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墓石クリーニングでやらかした話



この記事では墓石クリーニングに使う洗浄液の使い方を間違えて墓石にシミを作ってしまったという実例を紹介しています。


石材店様助けてください。

石材店様からお電話を頂きました。

石材店様
永野さん、今日は見積依頼とかの話じゃないんだけどさぁ…

永野
全然いいですよ。どうしました?

石材店様
さっきウチに、便利屋さんやっているって人が来てね"お客さんから頼まれて○○(市販の家庭用洗剤)を使ってお墓洗ったらお墓にシミが出来てしまって、これを取る事できませんか?"って話なんだよ。


永野
そうなんですね

石材店様
だから俺言ったわけよ"石は他の素材と違って難しいんだよ、俺ら(石材店)だってシミを作るの怖いんだからプロに頼んでるんだよ。それを知識のない人がいきなり一番目立つ竿石からやっちゃうってのはちょっとまずいんじゃない?"ってね


永野
そりゃそうですね。


石材店様
どうしても困ったらそれなりの人紹介するって言ったんだけど、そのまま帰っちゃったんだよね。
もしその人がまた相談に来たら永野さんを紹介していい?

永野
もちろん、是非紹介してください。

石材店様
永野さんが見ればれば取れるか分かるでしょ?

永野
いや、なんとなく想像は出来ますが、見ただけじゃ分からないです。
シミ抜き剤試して反応見ながらですね。
想像通りに抜けなかったり、予想以上に時間かかったりして…
難しいんですよ、シミ抜きは



プロでもシミを作る事がある

上のお話は墓石クリーニングのプロではなく便利屋さんがやってしまった事例でしたが、開業したばかりで十分な知識を持たない状態ではプロでもこのような事はあり得ます。

私がこの仕事をはじめた頃の話をします。

墓石クリーニングをしていて、ある取れないシミと出会いました。
何をやっても抜けなかったので、何とかして取ろうととある専門家に問い合わせをしてみました。


専門家
まずはあなたがやったクリーニングの方法を教えてください。

永野
このAという洗浄液を使ってダメだったので
普段は3倍で使うその洗浄液を原液でやってみました。
Bという洗浄液も同じく希釈したものと原液も試しました。
Cという洗浄液も試しましたし、
Dというサビ取り剤も使いましたが取れませんでした。

専門家
Aという洗浄液を使った後にBという洗浄液を使ったのですか?
それとも順番が逆という事はありませんか?
作業手順を教えてください。


永野
色々試したので、順番がどうだったかの記憶は曖昧です。



その様子を見て専門家の方が意外な事を言いました



専門家
そのシミ、あなたが付けた可能性は無いですか?

永野
えっ!私はそのシミを取ろうとしているんですよ。


専門家
この写真を見てください。
《外柵が黄色くなってしまったお墓の写真を見せてもらいました》
石材が黄色く変色してしまっていますよね。
これは洗浄液の使い方を間違えて石を黄色くしてしまった事例です。


それだけで衝撃だった私は次の言葉で更にビビりました。


「これはあなたと同じように墓石クリーニングを専業で仕事されている方がやってしまった事例です」

永野
・・・(゚д゚)!


マジか⁉と思いました。
墓石クリーニングで開業したばかりの私にとっては、明日は我が身の事例です。

幸いこの時私がやったお墓はビフォー写真に元からそのシミが付いていたことが証明できるものがありましたので大事には至りませんでした。

もし、お客様の墓石をこんな風にしてしまったらどうしよう。

私も講習を受けてからこの仕事をはじめていますが、洗浄液の使い方を間違えるとこんな事になる。その重要性を認識していませんでした。

それから私はその専門家の方をを師匠にして石材クリーニングのノウハウを深めてきました。


石材は難しい素材

世の中には色々な素材があります。鉄・ガラス・木材・プラスチック・陶磁器…etc
その中で石材はクリーニングやメンテナンスが最も難しい部類の素材です。いくつかあるその理由をご説明します。

吸水性

石材には吸水性があります。当然樹液などの汚れも染み入り、内側に入ってきてシミになります。染み込んだ汚れを取るシミ抜きは最も難しい作業です。吸水性が低い磁器やガラスなどにはない難しさがあります。

多種

一言で石材と言っても多種多様です。現在の墓石ではその中でも花崗岩(御影石)や斑レイ岩(黒御影石)が使われることが多いですが、昔の墓石では凝灰岩や安山岩の墓石もあります。
御影石も白系、青系、赤系、ピンク系…
その特性を考えながら作業する必要もあります。
更に天然素材である石材は同じ名を冠していても場所により色合いや吸水率が違ったりします。

環境

特に墓石は屋外にあるので、その環境により汚れや劣化の具合が違います。樹木が多い場所なら樹液が付いている可能性は高いし、海の近くならサビが発生している事が多いです。

このように難しい要素が多くある石材をクリーニングする場合、洗浄液が石材に与えるリスクなどを知る事はとても大切です。



墓石クリーニングは専門技術職です。

墓石クリーニングは専門知識が必要であることがお判りいただけたと思います。
あなたがクリーニングしようとしているお墓はご先祖様への想いのこもった大切なお墓です。
お客様が悲しい想いをする前に専門の知識を身に着けてからクリーニングをしてください。


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