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落選作だけど、私の最初の作品だから、これはこれでいいの。

ある絵本のストーリー部門に応募しました。
なんの勉強もしていないけれど、介護ばかりの生活で、
社会との接点の薄い私は「自分の中から創造性や言葉が消えていく」のを感じて怖かったのです。

締切日ギリギリにポストに投函した作品です。
それまでにもやってみようとしたことはあっても
「私には無理なんだ」と諦めてしまったりで
やり遂げたことはありませんでした。

だからこの作品は初めて私が考えて、言葉を選んで、
やっとのことで仕上げた「可愛い未熟物」です。

落選と知っても、期日までに提出できたことの達成感の方が
大きな喜びでしたし、そんなに世の中甘くないですから(笑)。

でも、良かったら読んでみて下さい。私の可愛い未熟な作品を。
絵本のストーリーです。

これは私が実際に小さい時子供の頃に
寝る前にしていたルーティーンをストーリーにしました。



おやすみ 握手 またあした
 
 
 
よる8時。
 
ターシャは寝る時間です。
 
お母さんが言いました。
 
「ターシャ、もう寝る時間ですよ、おやすみの握手に行きましょう」
 
ターシャの家ではよる寝る前に、家族みんなにおやすみのあいさつと握手をします。
 
 
 
ターシャはお母さんと手をつないで、お父さんの所に行きました。
 
お父さんはターシャを見るとにっこり笑って言いました。
 
「おや、もう寝る時間かい?」 
 
ターシャは言いました。
 
「もう8時だから寝るの。お父さん、おやすみなさい」
 
「おやすみ、ターシャ。またあした。」
 
お父さんはやさしくターシャの頭を撫でてから
 
ターシャの手を取り握手をしました。
 
「あーくーしゅ。」
 
 
 
 次にターシャはおじいさんとおばあさんの部屋に行きました。
 
おじいさんは「来たな、ターシャ。待っていたよ。」と両手を広げて抱きしめてくれました。
 
「おじいさん、わたし、もうおやすみの時間なの。」
 
「ああ、そうだね、おやすみ。ぐっすり眠るんだよ」
 
おじいさんはにっこり笑いながら握手をしました。
 
「あーくーしゅ。」
 
 
 
 それからターシャは編み物をしているおばあさんのところに行きました。
 
おばあさんはターシャを優しく見つめながら
 
「わたしの可愛いターシャ。おやすみ、またあしたね。」と言いました。
 
「おやすみなさい、おばあさん。またあしたね。」
 
そういってふたりはしっかりと握手をしました。
 
「あーくーしゅ。」
 
 
 
 そしてターシャとお母さんはターシャの部屋に行き、パジャマに着替えました。
 
ベッドの下では犬のボビーがもう待っています。
 
ターシャは言いました。
 
「ボビー、もう寝る準備はできた?」
 
ターシャはボビーの手を取り言いました。
 
「おやすみ、ボビー。いい夢みてね、また明日遊ぼうね。」
 
「あーくーしゅ。」
 
ボビーは「おやすみ」と大きなあくびをひとつしました。
 
 
 
「さあ、ターシャ、ベッドに入りましょうね。今日は楽しかったわね。」
 
「うん、お母さん、わたし、いっぱい楽しかった。」
 
「良かったわね、あしたもいっぱいいっぱい楽しいことしましょうね。
おやすみ、ターシャ。」
 
「お母さん、おやすみなさい。」
そしてターシャはお母さんと何度も握手をしました。
 
「あーくーしゅ、あーくーしゅ。」
 
 
 
お父さんとおじいさんとおばあさんとボビーとお母さんと握手したターシャは
すっかり眠くなり、「またあした」ともう一度言って眠りました。
 
おやすみの握手はねむくなる魔法なのかもしれませんね。