生ハムメロン春捲
果房 メロンとロマンがメロンを使ったお家で楽しめるレシピを発信する企画、「メロンのレシピノート」。
第10回は果房 メロンとロマンが位置する東京・神楽坂にある店舗とのコラボレーション企画です。
日本の四季を大切にした創作中華料理で人々を魅了する「ENGINE」さまが一緒にレシピを考えてくださりました!
今回、レシピを一緒に考えてくださったのは、
オーナーシェフの松下 和昌(まつした かずまさ)さん。創作中華との出会いのお話なども聞きながら、レシピを教えていただきましょう。
➖何度かお店にお邪魔させていただいてますが、毎回お料理に感激しております!店内はいつも混み合っていて、松下さんやスタッフの方々が常連のお客さまと気さくに会話されている姿も印象的でした。
お店は2015年にオープンしまして、今年で6年目を迎えました。その前は様々な中華のお店で働いていましたね。
➖中華、和食、イタリアン、フレンチ…さまざまなジャンルのレストランがあると思いますが、中華を選ばれたのはどのような経緯があったのでしょうか?
高校の時、自分の卒業後の進路を決めなきゃいけないって時期に、「大人になったら、どんな人生が幸せか」ということを友達と喋ってたんですね。その時に浮かんだのが、「1階がレストランで、2階が自宅。子どもたちが帰ってきたら『ただいまー!』と言いながら、お店の中の階段を上がって行って…」というイメージでした。パッと頭の中に浮かんだイメージにしては、そんな人生になったらいいな、と心から思えるほどに、自分の中でしっくりきました。
自分の地元は埼玉なのですが、高校生の頃にはイタリアンのお店などはありませんでした。一軒家でやっているお店といえば、中華料理店だけ。それで中華料理の道に進もう!と思ったんです。
この話を聞いた人はみんな、「え、そういう理由なの!?」と驚かれるんですが(笑)。
自分の場合、周りに料理人がいたわけでもなく、「中華料理が好きで」とか、「料理をやっていたから」と言うわけでもなく、中華が身近だったから中華料理人になることを決めた。それだけの理由だったんです。たまたま自分の周りに中華料理店があったということも何かの縁だったのかもしれませんね。
➖身近に料理人がいるわけでもなく、ご自身もほとんど料理をやったことがない状態で、料理の道に進むのは不安はなかったのでしょうか?
無いですよ、全然。だって、一緒に専門学校で学ぶ人たちは、これから料理人になるわけですし。スタートに立ってるという点はみな同じですから。自分で料理の道に進むと決めたので、あとはやるだけだ!と思っていて、全く迷いはありませんでした。
➖料理人になってからは、どのような毎日でしたか?
専門学校を卒業して、最初はデパートのレストランフロアにあるお店に勤めていました。駅から近いこともあり、ものすごく忙しかったです。最初は30-40kgくらいのエビを洗って、衣をつけたり、大量のピーマンを青椒肉絲用にひたすら細く切ったり。主に食材の下処理をしていました。その頃は家に帰ったら、何もする気が起きなくて、すぐ寝てしまうほどに毎日ヘトヘトでした。
ヘトヘトになる程忙しい一方で、色々な仕事をやらせてもらうこともできました。忙しいおかげで、仕事を要領よくスピーディにこなすということも身についたと思います。僕は1年経たないうちにお店で調理もさせてもらいましたね。
そんなこんなで料理人になってから10年くらい経った頃、ちょっと料理の仕事に「飽き」を感じ始めてしまったんですね。そこで、「もし、30歳までに料理長になれなかったら、料理の道はやめよう」と決めました。そしたら、29歳の時に、東京の赤坂にあるお店が声をかけてくれて、そのお店の料理長になりました。
➖ちょうどのタイミングで声をかけてくださったなんて、ご縁があったんですね。
そうなんです。ちなみに店名「ENGINE(エンジン)」の名前には人との縁を大切にする、という思いを込めています。あとは、常に進化していきたいという思いを込め、人類への進化途中である「猿人」ともかけています。
ー今回もご縁でメロンレシピを一緒に考えていただくことができ、嬉しく思います!今回考えてくださったメニューを教えてください。
はい、一つ目は、「生ハムメロン春捲」です。
お店の定番メニューに、春捲があるんですけど、春捲は皮で巻くことによって、中に入れる食材の香りを封じ込めることができます。どんな食材と合わせても美味しくなる、大きな可能性を秘めたメニューだと思っています。香りのいいメロンには春捲がぴったりだと言うことで考えました。
➖ENGINEさんで使用している春捲の皮は丸いんですね!
