滅菌バッグの日常的なシール性確認について。ヒートシールチェッカーの基本と運用事例を紹介します。
医療機器の包装材として広く使われている滅菌バッグ。
医療機関では、ヒートシーラーを使用して滅菌バッグを密封(シール)するのが一般的ですが、シール関連の不具合は気づかぬうちに発生し、シール性を低下させることがあります。そのため、ヒートシールチェッカーなどを使用して、日常的にシール性を確認することが重要です。
本記事を読むことで、滅菌バッグのシール性確認に関して、以下の基本を押さえることができます。
・日常的に発生しうるシール関連の不具合
・ヒートシールチェッカーを用いて日常的にシール性を確認する方法
・実際の医療機関での運用事例
まだシール性の確認を始められていない方は、是非最後までお読みください。
1. 滅菌バッグのシール性を日常的に確認する重要性
1-1. 再生処理プロセスにおいて、包装は重要な工程の一つ
再生処理プロセス(滅菌供給業務のサイクル)において、包装は重要な工程の一つです。
再生処理プロセスは、下図のように一連のプロセス(流れ)で品質を保証します。どれか一つの工程でも正しく行われないと、安全な器材を提供することはできません。例え器材が正しく洗浄・滅菌されていたとしても、正しく包装されていない限り、外部から微生物が侵入しその無菌性は破綻してします。
1-2. 滅菌バッグは正しく密封(シール)されていなければ無菌性を保持できない
滅菌バッグは器材を手軽に包装できるため、医療現場で最も使用されている包装材といえます。
滅菌工程では、通常プリバキューム(真空引き)が行われ、滅菌剤である蒸気やガスが導入されて高圧を持続します。その後一定時間経過後に排気して、空気置換が行われます。このように、滅菌工程において、滅菌器内は高低の激しい圧力変化が発生するため、滅菌バッグには大きな圧力負荷がかかります。
滅菌バッグが正しくシールされていなければ、滅菌工程中に滅菌バッグが破裂するなどし、その無菌性を保持することができなくなってしまいます。
1-3. 滅菌バッグはヒートシーラーを使用してシールする
滅菌バッグは、ヒートシーラーを使用してシールします。
滅菌バッグはフィルム面と紙(過酸化水素ガス滅菌の場合はタイベック)面で構成されています。フィルム面は2層式で、内側に熱で溶ける熱可塑性樹脂の面があります。
その滅菌バッグを、温度の高いシールバーで挟みこむことで内側の樹脂を溶かし、溶かした樹脂が紙面の繊維に入り込んで固まることで、フィルム面と紙面をシールさせます。
1-4. 日常的なシール性の確認はガイドラインでも推奨されている
医療現場の滅菌保証のガイドライン2021(p.239)においても、滅菌バッグのシール性を日常的に確認することが推奨されています。
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