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僕の私のコミックマーケット96一般参加日記(中編)


前編はこちら

本来は今回の記事で終わらせるつもりだったが、書いていて予想以上に文章が伸びてしまい、前、中、後編の三部作に分けることになった。ご了承いただけると幸いだ。

8月12日 10時

コミックマーケット4日目開場とほぼ同時に国際展示場駅に到着した僕は、駅隣に最近出来たセブンイレブンで本日3回目くらいの朝食をまったり取った後、ビッグサイト前の広場へと向かった。

どうせ始発から作られた待機列が全て溶けるまで、少なく見積もっても1時間以上かかるのだ。それを上から目線で見届け、隙を見てコスプレ広場に向かいコスプレイヤーを撮影し、人が少なくなったところで男性向けジャンルをゆっくりとぶらつけば良い。

完璧な計画。なんだめちゃくちゃ余裕じゃん。そう思っていた。

広場についた僕は最初のうちは運営の誘導に従いながら徐々にビッグサイトに吸い込まれる列を眺めながら、コミケに対するわくわくを感じて、twitter投稿用のビッグサイトの写真を撮ったりしていた。

と、ここで僕は自分の判断ミスに気付いてしまった。

あ。コスプレ広場ってこの列の奥やんけ。と。

並ばなきゃいけないやんけ。と。

気付いた後はもう大急ぎである。アブザンなどと呟いている場合ではない。コミケ運営の誘導に従って列の最後尾に並ぶのだ。

列の最後尾に並ぶためにビッグサイトの広場から東方面の道路へ出て、横断歩道を渡りビッグサイトの裏を渡り、グルッと回って…いや長いな!?

知っている人は知っていることだが、コミケ開催期間中は毎日数十万人という数の人間がビッグサイトを訪れる。そんな超入場者数による無用な混乱を避ける為に、開場から数時間は直接ビッグサイトには入らずに建物の周りを迂回して元の広場へ戻ってくるというコースを経由する必要があるのだ。

これを避けるために最初は並ばないという選択肢を取ろうとしていたのだが、もうこうなってしまっては腹を括るしかない。

お前のこの見積もり、盛大に間違ってるからな。

徒歩でおおよそ20分弱は歩いただろうか。丘のような橋のような場所で折り返し、ようやく列の最後尾に並ぶことが出来た。ただ、並ぶことは出来たといってもビッグサイトまではかなりの距離がある。ここから1時間はビッグサイトに入ることは出来ないだろう。

ただし、始発で並んだ経験もある身からすればたかだか1時間、余裕だろうと内心気楽に構えていた。こういう長蛇の列で並んで待つこと事態は嫌いではない。幸い空も晴れている。


8月12日 11時

雨が降っていた。しかも結構な量の雨が。

流石にこれは予想していなかった。汗を拭くように持ってきた白坂小梅のマフラータオルをほっかむりのように頭に被り、列が進むのをジッと待つ。

数分ごとにほんの少しだけ列が進み、またジッと待ち、その後またほんの少しだけ列が進み、ジッと待つ。この繰り返しだ。

列を整理している運営スタッフの方が大声で何かを叫んでいる。

「列を移動中は傘を閉じてください!後ろの人の目に刺さってしまうと、大変危険です!」

実はこの待機列、大量の人を管理する為か人同士の間隔がメチャクチャ短い。そんな中で傘を差しながら移動すると、傘の先が人の顔に当たってしまい危険である。スタッフの指示はごもっともである。

ただ、それでも列を見ると移動中も傘を差したままの人が見受けられた。まあこれだけ人がいれば、素直に従わない人もいるだろう。内心気分は業腹だが、こればかりはもうしょうがないだろう。

そう思いながら、ふと近くで傘を差してる人を見やった時、気付いてしまった。

あ、この人海外の方やん。

当然スタッフの方が叫んでいるのは日本語である。

日本語わかってないだけやこれ…。

このレベルの規模のイベントになると、こういった問題が起きるのだなと変なところで感心してしまった。

かといって、基本ボランティアの有志により構成されているコミケスタッフに海外の方の対応まで求めるのも酷というものだろう。こういったところの塩梅もまた難しいところだ。

