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「就活相談お姉さん」をやめた日のホンネ

めいこと申します。スタートアップに務めながら、兼業で編集者・ライターとして活動しています。前職で新卒採用支援に携わっていた経験もあり、退職後もライフワークとして就活・キャリアに関する相談に乗ってきました。

かれこれ3年にわたり就活のご支援をするなかで、オンライン・オフラインでのべ300件を超える相談を頂戴し、Twitterアカウントはおかげさまで6000名を超える方々にフォローいただきました。本当にありがたいことです。

そんな中ですが、私は2020年6月末をもってTwitterの運用と就活相談をお受けすることを、やめる決心をしました。

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そもそも私が就活の支援を続けてきた理由は、ひとえに「過去の自分のようにキャリアに悩む方の力になりたい」という思いがあったからです。詳しくは自己紹介noteに暑苦しく書いてます。

今もこの気持ちは変わらないのですが、いくつかの理由で就職活動に関わることを控えることにしました。

理由を話すのは本音が過ぎるような気がして怖いのです。が、今、この場で正直な胸の内を書き残しておこうと思います。たぶん、noteはTwitterよりも限られた方々がご覧になっていると思うので(おつきあいいただいている方々、ありがとうございます)。

「コロナ就活」を知らない私はもう何も語れないと思った

今回の決断に至った一番の理由は、コロナ禍の今、悩んでいる就活生の方々に対して(少なくとも私自身が)納得できるアドバイスができないと思ったからです。DMや個人的なつながりで相談をいただく機会も多々あったのですが、2015年に新卒入社をした社会人6年目の私にとっては、Web面接が当たり前の選考も、これからの不景気を見越した採用計画も、経験がないので見通しがつきません。

ご相談いただいた方々がきっと期待しているであろう「ESはこうするといいよ」「面接ではこんなことを大事にするといいよ」と伝えようとするときにも、いつも「本当に、今も、そうなんだっけ?」という不安がつきまといます。新卒当時の経験や記憶がそのまま活かせるとも限らず、リアルタイムの新卒採用の現場を知っているわけでもない私が就活のアドバイスをすることは非常に難しく感じました。

人材業界にいた頃さえ、的を外したアドバイスをしてしまうのではないかという不安から、質問箱の1問を返すにも周囲の就活生に相談するなど、定期的なヒアリングが欠かせませんでした。そのようなリサーチの時間がなかなかとれない状況下で、お役に立てる喜びよりも、誰かの人生に良くない影響を与えてしまう恐怖が勝ってしまいました。

インターネットを利用する方々にとっては「話半分でサンプルを集める」スタンスが常識かもしれませんが、自分自身が就活で苦労した経験から、アドバイスに藁にでもすがりたくなる気持ちになる学生さんがいないとも限らないと思いました。そう考えれば考えるほど、無責任になるおそれのあるアドバイスを続ける理由がなくなっていきました。

採用に関わったらポジショントークの刃が怖くて仕方ない

もうひとつの大きな理由は、本業で採用に関わる機会が増えたことです。ありがたいことに、自社で中途採用の面接や入社後のフォローアップを行ったり、お客様の組織戦略に携わったりと、企業の人事・採用活動に関わる機会がぐっと増えました。

上記の理由とは相反するようですが、採用活動に「雇う側/経営側」として関わるほどに、自分の主観に基づいて就職・転職活動のアドイスをすることが怖くなりました。採用活動に携わったら、いい意味でも悪い意味でも自分の中にあった就活のメソッドがいかに「n=1」の限られたものでしかないかを突きつけられました。

また、巷で一部話題になっていますが、採用担当者として選考についての所感をアウトプットしようとするとき、どうしても直近お会いした候補者の方に言及しているのではないかという怖さがあります。「自分のポジショントークが誰かを傷つけているかもしれない」と思い至ると、どうしても何かをつぶやく気になれませんでした(自分の言語化力の低さに恥じ入るばかりですが……)。自分にとっては抽象化したつぶやきでも、見る方によっては個人を深く傷つけてしまうおそれがあると思ったのです。

刺激的で面白くて、そして不安を与えるTwitterが苦しい

そして、もう一つしんどかったのは、ここしばらくのキャリア系のつぶやきが過激になっているように感じることです(きっとnoteでしか言えないと思います)。単に自分が繊細すぎるせいだとは思うのですが……。

学生さんの無垢な言動を「自己責任」「甘え」「考慮が足りない」と切り捨てる社会人たちのつぶやきや、企業側の言動をあげつらって揶揄するような方々のつぶやきが目に触れることが辛くなってしまい、Twitterを続けるモチベーションが薄れてしまったのも事実です。

極論や強い言葉は刺激的だし、面白いし、拡散されやすいです。わたしも、私生活でそんなツイートを面白がることがないわけではありません。でも、キャリアに関する言動はいかんせん、その人の生活や将来に与える影響が大きすぎます。多くのご相談を受けた身からも、企業人事のなにげない言動ひとつに死にたいほど傷つく学生さんがいらっしゃることを知っています。

自分の発言に前ほど根拠を感じられなくなった状況下で、刺激的なつぶやきにあふれるTwitterに身を置き続けられる自信がもうありませんでした。

人材業界にいた頃から、以下のようなご相談を頂いてきました。もしかするとつらい思いをされていた一握りの方々なのかもしれません。でも、キャリアに対する不安を持つ方は、これからもゼロにならない可能性のほうが高いと思います。

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こうした学生さんたちの必死の思いを踏みにじったり、不安を煽ったりするようなコミュニケーションは、匿名のソーシャルメディアであっても賛同しかねますし、軽蔑の念を禁じえません。日頃から人事採用について大きな主語で語りながら、人を傷つけうる強い言葉にだけ「個人の意見だから」とエクスキューズをつけて逃げるのはズルだと思います。

すみません、趣旨に反してキツい言葉を使いました。特定のどなたかを貶める意図もまったくありません。それでも、たまに目にするタイムラインに腹に据えかねるものがあったのは本音です。

今度は「生き様」であなたを励ませるようになりたい

……と、ここまで、新卒就活に関わることをやめた社会人の情けないホンネをお送りしました。うじうじとすみません。

自分が過敏すぎたり至らないことが多すぎたりすることへの反省とともに、キャリア相談に誠実かつ継続的に応じていらっしゃる方々への尊敬の念をさらに深くしています。本当にありがとうございます。陰ながら、皆様方のことを心からリスペクトしています。

私は自分の葛藤と決着をつけ、しばらくはキャリア相談の文脈からは距離をとろうと思います。今の目標は、自分の生き様を通して多くの方々に勇気を持っていただけるようになることです。

新卒の就活がうまくいかなくても、ベンチャーに転職して最初は苦労ずくめでも、職種が一貫しなくても、こうやって繊細すぎても。こんな人間でも、楽しく働きながら社会に価値を残していけることを、自分の背中で語れるようになりたいと思っています。

いまは、こんなことを考えてスタートアップで働いてます。

このnoteを読んでくださっている皆様には、どうか温かく見守っていただけたら嬉しいです。

勢いのままに書き散らした乱文をここまで読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


めいこ/Akiko Nakayama

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