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音楽のこと 2. 合奏への参加 〜中学生編①〜

 小学校のブラスバンドで打楽器に「飽きた」ものの、音楽とか演奏自体はまだまだ好きだったので、中学校に進んだら吹奏楽部に入ることまでは決めていた。そして願わくば管楽器を始めたいとも。
 部の根城たる音楽室に入部希望者が集められて先輩方と対面したのちに「希望するパートの先輩のところに集まる」よう指示された。吹奏楽部入部時の、運命を分ける一大イベント「パート決め」だ。
 実のところ打楽器にも惹かれたのだ。新入生向けのコンサートで披露された打楽器、もといパーカッションのお姉様方の職人芸(!)は、小学生時代の我々の打楽器など子供騙しだと思えるくらいに素晴らしかった。ただ1年間のブラスバンド生活で鍵盤打楽器に適性がないなあと痛感してもいたので、ここはグッと堪えて管楽器群の様子を観察することにした。
 近隣小学校にはどこもブラスバンド部または吹奏楽部があったので希望者の多くは小学校で演奏していた楽器をそのまま引き続き希望しているようだった。ということは、メジャーな楽器(?)は競争率が高く、かつ経験者優先になっちゃうのか。これは私にとっては大きなハンデである。
案の定フルートやクラリネットは希望者が殺到しており、希望パートに入れず涙をのむ生徒が多いのだと。うん、ここはなしだ。先輩もなんだかちょっと怖そう笑。
トランペット、トロンボーンは経験者が多い。そうだろうな。気の強そうな同級生がいっぱいいる。ちょっと厳しいなあ。
ふと音楽室の片隅を見る。楚々とした可愛らしい先輩がくるくるキラキラした楽器を膝に乗せてのんびりと喧騒を眺めている(ように見えた)。新入生が来たら座らせて話をするための椅子はガラガラ。でも我関せずと穏やかに微笑むその先輩と目が合ってしまった。もうその周辺だけふんわりと春の日差しが降り注ぎ、なんなら桜か何かの花びらがハラハラと舞ってるようにすら思えた。

恥を捨てて言おう、一目惚れだった。
楽器に惚れたのか、はたまた先輩(仮にフタバ先輩としておく)に惚れたのか。
多分両方。
走り寄るでもなくふわふわとホルンパートの皆さん(といってもフタバ先輩含め3名)の待つその場所に歩いて行くと
私「あのう・・・管楽器の経験はないのですが・・・。」
フタバ先輩「あらそうなの!私もここで初めて吹いたの。よかったらどうぞ。」
一緒にいた二人の先輩は「先輩!希望者ですか!?こんなに早く来てくれるなんて!」とどよめく。「初めてなの?大丈夫だよ。私たちみんな中学校で始めた人だから。」
かくしてこれがホルンとの出会いであった。もう少し続けさせてください・・・。

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