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ゲームのトレーニング方法

VRCのコミュニティの若い子から「スト6のトレーニングモードが活用出来てる感じがしないんだけど、どうやってます?」と聞かれ、「お前の方が圧倒的にスト6上手いのに俺に聞くの?」と言ったものの、なんかX(旧Twitter)でも見た話だなと思ったので私見を残しておく。


そもそも「トレーニングの仕方」とは

「ゲームのトレーニング」でピンと来る人は世間的にはほとんどおらず、何を無駄な事をやってるんだとかよく言われる。

そう言ってくる理由も何となく分かる。世間的に「ゲームのトレーニング」という行為は「あくなき反復練習」だと勘違いされているせいだ。

ではトレーニングが絡む代表格であるフィジカルスポーツ
そして世間的に理解しやすいであろう野球あたりに絞って考えると、走り込み、キャッチボール、ノック、ティーバッティングあたりが「あくなき反復練習」にあたると考えている。

もちろんこの「あくなき反復練習」は全くの無駄なわけではないが、実際には最終的に実戦でどう活かすかを想定しない練習というのは効果効能は薄くなる。

ではフィジカルスポーツは最終的にどういったトレーニングに行き着いているかというと、「動画によるチェック」と「目標の明確化」と「効率的なトレーニング内容の構築」である。

「動画のチェック」が無いと全てが始まらない。


動画は第何者視点か?

例えば1vs1のスポーツであればこの構図は非常に分かりやすい。

自分の視点が第1者視点、相手の視点が第2者視点、そして更に外からの視点が第3者視点である。
(1者やら2者やらの単語は本来存在しないが、ニュアンスは分かるだろうからこう書かせてもらう)

つまり動画は第3者視点でしかないため、第1者および2者からはどう見えているか分からない。

そのため、第3者視点の記録媒体(+データ)と第1者および第2者へのヒアリングを紐付けて効果を検証し、目標の明確化を進めていく。

自分自身の第1者感覚が寸分の狂いが無いのであれば、一度第2者にヒアリングして理屈を構築してしまえば第1者視点とセルフで第3者視点を用意すれば修正し続ける事が可能である。

が、恐らくそれが出来るのは一握りの天才のみである。


では例えば5vs5のスポーツであればどうなるか。

自分の視点と相手の視点の2視点だけではなく、敵味方合計で10視点+記録媒体の11視点が存在する事になる。

仮に11vs11のサッカーだと、最低で23視点だ。もう自分だけの第1視点で効率的なトレーニングを進めるという行為は不可能に近い。
(実際は密接に関係する視点以外はかなり切り捨てるだろうけども)


ではこの理屈を例えばストリートファイター6に当てはめるとどうか。

なんと第1者視点も第2者視点も第3者視点も見えている景色は理論上は同じである。(実際は試合中に見えてるそれぞれの景色は異なるが)

1vs1であっても、視点が多少異なるゲームもあるし、カードゲームのように相手の視点が全くのブラインドで進むゲームもあるが、2D対戦格闘ゲームにおいてはほぼ全て記録媒体(第3者視点)で第1者および第2者視点双方の景色を得ることが出来る。

つまり、それらを基に検討する事で目標を明確化する事が可能である。


動画の見かた

目標を明確化するための動画には見かたがある。

記録媒体から第1者視点と第2者視点をトレースするのだ。

「第1者視点のトレース」が一番簡単である。
自分の動画中のキャラを自分で動かす感覚で見るのだ。

一番分かりやすい例が、コインの入っていないCPUが操作しているゲームを子供がガチャガチャして動かしている気分になるアレだ。

自分の動画内の動きとトレースして操作している自分でズレがあれば、それは改善点の一つとなる。

また、この第1者視点のトレースを同じキャラ使いの上級者に適用出来るようになると、更に多くの改善点の発見が出来るようになる。

そして、逆に動画中の相手キャラに対して「第2者視点のトレース」が出来るようになると、自分の現在の戦術の有効性・妥当性や改善点を発見出来るようになる。

改善点が発見出来れば、それを基に「目標の明確化」を行うのだ。


何故スト6勢がトレーニングモードを活用出来てないと感じるかは、恐らくシビアなコンボ練習といった「あくなき反復練習」に該当する項目が無く、世間一般的な「トレーニング」がスト6には必要無いからである。

目標の明確化が出来るようになると、はじめてトレーニングモードが活躍し始める。


格闘ゲームのコーチングの難しさ

フィジカルスポーツは、第2者視点を第1者視点が知る事は現在の所ほとんど不可能なため、フィードバックのためにもほとんどの場面でコーチの助力が不可欠である。(もちろんメンタルサポートの面も大きい)

また、ゲームの世界でもFPSやMOBAで何故コーチが確立されてるかは、実際に10以上の視点が存在するゲームにおいてプレイヤー個人が全ての解析をする事は困難と想定されるからだと推測している。

一方で格闘ゲームはこれまでコーチングの例があまり無かった。
近年でわずかに例が増えてきたが、それは格闘ゲームが一人で十分なトレーニングが出来る環境が整えられてきたからに他ならないと推測している。

では格闘ゲームにコーチは必要ないのかと言えばそうでも無い。
結局はどれだけの数の動画を"正しく"見て、どれだけの数の改善点を挙げられるかという話になってくるので、当然プロゲーマー市場が拡がれば専門職として認知されていくと思われる

調度この文章を書いてる中で、コーチングに関する議論が巻き起こっているのを観測しているが、配信中にコメントであーだこーだ言うのは、いかなる金言であろうがアドバイスでもコーチングでもなんでもない一括りの「ヤジ」でしかない。

本当に必要なのは一緒に動画を見ながらディスカッションをする事だ。

そこにプレイヤーが気付いていないならば、最初に言うべきは「リプレイ見よう」だ。その他は何も効果は無い。

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