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足利銘仙はじめまして Vol.6

こんにちは。
 
先日、足利の織姫神社に行ってきました。終了してしまいましたが、足利では「足利灯り物語」として、市内の観光名所等でライトアップが行われていました。私は昼間の織姫神社に行ったのですが、229段ある石段に銘仙柄の灯りが90基設置され、また社殿のライトアップ、鳥居の両脇に大型の六角銘仙灯りが設置されていました。

この銘仙灯りですが、銘仙の色鮮やかな柄が使用されていて、昼間でも十分楽しめました。こんなに一度に銘仙の柄を見ることができるなんて楽しいと思いながら階段を登ると、229段の階段もきっと、、、余裕だったような気がするような(笑)

織姫神社は足利銘仙とも関わりがあり、また改めてこのライトアップの感想と一緒にお話ししたいと思います。



 
それでは、前回の続きで、各地の銘仙も一緒に、花柄やエスニック調の柄以外の『銘仙の柄』にも触れてみたいと思います。
 
まずは、日本の伝統柄のアレンジです。麻の葉、唐草、矢羽根など、着物に使われてきた日本の伝統的な模様も銘仙に用いられましたが、伝統の柄をそのまま取り入れるのではなく、模様を極端に大きくしたり、新しく奇抜な色の組み合わせにしたりと、モダンにアレンジされていました。

そして次は、昆虫や動物といった生きものをモチーフにした柄です。こういった柄は、生きものそのものの形を抽象化したり、独特の色の組み合わせにしたりと変更されています。その生きものが持っている特徴や雰囲気を、銘仙の柄としていかに面白いモチーフにするのかといったことが重要視されていました。

最後の柄は、当時の時代を象徴するような、人々が普段目にする道具から、西洋由来の道具の柄です。生活の中にある道具や機械をモチーフにした柄はもちろん、ヨットやテニスラケットといった、西洋の道具をモチーフにした銘仙の柄は、西洋の新しい文化が日本に入り、その新しい文化への憧れや刺激を銘仙の柄に取り入れていたと言えるでしょう。
 


 
前回から取り上げた5つの柄からも分かるように、銘仙の柄を作成する上で、そのまま何かを模倣するのではなく抽象化や大胆な色使いの工夫でアレンジしていたということ、そして当時の社会を反映し、新しい刺激を銘仙の中に取り入れることを積極的にしていたということが分かるかと思います。

そして私が強く感じたのは、銘仙に関わる人たちが、着物としての銘仙だけに価値を感じていたのでなはく、もしくはそれ以上の価値を新たに生み出す努力もしていたのはないかということです。
着物という伝統的な形を保ちながらも、その中で表現をし、新しい文化との出会いによって生まれた感情を銘仙の柄に込めたのではないでしょうか。新しいものとの出会いには興奮や動揺がつきまといます。だからこそ銘仙は、多くの人の興味や関心のアンテナに触れ流行した一面もあるのではないかと思いました。
 
目に見えない感情だからこそ留めておきたいと思うのは自然な流れですよね。もし私なら、周りの人にも知ってもらいたいと思ったり、忘れないようにどこかに残したいと思います。これは、私が今こうしてnoteのマガジンで銘仙についてお話しているのと同じことなのかな~なんて思ったりもしています。
 
銘仙という、着物というキャンパスで、自己表現や芸術へのアプローチが実現していた、銘仙にはそのような一面もあるのかもしれませんね。