2021年 年間ランキング (歌謡曲編)

ヒットチャートマニアとして、今年の年間ランキングを掲載する大仕事を終えこれですべて完了と思ったのですが、何か足りないと気づいて本稿を書き起こしています。というのも、もっとも歌謡曲・演歌を手厚く保護しているNHKでさえ紅白歌合戦から演歌勢を排除しようとしている今こそ、そのような大人向けポップスの、懐メロではない最新の動向を注視するべきだと思ったから。ビルボードジャパンの年間チャートはもちろん、オリコンの年間チャートでさえも把握することの困難なジャンルになってしまいましたが、実際、2021年も結構いい曲に私自身は出会ってこられたので、これまた独自のランキングになりますが、記録しておくべきだと感じました。

1位 桑田佳祐 / Soulコブラツイスト～魂の悶絶
12位 桑田佳祐 / SMILE～晴れ渡る空のように～
いにしえの民放各局の年末歌謡祭をパロディにしたMV、曲調も筒美京平作曲の「また逢う日まで」のような歌謡ポップス。桑田佳祐ほど、自由自在にロックから歌謡曲果ては演歌まで行き来できる方は現在は稀有ですね。

2位 小田和正 / こんど、君と
みんなのうた60周年で小田和正さんにオリジナル曲を書きおろしていただいているということで、こちらも紅白歌合戦への出演交渉を、しているのかどうなのか。

3位 森川美穂 / いつかは昔のことになる
今年「うたコン」に出演し「ふしぎの海のナディア」主題歌だった「Blue Water」をまったく衰えない歌唱力で披露。しかし彼女はまだ懐メロ歌手ではありません。最新曲にもスポットを当てていただきたいものです。

4位 真田ナオキ / 恵比寿
9位 真田ナオキ / 本気で惚れた

昭和のニックニューサを思い出すようなノックアウトボイスの持ち主、真田ナオキ。昨年の日本レコード大賞で最優秀新人賞を獲得(レコード会社を移籍すると新人賞の対象になれるというのはかなり強引ですが、この際そこには目を瞑りましょう)。今年も吉幾三さんから素敵な楽曲をいただき、若手演歌の旗手としての実績を残していました。

5位 野口五郎＆岩崎宏美 / 好きだなんて言えなかった
年末ぎりぎりになって飛び出した歌謡界のビッグデュエット。オリコンウィークリー最高41位。こちらもNHKで特番は組まれたようですが紅白は遠かった…。まさかの第二FM802ことFM COCOLOでもプロモーションされていました。COCOLOがターゲットにしている年齢層には還暦以上も含まれるのかと驚きましたが、それほどにめちゃくちゃいい曲ですよ。

6位 松田聖子 / 青い珊瑚礁 ～Blue Lagoon～
実娘を失っても記者会見に応じてしまう姿に、良くも悪くも、これが昭和のスターなのかと感じてしまいました。SAYAKAさんだけでなくこの方もスターで居続けるためにどれだけ重いものを背負っているのか想像ができません。(田原俊彦さんや、昨年ジャニーズ事務所を退所した少年隊の二人、また前述の野口五郎さん、岩崎宏美さんからも同じようなものを感じます。)

7位 石川さゆり / なでしこで、候う
紅白歌合戦では例の2曲を交互に披露することしか許されないようですが、新曲も聴きたいですよ。

8位 工藤静香 / 島より
中島みゆきさんと工藤静香さんとの関係は今なお続いているようで、こちらはNHKラジオ深夜便のために書かれた新曲のようです。これぞ大人のための歌謡曲としかカテゴライズできない世界。おニャン子クラブ在籍当時からは想像できない境地に、現役歌手として到達したのですね。

10位 佐野元春 / 街空ハ高ク晴レテ
以前にnoteで触れた時にもそうでしたが、YouTubeを参照することはできないのですね。代わりに、2019年の自主ランキングで年間チャート入りしていた「愛が分母」の動画を貼っておきます。この方もまったくブレないですね、素晴らしいです。

15位 原田知世 / ヴァイオレット
薬師丸ひろ子さんを紅白に出演させるならこの方も、といつも思います。メインの肩書はデビュー当時からずっと女優なのでしょうが、歌手としても現役として扱っていただきたいです。

16位 南佳孝・杉山清貴 / 海へ行こうか
NHKラジオ深夜便のために書き下ろされた、シティポップ大御所のコラボレーション。

20位 望月琉叶 / チョメリズム
今年の日本レコード大賞で新人賞を受賞している演歌歌手であり、グラビアアイドルである、もちづきるか。城之内早苗、長山洋子のようにアイドルとしての旬を過ぎた時に真の演歌歌手として大成するのかどうかに期待したいです。

Spotifyプレイリストはこちら。現在再生不可になっている「海へ行こうか」を最後に移動させて、代わりに次点の黒猫同盟(小泉今日子)を入れています。大人ポップスの世界もいいですよ。