思い出と未来の狭間 (前編)

最近GANTZにハマってます。

学生の頃全部読んではいたんですが、大人になって再び読み返すと今まで気づけなかった面白さや登場人物の気持ちに思いを馳せることができるようになってるなど、改めて古い作品に触れることの楽しさを知れますね。
少なからず自分は大人になっているのかな、なんて寂しいような、嬉しいような.…複雑な気持ちにもなったりします。


GANTZという物語はまず死ぬところから始まります。
何と死んでからがスタートです。

そうです、死ななきゃ始まらんのです。
本当にどうしようもないです。


ラノベの異世界転生モノに近いものを感じますが、現実の世界とリンクしている設定上、どちらかというとデスゲームの側面が強すぎる為あまり転生しているという認識ではないのかもしれません。作中でも、死んでGANTZの部屋(物語が進むにあたってメインとなる場所)に招集された人々は、コピーされたファックスのようだと説明されています。オリジナルの自分は既に死んでいるのだ、と。
また、ガンツによる転生は神々の力や魂の復活という超常現象によるものではなく、あくまでも科学技術であるとされています。恐らくGANTZを支配している方の組織には、トラファルガー・ローやチヨバア、神龍といった死者蘇生に特化した(使い切りタイプ多めの)スタッフが五万といるのでしょう。悪魔の実やチャクラ、ドラゴンボールの力は絶対なので。

そこで召集された一度死んだであろう人々は、宇宙からやってきた数々の「星人」たちと戦い、それらを討伐していくことで点数を積み重ねていき、100点を取れば自由になれる。という物語です。


GANTZの世界で戦うキャラクターたちには様々な人がいます。ごく普通の高校生やサラリーマン、おばあちゃんや小学生、園児ほどの子供であったり、グラドルやヤクザ、果てはイッヌやパンダまで.…多種多様な人々(動物含む)が今まで当たり前であった日常を取り戻すべく、星人たちと命懸けの戦いを繰り広げていくのです。そこにはそれぞれの立場に応じた心情や思いが錯綜し、多種多様の化学変化を起こし、奇しくもドラマチックに展開されていきます。
人が生死の淵に立たされた時、どんな行動を選択するのか…、一度は死を経験したであろう人々が訳も分からないまま恐ろしい星人たちと殺し合いをしなければならず、勝つことができなければそこに待っているのはそれこそ"本当の死"。

絶望しか感じられないような一夜に煌めく一縷の希望が生々しいコントラストを生み、混濁とした深層心理を上手く演出しているのです。

人は極限の苦しみに直面すればするほど、人間らしくなれる、一種の美しさとでも言えるものを生み出せるのだと思います。



さて、このままだとただGANTZの良さを語ってしまうだけの個人的な趣味おすすめ記事になってしまいそうなので、もしこれを読んでいただいた方で少しでも興味を抱いた方がいましたら是非ともGANTZをご覧になってみてください。
アニメ版、CG版、実写版と色々ありますが、僕はやはり漫画で読んでいただきたいです。

ただ、結構本気を感じるエログロ表現がよく出てくるので、そういうのが苦手な方は控えたほうがいいかもしれせん。
僕は責任取れないので。



先程まで長々とガンツガンツ言うとりましたが、GANTZを起点にして結局何が話したかったのか。

それは「死」について。


最近何かと「死」を考えます。
「死」という言葉にやたら過敏になっています。


突然ですが、この世に絶対不変の真理というのは一つしかありません。



それは人は死ぬということ。


自分たちは必ず死にます。
死なない人間、死なない生命はありません。
生物は必ず老いますし、動いている心臓もいつか必ず止まります。


果たして「死」とは何なのでしょうか。
僕らは死んでしまうとどうなるのでしょう。

輪廻転生によってまた別の生命に生まれ変わるのでしょうか。はたまた、黒い球のある部屋に召集されて、化け物たちと殺し合いをする夜を繰り返すのでしょうか。

「死」については遥か昔、随分と古い時代から現代に至るまで本当に沢山の科学者や哲学者がその全貌を解き明かそうと向き合ってきたみたいです。
その底知れぬ探究心の根源にあるもの、それはやはり生物の行き着く先が全て「死」であるから。


全ての生物が死に帰結するというのに、僕たちは誰一人として死んだ後のことが分からないのです。
これは大変なことですね...、予習の仕様がありませんもの。


だとしたら、まだ身体が思い通りに動く今だからこそ。
思い通りの言葉を使える今だからこそ。
もしかしたら突然大切な人が死んでしまうかもしれないという可能性を含んだ今だからこそ。
もしかしたら自分自身が明日死ぬかもしれないという今だからこそ、「死」について考えてみたくなりました。


この記事では少々長くなってしまうので、この続きは後編の記事でゆるりと綴っていこうと思います。(明日死ぬかもしれないのに)

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