ある赤い実としょうもない孫のはなし
三十路の日々も折り返しをすぎたというのに、この歳に至っても、私はちょっとしたクソ孫である。
昨夏の私には、コロナ禍以外にも嘆きがあった。
私には愛してやまない漬物がある。私にとっての無二を、漬物というジャンルでカンタンにくくってしまうのはなんだか納得いかないのだけども、一応漬物だ。
それを祖母が漬けなかったのである。
「来年は…来年は…どうかひとつお願いします。できればいっぱい」
矍鑠として90代を謳歌する祖母へ、まだも厚顔におねだりするなさけない中年は無論私で、しかも必死だ