そんな多国籍のサラダボウル特有のすれ違いを肌で経験しつつ橋を降りると、三角の建物、TFTホールの横に到着した。ここまでくるとビッグサイト広場まであと少しだ。気付けば雨もあがっている。

と、ここでまさかのイベント発生。

HALOシリーズのマスターチーフがTFTホールの上から待機列に向けて手を振ってくれていたのだ。

湿気やら夏の暑さやらで精神的、肉体的に参ってきた人もいたことだろう。そんな人にとって癒しとも呼べる、実にコミケらしい素晴らしいイベントであった。手を振ってくれたマスターチーフには改めて御礼を言いたい。

ちなみにコミケとは別の建物なのに、なんでレイヤーさんが?と思っていたのだが、どうもコミケ開催期間と併行して別のコスプレイベントがやっているようで、そこの参加者さんだったようだ。

となコスって名前は聞いたことがあったので、このイベントのことだったのかと納得した。先のマスターチーフのコスプレイヤーさんのアカウントによると、どうもこのイベントで賞をいただいたようだ。


8月12日 11時30分

そんなこんなでやっとビッグサイト前の広場に到着。

ここまでくれば入場まで後はスマートだ。

日光を浴び堂々と佇むビッグサイトを見上げながら、そこへ続く長い階段をゆっくりと一段ずつ上っていく。一段踏みしめるごとに、コミケに対する期待も膨れ上がっていく。ここに来るまでにあった肉体の疲労はもう感じなかった。

そしてついに階段を上りきった先。

おなじみの巨大な逆三角形の前に僕は立っていた。

テンション上がりすぎた結果、調子扱いてこんなことを呟いているが、この男、1時間ほど前に待機列に並ぶことに拒否感を持っている。喉元すぎればなんとやらだ。

さあ、ここからが僕にとってのコミケ開幕である。


8月12日 11時40分

建物前の巨大電光掲示板が流すCMをBGMに、まずは南1,2ホールに向かう。最初はコスプレ広場に向かうと言っていたが、ここまで来てしまえば話は別だ。

昨日のサークル参加で、ホール間の移動ルートの最適解は知っていた。

南1,2⇒南3,4⇒西3,4⇒西1,2⇒コスプレ広場

これが無駄な移動をせずに今回のコミケを回るためのルートだ。暑さによってジワジワと体力を削られる夏のコミケ、飲み物もある程度余裕はあるものの、無駄な消耗はなるべく避けたかった。

まずは西ホールを通り抜けて、南ホールへ向かう。西⇒南の移動は屋根の下を移動するため直射日光が当たることはないため、体力の消耗は最低限で済む。

そして到着した南1,2ホール。真っ先に飛び込んできたのは、アクセサリーなどの島だった。普段見て回ることのないジャンルの島もこのようにごちゃ混ぜになっているのは、コミケのいいところだと思う。

南1,2ホールにはこの他にボーカロイド、同人音声and音楽、Vtuberの島があった。

ちなみに僕は今回南ホールについては事前情報一切なしで向かった為、Vtuberが1大ジャンルとなって島が存在していることに大層驚いた。

余談だが、僕が追いかけているVtuberの一人、「名取さな」についても結構なサークル数があり、名取さなのコスプレイヤーさんも沢山いてちょっとテンションあがったこともここに記しておく。

名取さなについてはこちら。

そんなVtuber島を軽く横切り、知り合いが売り子をしているサークルさんに顔を出そうと同人音声島を歩いていた時、僕の目の前にとんでもないポスターが飛び込んできた。

ヲタサーの姫VSサークルクラッシャー

…?

…ヲタサーの姫VSサークルクラッシャー!?

この一定の層に(のみ)確実に刺さるワード。島中でひっそりと佇む力強いタイトルに思わず足を止めて二度見した。

サンプルを聞いて、ある程度問題ないクオリティであることを確認して、購入。数年前に頒布された既刊だったらしいが、こういう突然の出会いがあるからコミケはやめられねーぜ!!

