ヘテロの私がNetflixオリジナル『クィア・アイ』で涙が止まらなかった話-1

■私がこの話をするわけ

本題に入る前に、どうして私が今日この話をしようと思ったのか、先に経緯を記しておきたい。

私は今日人生初めての<コーチング>なるものを受けてみて、その準備として「憧れの人を5人上げる」という課題をこなした。
実は、言えばきりがないくらい、私には憧れの人がいる。モデル、ファッションデザイナー、歴史上の人物、はたまた家族に友人…、でも改めて5人に絞るとなるとなかなかに難しくて小一時間悩んでしまった。

結局、私的厳選に厳選を重ねて、冨永愛さん、アンミカさん、ココ・シャネル、野村萬斎さん、そして最後に「タン・フランス」さんの5人になった。

さて、ここで一つ質問したい。あなたは「タン・フランス」さんを知っているだろうか。(ネトフリ会員の人はひょっとすると知っているかも)

と、まあ仰々しく質問してみたけれど、要を言えば、私が自分の憧れの人ベスト5に入る彼のことについて語りたくなった、というだけの話でしかない(笑)。

というわけで、今回私は「タン・フランス」さんと、彼の番組を見た経験をもとに少しばかり「書いて」みようと思う。

■タン・フランスー『クィア・アイ』の人

そもそも彼がどんな人か、ということを話さないと話が進まない。

彼はイスラム系のイギリス人でファッションデザイナーだ。
そして彼には夫がいる。

経歴でいえば、ZARAやCHANELで学んだこともあるファッションのプロ。『クィア・アイ』のキャストにInstagram経由で起用されて有名になった人で、同じNetflixオリジナル番組の『ネクストインファッション』という番組のキャストにも起用されている。(この『ネクストインファッション』についても語りたいことだらけなわけだけど、それはまたの機会に)

いわば彼は『クィア・アイ』の人だと思ってもらえばよいと思う。

ついでに、ファッション専門の彼のほかにも『クィア・アイ』には4人のキャストがいて、美容、インテリアデザイン、料理、カルチャーとそれぞれの分野のプロとして活躍するゲイ5人組、通称ファブ5が登場する。
この5人が悩みを抱える人を外面・内面様々な角度からリノベーションするというのが『クィア・アイ』で、人間版ビフォーアフター的な感じだ。

それで、だ。私は何も人間版ビフォーアフターを楽しみたくてこの番組を見ているわけではない。私はこのファブ5、それもとくに「タン・フランス」、彼のことがすごく好きなのだ。

■ヘテロの私が「タン・フランス」に憧れるわけ

私と彼の共通点、「ファッション」が好きだということ。
といっても彼と同じように好きかというと恐らく大分違っていると思う。

私は「ファッション」を仕事にしていないし、ファッションで劇的に人生を変えた経験もない。自分のスタイルだって時折嫌になるくらいには良いとは思っていない。
しいて言うなら「装う」ことに対してこだわりが強めであるくらいだ。

私にとって「ファッション」は(と書いて実はちょっと気恥ずかしい)自分をいい感じにカスタマイズして武装するようなイメージで。

ありのままの自分もそれはそれで素敵と思うけれど、ちょっと背筋が伸びるような、つい微笑みを携えたくなるような、そういう「装い」が好き。

彼は、私からするとその究極形だと思えるのだ。
もちろん、私と彼では顔だちも、スタイルも、まとっている雰囲気すら違うから、そのまま参考にしてトレースできるかといわれたら全くできないわけだけど(笑)それでも彼の「装い」で私は昨日よりも勇気が持てたりする。

人間外見じゃないなんていう言葉もある一方で、どうしたって魅力的な中見に魅力的な外見だったら、相乗効果で何倍も素敵に見えるってことを、なんだろうか脳裏に叩きつけられるみたいな、そういう衝撃を食らわせられる「装い」ってもうすっごい。

これを読んでいるあなたが同じように思うかどうかはわからないけれど、興味があったらぜひ番組を見てみてほしいし、彼のインスタなんかも覗いてみてほしい。(どう感じるかは人それぞれだからあえてどんなファッションかは書かないでおくね)

■『クィア・アイ』で涙が止まらなかったわけ

先に、私は「人間版ビフォーアフター」が見たいわけではないといった。
じゃあ何を見て何を感じて涙が止まらなくなったの、って話だと思う。

答えを簡単に言うなら『彼自身が透けて見えた』からだ。

また仰々しくなってしまった。どうも私が文章を書くと固くなってしまってなんだかなあという気持ちになる。でも、あなたもあるんじゃないだろうか。人の言動から相手の気持ちや気遣いが『透けて見える』こと。
良いケースばかりじゃないと思うけどね。誰かしらある経験だとは思う。

それで、私が『彼自身が透けて見えた』のを伝えたいんだけれど、先に謝っておきたい。ちょっとわかりにくかったらごめんなさい(笑)

本題に入ろう。

私が彼に感じたことは、彼自身のアイデンティティやバックボーンはそれだけでもものすごいパワーがあるということ。
これは彼がマイノリティだから言ってるわけではない。

言葉の端々から、彼の目線から伝わる「やさしさ」と前を向く「強さ」。
人に「やさしさ」を与えられる彼は、その分辛い経験をしてきた人なのだと思う。

これまでの彼の生きてきた人生は、幸せなことばかりじゃなかっただろうけど、不条理に疑問をもって、怒って、次第に諦めることもあって…その経験が彼の強さややさしさに、一挙手一投足にあらわれているんだと思ったらもう、たまらなくて、気づいたらどうにも涙が止まらなくなっていた。

彼について何も深く知らないのに、字幕がなければ彼の言っていることもわからないのに、それより何より心が震えた。


と、こんな感じで今回私は「タン・フランス」さんと、彼の番組を見た経験をもとに少しばかり「書いて」みた。

あの番組でそんな風に感じる人間もいるもんだな、くらいに思ってもらえるとすごく嬉しい。また、他にも話したいことがあるので気が向けば文字にしようと思う。

ただやさしい人、じゃなくて「強く」て「やさしい」人になりたい。

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