
・老人や子連れの母親に席を譲ったら、マル。
・幼い子供とすれ違ったとき優しい眼差しを向けていたら、マル。
・横断歩道で待つとき彼氏が先に立ち、守る姿勢があったら、マル。
・落語の「芝浜」と「子はかすがい」を聴かせて涙したら、マル。
・頭痛がすると仮病を使ってみて、家まで送ろうと言ったら、マル。
・運転がやさしく、安心して居眠りできたら、マル。
 
 始めはニヤニヤしたり、ムリムリと手を振って茶化したりしていたが
段々真顔になりうんうんと納得してくれたように見えた。
話がひと通り済んだとき、我々夫婦を眺めながら、声を低く変えて
「ババ、ジジはどうだったの?」とからかうように言った。

 そーら来た、狙い通りの展開だ。
そこで「もちろん満点だよなあ」と家内に目を向けると
「まあーね」と横目でこちらを見た。
孫娘は手を叩いて大笑いしている。
 
 

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