ちなみに感想だが、ヲタサーの姫とサークルクラッシャーに関しては、自分の過去の経験も合わせて色々語りたいこともあるので、また別の機会で詳しく話そうと思う。

ただ聞いててイライラするくらい、登場人物の質感については生々しさがあり、胃袋をキリキリさせながら楽しむことが出来た。僕と同じような趣味の人間には大変おススメなので、気になった人は是非下記の動画を見て判断して欲しい。

ちなみに下のジャケット裏のイラストがポスターに刷られていたが、こちらも僕好みのイラストで大変かっこうよかった。

そんな衝撃の出会いを終え、知り合いへの挨拶を済ませると、僕は南1,2ホールを後にした。


8月12日 12時(正直ここら辺から時間が大分怪しい)

外へ出て車両用のスロープを徒歩で登る。

このスロープ、傾斜が急で普通に登るだけでも体力を持っていかれる。しかも屋根などは一切存在しないため、真夏の厳しい太陽光を直接浴びることになってしまう。

今回のコミケホール移動の中で一番の難敵となるこのゴルゴダの坂を越えた先に南3,4ホールがあった。

ホールに到着して真っ先に僕の目に飛び込んできたのは、超有名サークルの上海アリス幻樂団だった。

ということはこのホールは東方やデジタルゲームの島がメインか。

そう思い奥までプラプラと歩いていってみると、そこにはプログラミング言語など、技術書のサークルがずらりと並んでいた。どうやらデジタルゲームに関連するジャンルで集めた結果こういうことになったようだ。

ここも普段あまり見る機会のない島なので、ゆっくり見て回ることにした。

スクリプトやゲームプログラミング、サーバーサイドの関連書、はたまた昨今流行りのバ美肉関連の本など色々あった。

結構面白いなと思ったのは、ここでもコスプレイヤーさんが売り子をやっているサークルさんが幾つかあったのだが、サークルの頒布物を見てみると関連性がないものが多かったことだ。FGOのラーマがいたので、なんだなんだと思って見に行ったら全く関係ない技術書だったということもあり、これアリなのかと驚いたものだ。

僕の中ではコス売り子さんは頒布物に関連するコスプレをしないといけない、あるいはそうじゃないレイヤーさんには売り子さんとして声をかけちゃいけないものだと勝手に思っていたのだが、確かに別にそんな決まりはない。

実際、コス売り子さんに惹かれてホイホイ見に行った僕みたいなのもいるわけなので、頒布物に興味を持たせる効果はあるのだろう。またひとつ勉強になった。


8月12日 12時30分

南3,4ホールを出た後、そのまままっすぐ向かったのは西3,4ホール。ここからはお目当てのひとつである男性向けジャンルのある西ホールだ。

まずは知り合いのサークルへ挨拶へ向かうのだが、その途中で普段買ってるサークルさんを偶然発見したので、購入。

内容は毎度おなじみのジークンドークオリティでした。好きな人は買おう。

そして知り合いのサークルさんに挨拶を済ませた後、プラっと見て回った後、西1,2ホールに移動した。

今度は移動は館内なので日差しの影響はないものの、ひたすらに蒸し暑い。道中置いてある自販機にさえ、長蛇の列が出来ていたのには驚いた。

そんなこんなで西1,2に到着。知り合いの方に挨拶を済ませた後、プラプラと歩いていたらシャニマスの冬優子本を発見。なんとなく手にとって良さげだったのでこれも買った。

読みましたが、エッチでした。

そんな感じで西館を巡ったあと、次はいよいよ今回のもうひとつの目的地であるコスプレ広場だ。

男性向けジャンルを見て回ることが目的のひとつのはずだったのに、そのジャンルに関して案外書いてること少なくない?と思う人がいるかもしれないが、結構普段通りにブラブラ見て回っただけなので、特筆すべきイベントが発生しなかったというのは正直ある。

強いていうなら、割と若者が多かった南ホールに比べると、一般参加者の年齢層がグッと上がっていたことに気付いたことくらいだろうか。

西ホールが南ホールに比べて冷房の効きが悪かったという環境上の理由もあるのだろうが、なんというか西ホールにいた参加者の方が歴戦の戦士感が出ていた気がする。

(後編へ続く)


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