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タロちゃんという強過ぎる光を浴びて、自己嫌悪に陥った話

 XY以来触れてこなかった私にとって、SVは実に10年ぶり(10年ぶり!?)のポケモンだった。
 自分の人生で10年ぶりって言葉使うの初めてだ。まだまだ若いけど、結構生きたんだな…………俺…………。

 10年もあれば人は変わるもので、XYの頃は考える余地すらなく男主人公を選んでいた自分も、SVでは女主人公だ。

(かわいい)

 この目元の黒子ですが、正面から見ると髪に隠れてるのがこだわりポイント(素早さ1.5倍)。

 そもそも買う動機からして不純になっている。当時はそれこそメガシンカかっけー! で買った記憶があるが、SVではあるキャラクターたちに惹かれて、だ(それと友人にケツを蹴られまくったのもある)。

 ゼイユ。タロ。
 他でもない、君たちのことさ──。

 流石に可愛すぎである(かわいすぎですよー!)。

 私も近代オタクの端くれとして、流行りのキャラの人となりのさわりくらいはTLから情報を得ている。ゼイユはその性格に、タロはその顔面に惹かれ、私はパルデアに上陸することになったのだ(二人ともDLCのキャラなのでパルデアにはいない)。

 ナンジャモにボコボコにされたりしつつもストーリーを進め、遂にDLCへ!
 本編ではアオキとかハッサクとかが好きでした。二人ともテラスタルが滅茶苦茶かっこいい。

ニマ〜〜って笑うの好き過ぎる

 ゼイユッッ!!!!!!!!!!!! 俺たち結婚しよう。

結婚……

 タロ……いや、タロちゃん。俺たち結婚しよう。

 ポケモンの女の子が可愛すぎて、このままだと俺の鳴き声が「結婚」になっちゃうんだけど!!!!!!!!

 ネリネにボコボコにされたりしつつもDLC後編も進めて、ついにタロちゃん戦。
 こちらは問題なく撃破。

「かわいかった!」
「かっこよかった!」
「タロも!」

 勝利後、この選択肢が出てきてから私がAボタンを押すまで、実に1分近くの時間を要した。
 2つの考えが泡沫の如く浮かび、脳内で激突したからだ。

「今ポケモンの話してるんだから『タロも!』とか言い出すのキモくない?」
「『タロも!』って言ってそれで照れ顔差分とか見れたら最高じゃない?」

 以上2つである。

 熟慮の末、辿り着いた“答え”は──。

「タロも!」

 俺は勝負に出た。

!?
!!!!???!?!???

 お、おれは……。
 おれはなんて、しょうもない人間なんだ……。

 俺が今やっているのはポケモンであって、ブルアカではないのだ。ちょっと調子のいいことを言ったくらいで照れ顔を引き出せはしない。タロちゃんは、ポケモンの女は──オタクに都合の良いように作られた萌えキャラではないのだ!!!!!!

 突然だが、私は結構、自己肯定感が高い方である。日々、「うーん……俺って中々出来た人間だな……」とか本気で思っちゃうような奴だ。しかしそんな私でも、自己嫌悪に陥る時はある。
 なんてことのないある言動をして、何故かそれが胸中にしこりとして残り──暫くしてから唐突に、気付くのである。

「あの時の俺のアレ、滅茶苦茶キモくないですこと?」

 n年前、nヶ月前の自分のキモさに気付けた時、人は成長する。

 ツイッターで予てからこのように述べている通り、私はこの“キモの知覚”による自己嫌悪を、案外肯定的に捉えているのだが──今回は流石に話が別だ。

 暫くして──とかではない。「タロも!」と言って、「ブブーッ!」と返されたその瞬間に、間髪入れずして俺は自分のキモを知覚してしまったのだ。

 これには大きな違いがある。

 さっきのは、「昔の俺キモいな……流石に今は違う訳だが……」で済ませられるのだが、今回のタロちゃんの一件は、“今の俺がキモい”のである。

 このキモの知覚に成長なんてものは微塵も伴っていない。なんならこの選択の前に迷っている時点で、俺はそれが「間違っている」と気付いていた筈で──真摯に向き合えば犯さなかった筈の過ちを、何故か変に色気を出そうとして、犯してしまったのだ。

 ただただ俺が、キモいだけだった……。



 いや、でも、でもよおッ、

 こんな選択肢用意したゲーフリの方だって悪いんじゃねえのかよ、エエーーーッッ(ガンギレ)!!?

こいつはカキツバタ。顔も性格も良い

 その後、トリに置いていたカキツバタを倒すも、俺の心に去来したのは虚しさだけだった。 

 カキツバタ……お前は本当にかっこいいよ。本当に大事なものが何かを分かっていて、真実を見抜ける眼を持っているんだろう。俺とは違って──。 所詮俺は、タロちゃんに呼び捨てされるに足る器ではないのだ。

なあ カキツバタよ。
俺はただ……。
お前のように なりたかっただけなんだ……。

 残るは、スグリとの決着。贖罪の意味も込めて、早く向かわなければならない。

 過ちはきっと、正せる筈だから。

 お前が強さに執着し過ぎたのも、俺が話の流れをブチ切ってまでタロちゃんを口説こうとしてしまったのも──。

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