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Apple II ▷ キーボード改修記(5)

▷ Apple IIキーボードとDatanetics キースイッチ
Apple IIのキーボードはタイプライターを模した白い筐体の全面にある傾斜のついた面に取り付けられています.この傾斜面に平行にキーボード基板はネジ留めされているのですが,キートップはひな壇状となっています(写真1左).タイピングのしやすさへのこだわりを見てとることができます.

写真1.Apple IIキーボードとDatanetics キースイッチ(カタログより引用)

これを実現しているのはDatanetics社のキースイッチのデザインです.写真1右のようにステムに屈角12°が設定されているのです.このためキートップが傾斜することになり,冒頭にかいたようにキーがにな壇上に並ぶのです.
ところがCherry MXキースイッチのステムは垂直になっているためそのままではこの12°の傾斜をつけることはできません.そこでCherry MXキースイッチのステムを延長してApple IIのキートップを取り付けるアダプタをつくる際にこの屈角をつければよいことになります.

▷ ステムアダプタのデザイン
スタディ模型をつくって納得するかたちがきまれば,詳細なデザインをおこないます.記事(2) でdatanetics社のキースイッチのカタログについて紹介しました.その中に Apple IIに採用されているキースイッチの仕様も詳細に記述されています.その数字をあたりながらステムアダプタの形状を決定していきます.図1がその最終デザインです.

図1.ステムアダプタをデザインする

▷ 3Dプリント
ステムアダプタは3Dプリントでつくりました.3Dプリントは今回が初めてで,データの作成から始めました.3Dモデリングの経験も多少ありましたgが,四苦八苦してデータを仕上げました.3Dプリンタは所有していないのでアウトソーシングになります.所有していれば数値の詳細を決定する試作もできますが一発勝負になるので少々不安でしたが,データをメーカーサイトにアップロードして発注しました.そのサイトでは進捗状況が確認できるようになっており,やがて発送通知を受けとって間もなく配達されました.配達直後のステムアダプタを写真1に示します.

写真1.3Dプリントでつくったステムアダプタ

写真2はステムアダプタを装着したCherry MXキースイッチとオリジナルのDataneticsキースイッチです(実は記録写真がみあたらず,後日紹介するベース基板で構成されています).

写真2.Cherry MXキースイッチとDataneticsキースイッチ

キートップをステムにとりつけてみたところ,若干装着感があまいものがありました.誤差の範囲かもしれませんが,やはり手軽に試作できればよいなと思いました.
次回はこの剥き出しのキースイッチを保護するためのシェルのデザインについて書きます.

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