1992年 SideA-7「泣いてないってば/裕木奈江」
秋元康作詞 筒美京平作曲 萩田光雄編曲
・「ウーマンドリーム」(フジテレビ系 1992/10/12~12/14)挿入歌
フジテレビ系月曜夜10時枠10月クールドラマ主題歌。月曜10時は関西テレビ製作のドラマ枠で、基本的に一話完結サスペンスドラマを放送していたのだが、前年1991年の10月にワンクールの連続ドラマ「ホテルウーマン」(沢口靖子主演、主題歌「ALONE」B’z)を放送。「ウーマンドリーム」はそれに次ぐ連続ドラマである。それも小林信彦の「極東セレナーデ」を原作とした一種の青春ドラマ。ポイントとなったのは裕木奈江の起用である。
裕木奈江は1990年の主演映画「曖・昧・Me」で注目され、一般には高倉健と共演したJRAのCMと「北の国から’92巣立ち」のタマコ役で有名になった。当時最も注目されていた若手女優で、これが連続ドラマ初主演。「ホテルウーマン」に引き続き音楽プロデュースをビーイングが担当し、主題歌にT-BOLANの「Bye For Now」、エンディングテーマに宇徳敬子&近藤房之助の「Good-by Morning」が起用されたほか、ドラマ内でビーイング・アーティストの曲がふんだんに使われたが、裕木奈江自身が歌ったこの挿入歌はビーイングの製作ではない。
裕木奈江演じる主人公の朝倉利奈は、劇中でスカウトされ「裕木奈江」という芸名でデビューする。そのデビュー曲がこの「泣いてないってば」なのである。そして物語に合わせて現実世界でも、裕木奈江の「泣いてないってば」が発売された。劇中でオールナイトニッポンのレギュラーが決まれば、現実世界でも「裕木奈江のオールナイトニッポン」が始まる。そして実際の活動の様子が撮影されてドラマに反映されるという仕掛けである。裕木奈江の音楽プロデュースは酒井正利が担当し、CDリリースもコンスタントに1995年くらいまで続いた。この時点での裕木奈江のキャリアは順風満帆といってよかった。芸能史に残る嵐のようなバッシングで彼女の運命が変わるのは1993年以降のことである。