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30年も前のECO提案スピーチ。    改善しているのか?

「エコ」という言葉は、これを聞かない日はないくらいに、
私たちの日常の生活語になっています。
ECOはギリシャ語の「家」を意味しています。
エコロジー・Eco-logyは、「家」のecoと「学問」の-logyが
合成されていて、そのまま訳すと「家の学問」となります。
地球全体を生命圏、即ち我々の地球は「家」なんだということになります。
因みに経済、Economyは「家の規則、家計」となり、経済全般を意味する言葉になりました。

 さて、ECOを名乗る組織があります。
Environmental Children's Organization、訳して
「環境問題を考える子供たちの組織」です。
カナダのバンクーバーで生まれた9歳の少女が1988年に立ち上げた組織です。そして1992年リオデジャネーロ(ブラジル)で開催された
環境サミットでスピーチを行いました。
 
子どもの視点から環境問題を訴え、満場の拍手喝采を博しました。
「世界を5分間沈黙させた少女」として世界中で有名になり、
この素晴らしいスピーチは伝説になりました。
この時、まだあどけなさの残る12歳の少女でした。
 
 その少女の名は、セヴァン カリス スズキ(Severn Cullis Suzuki)
です。父親は、日系の高名な遺伝学者で環境問題の活動家です。
セヴァンは、その後一貫して環境改善の活動を続けてきました。
現在は、43歳の2児の母になっています。
 
スピーチは次のような内容でした。
 
まずこのスピーチの目的が語られました。
・ 未来に生きる子供たちのため
・ 世界中で飢えに苦しんでいる子供たちのため
・ 死に絶えてゆく無数の動物たちのため
 
次に、当時話題の環境問題の一つを指摘しました。
・ フロンの大量使用により、オゾン層に穴が空いて
  太陽のエネルギーの紫外線が人間だけでなく
  あらゆる生物のDNA損傷の脅威になっている。
 
大人たちの利益追求の経済活動の結果、起きてしまった環境破壊
について、大人たちは、解決策をもっているのかと厳しく追及しました。
 ・オゾンの穴を塞ぐことはできるのか?
・砂漠化してしまった森を元に戻すことはできるのか?
・死んでしまった川を生き返らせて、元のように鮭を呼び戻せるのか?
 
このスピーチが行われてから30年が経って、その間人類の英知が利いて
解決できた問題は少なくありません。
しかし、直し方(解決策)も持たず、ただ利益優先で汚染や害悪を    まき散らす癖は未だ、改まっていない分野もあります。
例えば、原子力発電の放射性廃棄物の処理の方法も確立していないのに
更に新設、再稼働に動いていること、また遺伝子組み換えの農産物が
将来どのような異変が起きるか十分に検証されていないのに市場化を
先行させていることなどです。

 次に、先進国の消費財の無駄遣いについて指摘しました。
「北の豊かな国々は、有り余るモノを無駄に使って捨てる浪費生活が、
当たり前になってしまっている。そして十分に持っているのに、
南の貧しい持たない国の人たちに分かち合おうとはしない」と語ります。

この地球上で、たまたま生まれた所によって全く違った生活があるという格差の問題を語ります。
裕福な国か、貧困の国か、戦火が絶えず命の危険がある国か、子供の生活の違い過ぎるこの不条理を指摘しました。

 次のテーマは大事な点でした。
学校でも幼稚園でも家庭でも、大人たちは子供にいつも次のように教えます。
・誰とも仲良くしなさい。
・暴力ではなく話し合いで解決しなさい。
・他人を尊重しなさい。
・散らかしたら自分で片付けなさい。
・植物や動物をむやみに傷つけないようにしなさい。
・独り占めしないで、仲良く分け合いなさい。
そう言う大人はどうして守れないのですか?

このスピーチを聞いている大人たちはさぞかし耳が痛い思いをしたに
違いありません。
 
 最後に、
「皆さん大人がやっていることのために、私たち子供は泣いています。       皆さんはいつも私たちを愛していると言います。                その言葉が本当なら、どうか本当だということを行動で示してください。     最後まで、お話しを聴いてくれてありがとうございました」

と6分間の渾身のスピーチを締めくくりました。

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