#2 小説「スター」感想

「映像というフィールドで才能を発揮する青年二人が、己の価値観を社会から否定される」話である。厳密には「否定」ではないが。ジャンルは、「社会派」と括るべきなのか。テーマは「映像」、「インターネット」。

【良かった点】                            映像という切り口から、”現在の”インターネット情勢を具に描いている点。作中で描写されるYouTuberの中には実在のモデルを想像できるものもあり、炎上のネタも実際にあったものである。YouTubeをよく研究されている。そして、「時代」という言葉の使い方が巧みだった。「そういう時代ではなくなった」という旨の科白が多々あったのが印象的である。「現在」と「過去」の対比が描かれているのが、主人公二人は「現在」の人間であるにも関わらず、「過去」側の人間として描かれているのも面白い。ただ、この対立軸そのものがあまり意味のないものだと作品は教えてくれる。

【微妙な点】                             テーマの性質上、ある程度のインターネットに対する理解が求められる点。私はいわゆるZ世代で、YouTubeも見るし映画館にも足を運ぶ方である。しかし、そうではない人だと理解が難しいだろう。また、千紗という登場人物を深掘りしたら面白いのではないだろうか。ラストにおける彼女と尚吾のやりとりが少し説教臭く感じてしまった。すごくメッセージ性の高い良いことを言っているのだが。

【満足度】80点

【雑記】この作品もメディアミックス展開するのだろうか。それこそ映画化など。ぜひ見てみたい。

#Z世代 #そういう時代ではないという決まり文句 #正解がない時代

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