飛ばないジェット機その4

  これはフィクションで、実在の経済とは少し違うことを承知して読んでください。

   バブルの時期に話を戻すと、デビットハルバースタムの覇者の奢りと言う本が出された。長編の叙事詩としての見方もあるが、ベトナム戦争からのアメリカの凋落と日本の自動車産業の興隆を描き面白い読み物であった。
   ともあれ日本は自動車産業に於いて勝利をおさめ、気が付いた時にはアメリカの先を行っていたと言うものだった。工場と言うのは社会の縮図でもあるのだと言うのが印象に残る台詞であった。没落するデトロイトと輸出の自主規制をせざる終えなくなるほどに勝ってしまった日本の自動車産業の対比は長いスパンで見た大きな社会のうねりを写し出していた本だったと思う。
    人間の社会と言うものは成功して豊かさを手に入れてしまうと、次の世代ではその果実をむさぼるだけになってしまうのだろうかと考えさせられる物でもあった。自動車も電機産業も創設者の道無き道を進んだ開拓者精神が必要だった。独創性と合理主義との鬩ぎ合いは今に始まったことではないと思います。ことなかれ主義に陥ってしまい独創性や創造性を排除してしまうとその産業は未来への発展を閉ざしてしまうことになる。何処の企業も何時の時代も問題になる、言わば永遠のテーマでもあるのです。                                                                                     つづく

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