実際に巻いている様子。
春捲は四角い皮が多いと思うのですが、丸型の方が、巻いた時にひだが少なくなるので綺麗に巻けるんですよね。なので、僕のお店は丸型を使っていますが、もちろん四角い皮で作っていただいても大丈夫です。
➖メロンは青肉を使っていますね。
こちらのレシピには青肉メロンを使うのがおすすめです。青肉メロンの方が、赤肉に比べて熟した果肉の透明感が強く、蜜のような感じがあるので、春捲のサクサクとした食感とのコントラストを楽しんでいただけます。また、春巻きをカットした際の生ハムの色とメロンの爽やかな青い色のコントラストも美しくなります。
↑揚げたての断面。とても美味しそう…!
➖このレシピをつくる際、気をつけることはありますか?
まず、巻く時ですが、メロンの果汁で春捲の皮が破れないよう、先に生ハムでメロンをしっかり巻いて水分を閉じ込めてください。春捲の皮に水分がつかないようにすることが、綺麗に揚げるポイントです。
➖そうすれば、水分の多いメロンでもジューシーに揚げることができるのですね!メロンの揚げ物レシピは初めて見ました。
最初はメロンと生ハムだけを春捲の皮で包んで揚げたのですが、メロンの甘みだけが際立って、デザートのような味わいでした。これはこれで美味しかったのですが、折角ならメロンにはあまりない、おつまみメニューに仕上げたいと思ったので、春捲の中にチーズもいれました。中でも塩分も少しありつつ甘みも感じるマスカルポーネチーズを選んだので、メロンの甘みも感じられて、さらにおつまみとしても楽しめる味わいになっています。
また、高い温度で揚げることで、具材の中心にあるメロンまで火が通りすぎて風味が飛ぶこともなく、メロンのジューシーな香りもしっかりと残しました。揚げたては中がとても熱くなるので気をつけて召し上がってくださいね。
ワインのおつまみにもとても合うのでぜひ合わせてみてくださいね。
ENGINE・松下さまが教えてくださったレシピ:
生ハムメロン春捲(2本分)
材料
メロン(青肉)…適量(8分の1程度)
生ハム…2枚
マスカルポーネチーズ…20g
春捲の皮…2枚
(のり用)小麦粉…適量
(のり用)水…適量
事前の準備:小麦粉と水を2:1の割合で混ぜ、春捲の皮を接着する「のり」を作っておく。
つくりかた:
1.メロンをスティック状にカットする。(5cmほどの長さを12本程度)
2.春捲の皮に生ハム1枚をのせ、生ハムの上にマスカルポーネチーズを10gほど塗る。
3.2.に1.のメロンをのせる。先に生ハムでメロン全体を密封するように巻く。こうするとメロンの果汁で春巻の皮が破れるのを防ぐことができる。
4.3.をさらに春捲の皮で巻く。このとき、春捲の皮がメロンの果汁で破れないように、メロンと春捲の皮が接しないように気をつける。
5.170℃の油で、きつね色になるまで揚げる。
6.皮がきつね色になったら、クッキングペーパーで油を切り、斜めにカットして、皿に盛り付け、完成。
※揚げたては熱いので気をつけていただきましょう!
レシピ考案にご協力くださったお店:
エンジン (ENGINE)
東京都新宿区神楽坂5-43-2 ROJI神楽坂 1F
tel 03-6265-0336
[月・水・金・土]
11:30~14:30(L.O.13:30) 18:00~23:00(L.O.22:00)
[火・木]
18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日
日曜・祝日・第3月曜
※新型コロナウイルスの影響で営業時間が変更となっております。
詳しくは店舗(03-6265-0336)にお問い合わせください。
text:
Mayuki Tsujihara
(果房 メロンとロマンのディレクターとして働きながら、ライターとして日本の島々や地域で働く方々に取材なども行なっております。好きなメロンはタカミメロン。)
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