めいちゃん「ラナ」対策でBillboard Japanはルビコン河を渡るか

ビルボードジャパンからとあるサキヨミ記事が投稿されたことでまた、ビルボードご意見番の方々が大激怒の大騒ぎですよっと。
記事はこれ。

めいちゃんという「歌い手」の最新曲「ラナ」が、ほぼLINE MUSICの再生回数キャンペーンに支配された再生回数でストリーミング首位を爆走中だとのこと(Spotify, Apple musicなどでは無風状態)。Billboard Japanといえばつい最近INI対策でLINE MUSICやAWAの再生回数の価値を下方修正する措置を取ったばかり。それなのにわけのわからないヤツに速攻で対策を無効化されてんじゃねーよとご意見番が激怒しているというのが、今起きていること。

再生回数に係数をかけるのはGfKの仕事ではないと思われるので(GfKがそんなことしてたらGfKの信用が失墜するわな)、サキヨミ発表の470万再生という数値がそのままビルボード仕様の再生回数となる訳ではないだろうけれど、危機感を募らせてしまうだけの勢いはあるのだろう。

今回のケースがこれまでと異なっているのは、再生回数キャンペーンに加えて別の煽り(CD全盛期でいうところのASAYANとかウリナリのようなランキング連動イベント)が入っていること。そしてユニバーサルミュージックが大人の事情で「あの音楽チャートで1位を取ったら」としか言及できなかった部分の音楽チャートが、めいちゃん本人アカウントによると「オリコン」らしいこと。もしかしたらこれが最もご意見番の逆鱗に触れたのかもしれない。

「オリコン1位目指しましょう」ツイートのエビデンスがこちら。

「ラナ」はフィジカルシングルではなく配信シングルで、しかもストリーミングをメインにキャンペーンを張っているのに、目指すチャートがオリコン。現実的に考えて、オリコンの合算シングルチャートでもっとも1位になれる確率が高いのはフィジカル強者のENPHYPENなのだけれど、ストリーミングチャートなら、1位達成の可能性はありそう。
そのあたり(オリコンのどのチャートなのか)をうやむやにした状態で煽っているのだけど、ニコ動YouTube世代に影響力のある彼が目立つことによって、この世代にとってのオリコンの価値が更新され、「今のオリコンはCDだけじゃない、サブスクも加算されるんだよ」とアップデートされることは非常に大きな意味がある。それも、Spotifyが加算されるようになったタイミングでこのキャンペーンが張られることは非常にインパクトが大きい(ビルボードジャパン派にとっては脅威なのでしょう)。

もし、ビルボードジャパンがめいちゃんが1位になるようなランキングは「ぼくのかんがえたさいきょうのらんきんぐではない」として、ご意見番の主張に押されるようにLINE MUSICの強制退場措置に踏み切ったとしたら、ビルボードHOT100はキャンペーンに汚染されない安定したものにはなるでしょうが、性質がかつての有線放送チャートに近くなる(ご意見番がそれを強く望んでいるのだからそれでいいのかもしれないですが)のと、このような特定モデレータにとって気に入らない尖った成分の排除された検閲済みチャートは大手メディア(今回の「ラナ」はフジテレビのアニメのタイアップもついているようです)からも敬遠されるかもしれないですね。知らんけど。

かつて、オリコンが着うたフルの売り上げをシングルチャートに加算しなかったことを根に持ったような人がビルボードジャパンを支持しているかと思うのですが、価値観は常にアップデートされ続けるし、若年層の中での流行はさらに過激に変動するので、たとえば、周りの誰もがボカロしか聴いてないのにオリコンにもビルボードにも全然載ってないね!と思われているかもしれない。今回の「歌い手」だって、若年層には絶大な人気があるのにずっとチャートの蚊帳の外に置かれていただけなのかもしれない。理解できないから排除、だとこのあたりの新世代のムーブメントがすべて拾われないことになる。

オリコンは「ありのまま数値化する」ポリシーだからたぶん今まで通りの平常運転(LINE MUSICの再生回数に対しても改ざんしない)だろうけど、ビルボードはどうするんだろうね。


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