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お金ってバーチャルか

日比谷公園をそぞろ歩いていたら、径が1メートル以上もあるような
ドーナッツ状の石が葉っぱに覆われて置かれているのに気付いた。

説明看板にはミクロネシア連邦のグアム島の南西にあるヤップ島から
持って来た石の貨幣と書いてある。
そう言えば、小学生の頃、社会の教科書に板状の石の穴に丸太を通して
腰蓑をつけた南国風の男たちが前後ろで担ぐイラストがあって、
これはお金だと説明されていた。
こんな運び難い物を財布に入れて買い物出来るわけないし、
おかしいと疑っていたことを思い出した。

ヤップの人はお祝い事や何かのお礼やお詫び事があると
石を削って磨いて仕上げて、贈り先に運んだ。
きっと、恭しく口上でもしたかも知れない。
受け取る方も酒や肴を振る舞い、歌と踊りで盛り上げたのだろう。
売ったり買ったりの道具としてお金を考えるが、
ヤップの人たちにとっては心を込めた証しだったのではないか。
石はその意味の重さに釣り合う大きさに作ったようで
小さい物で6センチから大きい物になると3メートルというから
受け取る側も置き場を用意しなければならず、大変なことになったろう。
庭に沢山この丸い石が並んだ家は、きっと村人たちから沢山の感謝をされて
名家の誉れに浴したことだろう。
お金の役割は価値の尺度、価値の保存、交換の手段ということで、
大きな石は交換には不向きだから貨幣というにはやっぱり無理がある。

それにしても1万円札の製造原価は20円にも満たないそうで、
便利だけどなにか誤魔化されている感じが残る。
お金はバーチャルというが言い得て妙だ。

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