祝福できない

【妊娠】というキーワードを目にしたり、報告を受けたりすると、どうにも動悸が止まらなくなる。
原因は、自分が妊娠から出産、子育ての過程に対してマイナスの印象を持っているからに他ならない。

大人と呼ばれる年代も半ばに差しかかって、ようやく心身の安定を得たところなのに、その平穏をぶち壊す存在をどうして己の身体から生み出さなければいけないのか。
【妊娠】という言葉に向き合おうとすると、そんな気持ちとともに、心がざわざわする。
日頃から体調不良に悩まされ、メンタルの不調に振り回され続け、薬をしばらく手放せない生活をしている身なので、自分がその立場になる予定は一切ない。
友人からの報告に対して、頭の理解が追いつかず、適当なスタンプで「おめでとう」と伝えるのが精いっぱいだった。
妊娠、出産に至るまでの工程が、まだあまりにもグロテスクに感じられる。

『妊娠カレンダー』
「子どもが生まれることの尊さ」を、どうにも祝福できない気持ちに寄り添ってくれるこの本が有り難い。
人に貸したきり、諸事情で戻ってこないことになってしまったので、買い戻そうかと思う。